HOME » トップインタビュー一覧 » トップインタビュー Vol.60 特定非営利活動法人 東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会 副理事長・専務理事 水野正人さん
インタビュー
2012年12月20日号

 

公益財団法人 日本オリンピック委員会 副会長 水野正人さん

オリンピック・パラリンピック開催で元気、夢、誇りを取り戻す。

特定非営利活動法人 東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会 副理事長・専務理事
公益財団法人 日本オリンピック委員会 副会長

水野正人さん

 来年9月、ブエノスアイレスで開かれる第125次IOC総会において、2020年オリンピック・パラリンピックの開催都市が決定する。立候補ファイルの提出期限も来年1月7日と迫った今、日本の招致活動はどうなっているのか。2016年の経験を活かした上での改善点や東京で開催する意義、その効果などを東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会副理事長・専務理事の水野正人さんにうかがった。

(インタビュー/津久井 美智江)

復興した日本の姿を世界中に見せることで
支援に対する感謝の気持を伝えたい

―「今、ニッポンにはこの夢の力が必要だ。」という招致スローガンを掲げていますが、まったくその通りだと思います。

西田 去年の東日本大震災もあり、日本は今、経済界も閉塞感が蔓延していますし、若者もあまり元気がなく、内向き思考になっています。この閉塞感を打ち破る大きなきっかけになるのがオリンピック・パラリンピック(以下オリンピック)招致だと思うんですね。

 オリンピック招致が決まれば、「いよいよオリンピックをやるんだ!」ということで、まず気持ちが盛り上がります。そして、オリンピックの開催は、東京都のみならず、全国に新たな需要をもたらします。その経済効果は全国で約3兆円、東京都内で約1兆7000億円が期待でき、雇用も約15万人が創出されるということですから、大きなインパクトになります。本当に日本全体が明るくなると思いますね。

モスクワで行われたANOC(国内オリンピック委員会連合会)の総会

モスクワで行われたANOC(国内オリンピック委員会連合会)の総会で

―ロンドンオリンピックを見ても感じましたが、スポーツは人を元気にする力があると思います。

西田 今回の大会のコンセプトはまさに「スポーツの力(the power of sport)」です。

 震災に際して、JOC(日本オリンピック委員会)やIOC(国際オリンピック委員会)をはじめとするスポーツ界が、被災地支援ということでスポーツイベントなどのプログラムを組み、さまざまな子供たちの交流の場を作ってくれましたが、子供たちが元気を取り戻す様子を目の当たりにして、私たちも元気をもらいました。そういう元気、勇気、夢を共有する場を体験して、本当にスポーツには大いなる力があると実感しました。

 被災されたみなさん、世界でもいろいろな災害に直面しているみなさんに元気になってもらう。それによって私たちも元気をもらう。みんなで元気になりましょうということで、2020年には復興した日本で、素晴らしいオリンピックを開催したい。そして元気になった日本の姿を世界中の人びとに見ていただくことにより、支援を寄せてくれた全世界への大きな感謝を示すとともに、スポーツの持つ大きな力が、いかに困難に直面した人々を励まし、勇気づけるかを世界に示したいですね。

―東京の都市力をアピールする機会でもありますね。

西田 東京の都市力は、世界で類を見ないほど素晴らしい。公共交通機関の運行は世界中の人がびっくりするほど正確ですし、道路もスムーズです。それに夜、女性が一人で歩いて家に帰れるほど安全・安心。さらに、都は東京を世界最高の防災都市にする方向で進んでいますから、2020年には何が起こってもびくともしない施設ができあがります。避難経路やいざという時の備蓄品も含め、何か起きた時のリスクヘッジができる国は、世界広しといえどもなかなかないでしょうね。

 

革新に満ちた世界一コンパクトな大会を実現
未来の都市モデル、未来のオリンピックを提示

―今年5月に東京、イスタンブール、マドリードの3都市が正式な立候補地に選ばれ、いよいよ来年1月7日が立候補ファイル(開催計画)の提出期限ですね。

西田 2016年オリンピック招致は失敗に終わりましたが、学ぶべきことはたくさんありました。この経験をどう活かすのか。その一つが開催計画です。前回の計画も素晴らしかったんですが、よく精査してみると、意図的ではないにしろ至らない点もあった。

 例えば、IOC委員会から指摘されたのは、メインスタジアムのロケーションです。2016年は晴海ふ頭に新設予定だったのですが、「三方が海に囲まれているので、災害が発生した時に一方にしか避難できないのではないか」と報告書に書かれました。また、選手村も「33haでは面積が足りず、ロケーションもよくない」とありました。

―今回の計画ではどうなるのですか。

西田 メインスタジアムを新宿区の国立競技場にし、選手村を2016年招致でメインスタジアムを予定していた中央区の晴海に変更しました。

 メインスタジアムは、国立霞ヶ丘陸上競技場を新国立競技場として建て替え、一帯は神宮スポーツクラスターとして整備します。2019年に日本で開催されるラグビーワールドカップにあわせて完成する予定ですが、これからもずっと長い間レガシーとして有効利用できると思います。11月に新国立競技場基本構想国際デザイン・コンクールの最優秀賞が決まりましたので、デザインパースもファイルに反映しますよ。

