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特集2013年12月20日号
(取材/種藤 潤)
講演1 東京都の防災対策 〜自助・共助・公助の結集〜
東京都総務局 総合防災部 部長 村松明典氏
東京都では、東日本大震災をふまえ、それまでの被害想定の見直しに着手。その上で2012年に「東京都地域防災計画」を修正、「自助・共助・公助を束ねた地震に強いまちづくり」「都民の命と首都機能を守る危機管理の体制づくり」「被災者の生活を支え、東京を早期に再生する 仕組みづくり」の3つの視点と「被害軽減と都市再生に向けた目標」を打ち出した。さらにこうした体制づくりには民間企業の存在は不可欠とし、企業への協力を訴えた。
講演2 首都直下地震を踏まえた震災対策
東京消防庁 防災部 震災対策課 課長 江原信之氏
首都直下地震について考えていく事例として、実際に東京で起こった「関東大震災」と、近年の大地震として「阪神・淡路大震災」と「東日本大震災」の被害状況を紹介した。そしてこれらの災害では火災での死者が多いこと、災害発生から72時間が生死の分かれ目であることを明示。それを踏まえた対策強化を同庁で行っていることを示すとともに、都民各自が「自分だけは大丈夫」と油断せず、「自助・共助」が救命では重要であることを強調した。
講演3 警視庁の震災対策について
警視庁 警備部 災害対策課 課長代理 宇井秀三氏
警視庁では震度6以上の地震が発生した場合、「最高警備本部」が立ち上がり、東京都、自衛隊、警察庁ら関係官庁と連携しながら、庁内全体で災害対策を行う体制を構築。そのなかの災害時の交通規制等、具体的な対策について解説した。そして2012年に立ち上げた「特殊救助隊」や、災害対策課全体での体制強化など、近年の庁内での災害対策強化について触れ、帰宅困難者対策、自主防災組織の活性化など、各署での防災強化に向けた活動状況もあわせて紹介した。
講演4 陸上自衛隊の災害派遣について
防衛省 陸上自衛隊 第1師団司令部 第3部長 1等陸佐 松尾幸成氏
まず陸・海・空各自衛隊の運用体制と、災害時によく使用される装備などを紹介し、その上で災害派遣の要請から派遣、撤収までのプロセスを説明した。そして派遣の際は、「公共性」「緊急性」「非代替性」の3原則を検証することを説明。特に「非代替性」は、あくまで自衛隊は災害時のサポート役であり、主役は警察・消防であることを強調した。そして最後は具体的な自衛隊の派遣事例として、10月の伊豆大島の台風被害での活動を紹介した。
HYBRID ライフラインベンダー
大塚食品株式会社
会場でひときわ目を引いた自動販売機。同社が新たな災害備蓄手法として提案する「HYBRIDライフラインベンダー」だ。平常時は自動販売機として利用でき、災害時には手動で食品、飲料を取り出せる備蓄型自動販売機として機能する。
カロリーメイト、オレンジBOX ほか
大塚製薬株式会社
東日本大震災前から、「カロリーメイト」などの備蓄等を提案してきた同社。特に被災地では栄養バランスを崩すことが多いので、「カロリーメイト」等バランス栄養食の重要性が注目され、現在多くの企業や団体で導入が進んでいる。
環境性能評価業務(劣化診断)
株式会社オフィス山原
大地震の際、建物の倒壊の危険が懸念されるなか、同社では建物の落下危険度を提示し、建物の安全性・信頼性向上に貢献。赤外線による外壁の劣化調査と、光波形機器によるひび割れ調査により、建物の危険性を詳細にデータ化することに成功している。
防災セミナー ほか
公益社団法人危機管理協会
「危機管理主任」の資格認定や危機管理を啓蒙するセミナーを開催する同協会。特に近年は学校や母親対象の企画に注力、子ども、母親それぞれの立場での災害時の準備や対応を体験できるセミナーが好評だ。会場ではさまざまな防災グッズを紹介した。
コンテナ型建築工法「マチハコ」
株式会社乃村工藝社
規格化されたコンテナのモジュールを応用し、低価格、工期短縮、環境負荷が少ない建築工法「マチハコ」を開発。これを商業施設と複合した防災倉庫としての活用を提案。「見える」形で備蓄をデザインし、都市インフラとしての浸透を期待している。
ベンリー袋圧縮保管袋セット
ミドリ安全株式会社
多彩な防災備蓄用品を取り揃える同社。なかでも目を引いたのは、汚物を圧縮し収納できる「ベンリー袋」と「圧縮保管袋」のセット。圧縮することでスペースを1/2にできるのはもちろん、問題となる臭い、衛生面も解決する。
イレイザーミスト
ライフネットワーク株式会社
除菌・消臭効果だけでなく、花粉やカビの不活性化にも効果を発揮する「イレイザーミスト」を展示。被災地での除菌・消臭ツールとしても期待される。これから流行が予想されるノロウイルスやインフルエンザ対策としてだけでなく、加湿器としても活躍する。
アピアガード
株式会社LIXIL鈴木シャッター
近年頻発しているゲリラ豪雨などの際の、急な増水による浸水被害が問題化するなか、同社では自動的に浸水を防ぐ防水板「アピアガード」を販売。電力を必要としないなど、シャッターメーカーとしての技術が集結した注目の新商品である。
簡便エアーマット ほか
株式会社リンク・ソリューション
いざという時にクッションの代わりになる「簡便エア―マット」を紹介。ストローで空気を吹入れるだけでOKで、成人男性であれば約5分で完成する。特に寒い季節、被災地では体温低下が問題になったが、このマットを使用することでそれも防げる。
PHS備蓄キット ほか
株式会社レスキューナウ
平時から初動時、復旧時にわたり危機管理をトータルでサポートする同社。特に通信手段の課題を解決する、“通信を備蓄する”「PHS備蓄キット」が注目を集めていた。ほかにも非常時の行動指針や安否確認方法などをまとめた「防災カード」も展示。
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