

第18回 土の代わりにヤシガラを使って栽培される
樽トマト
取材協力/江戸東京・伝統野菜研究会代表 大竹道茂
大竹道茂の江戸東京野菜通信 http://edoyasai.sblo.jp/

糖度が7度以上ありフルーティ
最近は、トマトといってもさまざまな種類がある。特にミディ・ミニトマトは黄色やオレンジ色、紫がかった色のものまであり、レインボートマトとしてパック詰めで販売されている。
日野市東平山で400年以上続く農家・小林和男さんもトマト栽培者の一人。小林さん宅ではアイコ、シンディスイート、トスカーナバイオレットなど7種類のトマトを栽培している。栽培方法は、土を使わず発砲スチロール製の容器にヤシガラ等を敷き詰める『樽トマト』だ。
「今から10年前、JA東京みなみで川崎方面の農家に樽トマトの視察に行ったんです。その時に、“これは絶対自分でもやりたい”と思ったのが栽培を始めるきっかけでした」と小林さん。それから都の補助事業を受けるために同じ地区の生産者に声をかけ、2009年にようやく市内4農家が栽培を始めた。

「日野樽トマトとしてブランド化していきたい」と意気込みを語る小林さん。取材時は大玉トマトの収穫が終わり、7種類のミディ・ミニ・マイクロトマトがハウス栽培されていた
「樽トマトは土を使わないので土壌消毒の必要がないのが特徴です。また連作も可能で、病気に強いトマトの苗木を切って挿し木をしておくと、そこから根が出てくるので、苗を新たに購入する経費を抑えられます」
糖度も7度以上あり、地元の直売所でも人気が高いという。生産者仲間同士では随時勉強会を開き、情報交換を行いながら互いに技術向上を目指している。
「まだまだ試行錯誤の段階ですが、仲間たちと楽しみながら続けていきたいと思っています。ほかの地域には負けませんよ」
今年からは仲間も一人増え、「日野の樽トマト」がまた活気づいた。