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暮らし・文化
2013年5月20日号

らくがきスポーツカフェ(34)

Jリーグ開幕20周年
実に感慨深い

スポーツ・プロデューサー、NPO法人スポーツ見物協会 堀田 壽一

 Jリーグ開幕20周年記念試合を観るために、埼玉スタジアムへ行った。

 ピッチは雨でぬれていた。20年前は、5万人が入るサッカー専用スタジアムができるとは思ってもいなかったなあ。そんなことを思いながら、感慨にふけっていた。

 カメラマンからスポーツ・プロデューサーへと、職種を変更したばかりの私は、Jリーグの担当を命じられた。当時Jリーグは人気沸騰中。その真ただ中に放り込まれたのだが、素人同然の新人プロデューサーに人気のカードは取れない。情けない日々が続いていた。

 サッカーはボールをゴールに入れれば良いのだが、これが難しい。特にプロの試合では、なかなか点が入らない。よそ見していてゴールシーンを見逃すこともある。

 0対0のゲームの中にあるつばぜり合いや、その面白さが理解できないからか、ジリジリとサッカーの人気は落ちていった。今でも在京6放送局の地上波でJリーグの試合を夜に放送することはゼロに近く、放送されるのはもっぱら人気のある日本代表戦だ。

 「放送枠を増やしてほしい」「何とかならないか」と、Jリーグからシーズンが終わる頃、声がかかるようになった。

 テレビでは、朝の連ドラのように定時制が大切だと思っている。そこで、『午後7時にはサッカー中継がある』と誰もが知っている、決まっているというソフトを育ててはどうかと考えた。

 Jリーグはさまざまな情報公開をしており、Jリーグの試合の全国中継・ローカル中継・録画などは、1本の権料がわかっていた。私は、その年1年間でJリーグが得た放送権料を全部調べて総額を出し、幾らなら定時の放送権が取れるか、放送できるかを予測し、その金額を決め「稟議書」を書いた。あの頃は、徹夜を続ける燃える気力があったのだ。

 その甲斐あってか、Jリーグの試合開催日の午後7時、NHKのBSで放送を始めることが決定した。

 さて、記念試合はオフサイド判定を巡って揉めた。オフサイドラインに足が掛かっていたかどうかが争点だった。微妙な判定をVTRで確認するという、まさにテレビの独壇場。また、それを観た記者たちも持てる知識を披露しつつ激論する。スポーツの面白さの一つである。

 ピッチを見つめて20年、そんな場面を何度経験したことか。定年までのはずだったが、今は「生涯スポーツ・プロデューサー」かと苦笑いしている。

 


<筆者紹介>

堀田 壽一(ほった じゅいち)

愛知大学経済学部卒業。NHK入局。報道カメラマンを経て、NHKスペシャル「アフリカに架ける橋」「飢餓地帯を行く」「呉清源」など幅広いジャンルでカメラマンとして活躍。スポーツも各種目を取材、スポーツ報道センターチーフプロデュサーとしてサタデースポーツ、サンデースポーツ副編集長を務める。オリンピックはリレハンメル、アトランタ、シドニー、サッカーは1998年のフランス大会を現地取材。特にJリーグは1983年から取材を続けている。1997年、NHK退職後、関連会社でスポーツ番組制作に参加。2007年からフリーランス・スポーツプロデューサー。日本トップリーグ連携機構マネージメント強化プロジェクトアドバイザー、NPO法人スポーツ見物協会会員。

 

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