わが街の特職課 2020/2/20号

  • 記事:津久井 美智江

インパクト抜群でインスタ映え必至「オブジェ-見知らぬ人」

立川市「ファーレ立川」

 1994年10月13日、JR立川駅北口にファーレ立川がオープンした。米軍基地の跡地に誕生したホテルやデパート、映画館、オフィスビルなど11棟の建物から成るこの街には、36カ国、92人のアーティストによる109点のアートが点在している。

 「アートディレクターの北川フラムさんによる3つのコンセプトのもと、無機質なこのビル街を森に見たてて、森に息づく生命のようにアート作品が設置されました」と話す、立川市地域文化課文化振興係長の柳澤彰子さん。

 コンセプトは、「世界を映す街」、「機能(ファンクション)を美術(フィクション)に!」「驚きと発見の街」。なるほど、考え方も手法も材料も違うさまざまな国のアーティストの作品が並び(世界を映す街)、それぞれが車止めや換気塔、街灯、ベンチ、散水栓のカバーなどとしても使われており(機能を美術に!)、説明板をつけず、まち歩きをしながら作品を探して楽しめるようになっている(驚きと発見の街)。

カラフルなベンチ「会話」は、子どもたちに大人気

 ビルの合間を縫うようにして街区全体に点在させた作品配置は、これらのコンセプトを効果的に見せるためのものだ。

 「説明板はないですが、全作品のナビゲーションアプリ『ファーレ立川アートナビ』を作りました。アートマップもありますし、ファーレ倶楽部というボランティア団体が、アートツアーを実施しています」と柳澤さん。

 屋外に設置されたアート作品の宿命ともいえるのが、劣化や破損だ。設置から10年目と20年目の年には、大規模な修復事業を行った。

 「作品は立川市とビル所有者など民間が、ほぼ半分ずつ所有しています。修復費用は市と民間が負担したほか、足りない部分は協賛金を募ったり、クラウドファンディングを利用したりしました。修復ではないですが、ファーレ倶楽部が『ぴかぴかアートプログラム』というアート清掃のイベントを開催しています。これは、作品の維持・管理の必要性を知るいい機会にもなっていると思います。このように、ファーレ立川アートは、街ぐるみで維持・管理しているパブリックアートなんです」

 課題は「ファーレ立川アートの認知度を高めること」だという柳澤さん。「アートとは知らず、作品に落書きをされたり、スケートボードの格好の障害物として扱われたり、悲しくなる出来事もあります。イベントなどを通じて、もっと多くの方にファーレ立川アートを好きになってもらいたいです」

 3月8日には「ぴかぴかアートプログラム」、3月20日にはファーレ立川を美術館に見立て、トークイベントやアートマーケットなどを開催する「ファーレ立川アートミュージアム・デー」を開催。オリンピックに合わせて7月にアートイベントを開催する予定もあるという。

 4月には近くに新街区「GREEN SPRINGS(グリーンスプリングス)が街びらきする。

 「パブリックアートも展示されるようなので、うまくコラボできたらいいですね」

 今度はガイドツアーで訪れよう。

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