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環境
2012年11月20日号


第19回 世田谷に伝わる伝統野菜
伝統大蔵大根

取材協力/江戸東京・伝統野菜研究会代表 大竹道茂
大竹道茂の江戸東京野菜通信 http://edoyasai.sblo.jp/

 

収穫したばかりの大蔵大根

収穫したばかりの大蔵大根。青首大根に比べ水分が少なく煮物に最適

 色は純白、根の上部から先までが同じ太さの円筒形が特長の大蔵大根。江戸時代に豊多摩郡(現在の杉並区)の源内という農民が作り出した「源内つまり大根」が原種とされ、のちに世田谷区の大蔵原に伝わったと言われている。

 病気に強く栽培しやすい青首大根に押され、一時は姿を消した大蔵大根を復活させようと、平成9年から再び栽培を始めたのが、世田谷区瀬田で10代続く農家、大塚信美さん。今では「せたがやそだち」の人気野菜の一つとして消費者に喜ばれている。

 「しかし、この大根はあくまでもF1(交配種)。どうしても代々伝えられてきたゆかりのものを作ってみたかったんです」と大塚さん。3年ほど前から固定種の「伝統大蔵大根」の栽培にも取り組んでいる。

大蔵大根を販売している直売所

大塚さん宅の前にある直売所。露地で栽培した旬の野菜を販売

 大塚さんのこだわりは何といっても土作り。肥料は糠、骨粉、馬糞など有機質のもののみを使用し、4年に一度はトレンチャーで土を掘り起こし天地返しを行う。支柱を土に差し込むと1メートル以上もスーッと入っていくほど柔らかい。しかし、これほどの土作りや40年以上の農業経験を持ってしても伝統大蔵大根の「気持ちがまだ読めない」という。

 「農業は毎年が一年生。失敗が意識の改革につながります。これからも試行錯誤しながら栽培を続けます」

 一方、地元の小学校からの農業見学を受け入れたり、学校給食に野菜を供給したりと地域交流も盛んだ。野菜ができるまでのプロセスを子どもたちに直に見てもらえることこそが農業を伝える一番の手法だという。

およそ60a(6000㎡)の土地に大蔵大根と伝統大蔵大根が栽培されている。収穫量は1800本のうち400本が伝統大蔵大根

 伝統大蔵大根を前に撮影をお願いすると、「お前よかったなあ。新聞に載るんだぞ」と嬉しそうに大根に話しかける大塚さん。農業を、そして育てる野菜をこよなく愛する一面が窺えた。

●直売所所在地/世田谷区瀬田5―12―15

 

 

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