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技術日本一
2012年5月20日号

 

NIPPON★世界一 (49)

●株式会社川久保企画 ●横浜市港南区
●1991年創業 1996年設立
●従業員数 140名

建築物の調査業務

株式会社川久保企画

 日本にある世界トップクラスの技術・技能-。それを生み出すまでには、果たしてどんな苦心があったのだろうか。
 建物の安全性に注目が集まる昨今、既存のオフィスや集合住宅でも安全性を検証する動きが活発化している。川久保企画は、墨出し・測量業の一方でデジタル機器を活用した建物調査事業にいち早く着手。アナログ手法が中心だった建物調査において新風を巻き起こしている。

(取材/種藤 潤)

 


 東京都は首都直下地震の危険性と阪神・淡路大震災の反省をふまえ、『緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推奨する条例』を2011年4月に施行、今年4月より義務化した。これにより幹線道路およびその沿道にある建物は、耐震改修状況の報告、診断の実施・報告等が義務化された。一方で耐震診断や補強設計、耐震改修に対する助成金も支払われるようになった。

川久保企画社長の川久保隆幸さん

川久保企画社長の川久保隆幸さん

 そのなかで注目されている組織がある。先端デジタル機器を活用し迅速、正確、かつ安全な耐震調査業務を提供する『耐震化推進コンソーシアム』だ。大手電力会社や道路事業者、建設会社などから調査業務を受注し、高い評価を得ている。

 その機器を活用した調査業務を実質的に担うのが、株式会社川久保企画である。

 

 

 

3つの先端デジタル機器で正確、迅速、安全な調査を実現

 調査に用いられる機器および業務は大きく分けて3つ。

 ひとつは、「3Dレーザースキャナー」による3次元座標の建物情報の取得。対象の建物が表示されるよう機器をセットしボタン操作すれば、自動設計をスタート。取得したデータはPC上で好きな角度、大きさで閲覧できる。

 もうひとつは、光波計測器「KUMONOS」によるクラック(ひび割れ)調査。従来壁面に接し特殊なスケールを用いアナログ集計していた調査を、「KUMONOS」により遠隔からでも可能にしている。

 3つ目は、「赤外線(サーモグラフィ)」による外壁の劣化状況(浮き)調査。外壁をサーモグラフィでデータ化し温度差を解析、浮きの状況を把握する。浮き調査も従来直に外壁に接しアナログで調査していたが、赤外線カメラにより遠隔でも調査が可能になっている。

 「耐震調査に限らず、これまで建造物の調査は、非常にアナログなものでした。高所での作業が中心で危険性が高く、かつ調査する人間の技術や経験の差が出てしまい、調査に時間もかかった。それを先端技術が凝縮したデジタル機器を活用することで、迅速、正確、かつ安全な調査が可能になりました」

 同社の創業者であり、社内で調査事業を立ち上げた川久保隆幸社長は、確信を持って語る。

 

調査をデジタル化することで見やすく使いやすい報告書に

 調査をデジタル化するメリットはほかにもあるという。収集したデータ同士を関連づけまとめやすくなるので、書面化する際の手間やコストも大幅に削減でき、かつビジュアルも見やすくすることが可能になる。

 「今までの調査方法では、調査した数値はアナログからデジタルにしなければならず、その作業自体も手間がかかり、正確性にも欠けました。しかしこの3つの機器はすべてデジタルデータ化されている状態なので、図面化も非常に簡単。従って報告書も見やすくまとめることができます」

 データが正確になることで、依頼側の新たな利便性も生む。これまでの調査はデータにむらがあり、結果補修の見積もりは着工後と大きくかけ離れる結果となることが多かった。しかし、同社の調査なら誤差は5%以内。結果予算の想定もしやすくなり、発注もしやすくなる、というわけだ。

 さらにデジタル化には安全性、耐震性を超えたメリットもあると、川久保社長は言う。

 「古い建物になると、図面が残っていないものもあるんです。そこで3Dスキャナを用いれば、世にない図面を作成することができてしまう。そのメリットもぜひ皆さんに伝えたいことですね」

 

機器と同じぐらい使う人材の育成が重要

 同社はもとは建物の墨出し(水平、垂直、かね方向のチェックをし工事に必要な基準線を引くこと)、および測量業務を担う会社として創業、現在もそれが事業の中心であるが、新築建物の需要がこの先行き詰まり、一方で既存建物のメンテナンス、リノベーションの需要増加が見込まれると判断。5年前より建物調査事業に着手。そこで前出の3つの機器を導入、事業化を進めた。

建物調査書の一例

建物調査書の一例。建物のどこがどのような破損、劣化状況かを数値化、および写真で閲覧できるようになっている

 当初はなかなか受け入れられなかったが、川久保社長の営業力もあり、徐々に受け入れられていった。そこに昨年の東日本大震災が発生、建物の安全性への関心が高まり、需要は拡大。現在は東京、神奈川などさまざまな建物調査を手がけている。

 「優れた機器があるからこその事業ですが、それを使いこなせる人の育成も重要です。例えば『KUMONOS』は最低でも人材育成に2年を要します。墨出し、測量で培った技術がある弊社だからこそ、人材も育成でき、正確、緻密な調査が可能になるのです」

 これまでは調査そのものに特化してきたが、今後は調査後の補修工事への展開も視野に入れているという。

 「調査データの正確さを評価いただき、できれば補修までお願いしたい、という要望は多くいただいています。その期待に応えられる企業になるべく、準備は進めております」

 決して大げさではなく、東京の建物の安全は川久保企画にかかっている、と言えよう。

 

 

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