

第16回 地元の学校給食にも大きく貢献
杉並区産の野菜
取材協力/江戸東京・伝統野菜研究会代表 大竹道茂
大竹道茂の江戸東京野菜通信 http://edoyasai.sblo.jp/

鈴木さん宅はこの地で11代続く農家。周辺には住宅が建ち並ぶ
京王井の頭線・高井戸駅から歩いておよそ15分。中央自動車道が数十メートル先に走る住宅街の中に鈴木宗孝さんの畑がある。
「もともと私はサラリーマンで、農業とはまったく無関係。父が体調を崩して就農した18年前は小松菜とホウレンソウの区別もつかなかったんですよ」と鈴木さん。
消費者のニーズに合わせたものを作りたいと、先輩農家に指導を仰いだり、多摩地区の農家の畑を夜な夜な見に行ったこともあったというが、今では農地8600㎡の中でナス、キュウリ、ジャガイモ、トマトなど、年間約40~50種類の野菜を栽培。化学肥料や農薬を極力控えたエコファーマーでもあり、杉並区のJA東京中央城西地区青壮年部(農業後継者組織)の部長もつとめる。

年間40~50種類の野菜を栽培。取材時はナス、オクラが最盛期を迎えていた
また、地産地消を理解してもらおうと、区内の小中学校の給食に農家の仲間で6校、個人では3校に野菜を供給している。学校からの畑見学を受け入れたり、自ら学校に出向き旬の野菜についての話をするなど、食育活動を通じて地元の子どもたちとも積極的に交流している。
現在は奥さんと2人で畑と直売所をやっているので、なかなか細部にまでは手が回らない。周辺が住宅地のため、トラクターをかける時間まで気を遣うという都市農業ならではの苦労もある。

直売所用に金糸ウリが収穫されていた

ハウス栽培のトマトは主にレストラン用に出荷される
「どこまでやっていけるのか不安もあります。でも杉並区に畑があり、野菜を作っているということを知ってほしいですし、子供たちにも安心・安全な野菜を食べさせたい。今後は体験農園や果実狩りなどもやっていきたいです」
●鈴木さんの畑の直売所/杉並区上高井戸2―8