東京都は、「2050東京戦略」において「命を守る熱中症対策」を政策目標に掲げ、全庁を挙げて取組を進めており、環境局では、熱中症対策に関する普及啓発や情報提供、区市町村・民間企業との連携など、様々な施策を展開している。また、2026年度からは「東京クールビズ」を開始し、「働く環境」「暮らす環境」「装う環境」の3つをクールにする取組の中で、暑さ対策も推進している。

熱中症は重症化すると命に関わる一方で、適切な対策によって防ぐことが可能である。こまめな水分補給、無理をせずエアコンを使用すること、クーリングシェルター等の活用など、日々の生活の中で無理なく実践できる「夏の習慣」を広げることが重要である。

過去5年間の熱中症による救急搬送人員(各年6月~9月)

過去5年間の熱中症による救急搬送人員(各年6月~9月)

■東京都の取組

東京都では、都民の命と健康を守り、誰もが安全かつ快適に夏を過ごせるよう、熱中症対策に関する普及啓発、情報提供、行動変容の後押しに取り組んでいる。主な取組は次の3点である。

(1)講習会の実施

令和6年5月、東京都は一般財団法人日本気象協会と「TOKYO『熱中症ゼロへ』アクション事業」に係る連携協定を締結し、この連携のもと、区市町村のイベント等へ講師を派遣する事業を開始した。

令和7年度からは、東京都主催の講習会として東京都暑熱順化等講習会(暑熱順化スタート講座)を都内10か所で開始し、今年度からは、「夏習慣ポイント講座(東京都熱中症対策講習会)」を都内5か所で開催した。今年度から東京都主催の講習会の募集には東京アプリを活用し、ほぼ全ての会場で満席となるなど高い関心が寄せられた。

講習会は二部構成で、前半は気象予報士による熱中症の基礎知識や今夏の見通しの説明、後半は体操の実践や企業の取組紹介など、日常生活で実践しやすい内容としている。

講習会の開催に当たっては、区市町村と連携して会場設定や広報を行っている。今後も地域に身近な場で学べる機会を広げながら、熱中症対策に関する知識の普及と早期からの行動変容を後押ししていく。

(2)暑さ対策グッズコンテストの開催

暑さに適応したライフスタイルへの転換を進めるため、「東京都暑さ対策グッズコンテスト」を開催した。暑さ対策に役立つ工夫を都民に広く知ってもらうことを目的とする取組である。

「日陰づくり部門」「水分・塩分補給部門」「体温冷却・調節部門」「測定・見守り部門」の4部門で商品を募集し、応募総数113点の中から、専門家による第一次審査で各部門計12商品の受賞候補グッズを選定した。その後、5月1日から5月10日まで東京アプリ等を活用して都民投票を実施し、約3万人が参加した。その結果、各部門のグランプリのほか、イノベーション賞、ユーザビリティ賞などの受賞グッズを決定した。今後はその普及を通じた都民の行動変容の推進に努めていく。

暑さ対策グッズコンテスト7受賞グッズ等をご紹介https://wbgt.metro.tokyo.lg.jp/effort/seminars/9.html

暑さ対策グッズコンテスト7受賞グッズ等をご紹介
https://wbgt.metro.tokyo.lg.jp/effort/seminars/9.html

(3)東京暑さマップとクーリングシェルターの普及促進

暑さ指数(WBGT:湿球黒球温度)は、気温、湿度、日射・輻射熱などを取り入れた指標であり、熱中症リスクの把握に有効である。

環境省による暑さ指数の情報公表地点は都内11か所(うち4か所は島しょ地域)であるため、よりきめ細かな情報提供へのニーズが高い状況であった。そこで都は、一般財団法人日本気象協会と連携し、令和7年度から「東京暑さマップ」を公開している。都内全域を対象に、暑さ指数を1㎞メッシュで表示し、都民や区市町村が地域ごとの暑さのリスクを把握しやすくする取組である。

特徴は、以下の通りである。

〇身近な場所の危険度が分かる(1㎞メッシュ表示)
〇1時間ごとの暑さ指数を48時間先まで確認できる
〇日ごとの最高暑さ指数を7日先まで確認できる
〇区市町村ごとの数値を表形式でも確認できる

令和8年度からは位置情報を加え、多言語でも情報提供するほか、クーリングシェルターやTOKYOクールシェアスポットの位置なども表示できるようになり、より便利で分かりやすくなっている。

「東京暑さマップ」は、外出やイベント実施の判断、早めの熱中症対策に役立つ情報基盤であり、クーリングシェルター等の情報と連携して暑さを避ける行動につなげることを目指している。

■安全で快適な夏に向けて

これから本格的な夏を迎えるに当たり、都民一人ひとりがこまめな水分補給、迷わずエアコンを使用すること、「東京暑さマップ」や暑さチェッカー(WBGT測定器)の活用、暑さ対策グッズの活用、クーリングシェルター等の利用といった行動を「夏の習慣」にして、実践することが求められる。

東京都は、今後も区市町村や関係団体等と連携し、熱中症対策に関する知識の普及、情報提供、行動につながる環境づくりを進め、暑さから都民の命と健康を守る取組を推進していく。