 有明地区に計画していた選手村は晴海地区に変更し、面積は44haに拡張します。選手村は都内の31競技場のうち28会場が半径8㎞圏内、ほぼ真ん中に位置しているんですが、これで大会の中心は選手だということを象徴しています。

 それから、選手は競技場までの移動時間を非常に気にするんですね。ある程度距離があっても短時間で到達できるほうが重要なので、選手にとってはかなりストレスの少ない大会になるはずです。

 今、会場のほとんどが選手村の半径8㎞圏内と言いましたが、競技会場は43%を既存の施設を使用し、施設の整備にかける費用や環境への負荷もできる限り抑えています。世界で最も安全な東京で、革新に満ちた世界一コンパクトな大会を実現し、未来の都市モデル、未来のオリンピックを提示したいですね。

―前回の招致失敗の大きな要因でもあった支持率についてはいかがですか。

西田 ロンドンオリンピック開催後にIOCと同じ方法と手段で支持率の世論調査を行ったのですが、大会前は賛成58%、反対16%、どちらでもない26%だったのが、大会後は賛成66%、反対14%、どちらでもない20%でした。前回の55%に比べればだいぶ上がってきてはい ますが、もうちょっとほしいところですね。

―「どちらでもない」というのが、ネガティブにカウントされるようですね。

西田 そこが日本人らしい奥ゆかしさなんでしょうね。もっともロンドンもそうでしたが、ニューヨークやシカゴなど大都市は支持率が低く、小さな町は支持率が高い傾向にあるんです。でも、考えてみてください。66%の人が賛成しているということは、人口でいったら大変に多くの方が待ち望んでいるということなんですよ。

 

日本人としての誇りを取り戻し、 世界の核になる都市に再生する好機

―オリンピックを支持する人の割合が決して高くなかったイギリスですが、開催後には国民の意識が大きく変わったことが調査で明らかになったそうですね。

西田 「ロンドンでの開催がイギリス国内の気運に好影響を与えた」と答えた人は81%、招致活動に対する支持率は44%から72%に上昇、「ロンドンやイギリスに対する注目度が上がった」と答えた人は84%です。

8月20日に銀座で行われたメダリストのパレード

8月20日に銀座で行われたメダリストのパレード

 大会開催によってイギリス人が手にした誇りと勢いは、今後のイギリスの発展の原動力になることでしょう。日本もオリンピックを招致することによって、日本人としての誇りを取り戻し、世界の核になる都市に再生する好機としたいですね。

―銀座で行われたメダリストのパレードにはすごい観衆が集まりました。IOCの印象も変わるのではないでしょうか。

西田 あれは本当にすごかったですね。私たちは10万人も集まればいいと思っていたのですが、50万人ですからね。国内のパレードとしては最大の観客動員数だそうで、私も5台目のバスに乗っていたのですが、本当に感動しました。

―ロンドンオリンピックでは過去最多の38個のメダルを獲得しましたが、国立科学スポーツセンターができたことも影響していますか。

西田 間違いなく日本の国際競技力は向上していますね。開催国は全競技出場権があるので、招致が決まったらさらに強化しますよ。そうなれば確実にスポーツ振興が進みますから、スポーツ業界もいい方向に向かうと思います。

―観光の面でも非常に大きな効果を生むと思います。

西田 そうですね。世界中から選手をはじめ、競技関係者、マスコミ関係者、観客など多くの人が訪れます。

 みなさんに日本の伝統的な文化や、日本が持つ革新性や最先端の科学技術を体感してもらい、日本の素晴らしさを知っていただきたいですね。

 そして何より、日本人ならではの「おもてなし」の心を肌で感じていただきたい。そうすれば、きっとまた訪れたくなるでしょうし、家族や友人にも勧めてくれたら、観光立国日本も夢ではなくなるでしょう。

―ところで、ご自身も何かスポーツはされていたのですか。

西田 高校、大学とサッカーをやっていました。でも常にベンチまでで、一度もピッチに立ったことがないんです。

 この歳になって言い訳するわけではありませんが、当時はメンバー交代がなかったんですね。だから最初に11人出たら、最後までその11人で戦う。負傷者が出たら、人数が減っていくだけだったんです。

―“イレブン”じゃなかった。

西田 要するにヘタだったということですね(笑)。

―最後になりますが、素晴らしいファイルとプレゼンテーションを期待しています。

西田 私たちはスポーツの力を信じています。東京開催で元気、夢、誇りを取り戻す「日本復活オリンピック・日本復活パラリンピック」にする。それが私たちの信念ですから、必ず東京にオリンピックを持ってきます。

 

 

公益財団法人 日本オリンピック委員会 副会長 水野正人さん

撮影/木村 佳代子

<プロフィール>
みずの まさと
 1943年、兵庫県生まれ。66年、甲南大学経済学部卒業。同年、美津濃(現ミズノ)株式会社入社。70年米国ウィスコンシン州カーセージ大学理学部卒業。88年、ミズノ代表取締役社長就任。2006年、ミズノ代表取締役会長就任、11年、退任。96年より国際オリンピック委員会スポーツと環境委員会委員。2001年、日本オリンピック委員会理事就任。07年、日本オリンピック委員会副会長就任。11年、東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会副理事長・専務理事に就任。04年、藍綬褒章を受章。

 

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