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生活・文化
2012年6月20日号

山下敦司シェフのフランス料理美食のススメ

 フランス料理には地域の名称や人物名などが、そのまま付けられるものがとても多いとか。一般的に知られているもの、あるいはまだまだ知られていないフランス料理についての由来・歴史などを、ARGO総料理長の山下シェフが紹介します。

 

第3回 愛馬にもつけた勝利の戦い「マレンゴ」

 今回からは、歴史のあるフランス料理を紹介していこうと思います。最初は「鶏のマレンゴ風」です。

 1800年6月14日、イタリア北部ピエモンテ州アレッサンドリア近郊の町マレンゴで、ナポレオン・ボナパルト率いるフランス軍と、ミヒャイル・フォン・メラス率いるオーストリア軍が刃を交えました。この戦いは、ナポレオンの幾多の戦いの中でも、ほぼ敗戦が決まっていた状況から勝利した戦いとして有名で、“マレンゴの戦い”と呼ばれています。

 戦場は混乱を極めました。当然、食料の補給も途絶えてしまいます。

 その時、ナポレオンの料理人デュナンは、とりあえずナポレオンの料理だけでも早く作らなければならないと思い、近くの民家から鶏肉、卵、トマト、パンを調達。また民家から帰る途中の小川にザリガニがいたので、これも食材にしようと捕まえてきました。それらの食材を使ってデュナンが作ったのが「鶏のマレンゴ風」です。

戦場での混乱の中、即興で作られた「鶏のマレンゴ風」

 ナポレオンは、このあり合わせで作った料理を大変気に入ったそうです。もちろん、この戦いが大逆転勝利だったこともあるのでしょう。以後の戦いの際には、縁起を担いでこの料理をリクエストしていたと言われています。毎回同じ料理では飽きるだろうと気を利かせ、違う料理を出したところ、ナポレオンは怒ってしまったとか。

 ちなみにナポレオンの肖像画で最も有名な「サン・ベルナール峠を越えるナポレオン・ボナパルト」でナポレオンが乗っている愛馬の名前もマレンゴ。ナポレオンがいかにこの戦いの勝利が嬉しかったかが、馬につけた名前からもわかります。

 


<山下敦司プロフィール>

フレンチレストラン「アルゴ」(千代田区麹町)総料理長。
服部栄養専門学校卒業後、銀座「フランス料理清月堂」、大阪欧風菓子「ケンテル」を経て、1995年渡仏。
エクス・アン・プロヴァンス「ル・クロー・ドゥ・ラ・ヴィオレット」(ミシュラン二ツ星)、パリ「ル・ディヴェレック」(二ツ星)、アヌシー「オー ベルジュ・ド・レリダン」(三ツ星)、ロアンヌ「トロワグロ」(三ツ星)、パリ「ピエール・ガニェール」(三ツ星)と数々の名店で部門シェフを務め、クラシックから最先端のフレンチまで幅広く研鑽を積む。
2000年に帰国後は、ガニェール氏の推薦により「ル・コルドン・ブルー・パリ」にて6年半、料理講座教授。

 

 

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