HOME » NEWS TOKYO バックナンバー » 【特集】 首都直下地震を想定
【特集】 首都直下地震を想定2014年09月19日号
東京都は8月30日、杉並区と合同で総合防災訓練を実施した。訓練は都内4カ所を中心に行われ、住民や消防、警察、自衛隊など約1万人が参加。多くの木造住宅密集(木密)地域を抱える杉並区は、木密地域における救出・救助のほか、住民が自ら災害に対処する「自助」「共助」を重視した訓練も行われた。主会場となった都立和田堀公園(同区)の訓練の様子をレポートする。
訓練は、午前8時頃、東京湾北部を震源とする非常に強い地震(マグニチュード7・3)が発生し、都内の広い範囲で震度6弱以上、特に杉並区では震度6強の揺れに見舞われたと想定。杉並区をはじめとする区部は特に深刻な状況であり、家屋の倒壊、道路や鉄道などの交通網の寸断、電気・水道・ガス・通信等のライフラインの遮断が発生し、今後の消火活動、救出・救援活動などへの影響が懸念されるという設定で行われた。
和田堀公園で実施された木密地域における救出・救助等の訓練の目的は、震災時における、都、区、各機関等との連携強化を図ることと、被害状況等を事前に知らせないブラインド型の訓練を取り入れ、より実践に近い状況下における消火及び救出・救助技術の更なる向上。園内には倒壊した家屋や横転した車などが再現され、まさに地震直後のようだ。
10時40分、まずは道路清掃協会の車両が、走路の閉塞状況等を確認し、連絡。5分後には建設局が重機を持ち込み、道路上のガレキ等を除去して道路を啓開、道路上の障害となっている放置車両や事故車両を、警視庁やレッカー事業者が連携して安全で交通の妨げにならない場所へ移動する。
時を同じくして災害支援ボランティアや消防団が徒歩で到着、救護活動を開始。11時には警視庁も徒歩で到着し、道路障害物除去・放置車両移動に取りかかった。
11時5分には都消防庁・警視庁・陸上自衛隊のバイク隊が情報収集活動を開始。同時に、警視庁の警察犬がやってきて要救助者の捜索活動をスタート。
やがて火災が発生すると、手引きポンプを携えた消防団が消火活動に着手。続いて、都消防庁・警視庁の車両部隊、ヘリ投入部隊、災害救助犬、陸自・空自の車両部隊が到着し、消火・救助活動に拍車がかかる。一方で、東京都部隊は現地連絡調整所を設置、部隊活動等の調整をその場で行っていく。
さらに11時20分には東京DMAT・連携隊が到着、救護所を設営し、リアルにメイキャップした重症患者に対し医療・救護措置を開始した。応援隊やアジア大都市ネットワーク21都市のソウル・台北の海外部隊も加わると、救助活動は一気に進んでいく。
レッカー事業者が車両を移動し、救急車が到着して、重症患者が救急車で医療機関へ搬送されると、現場は落ち着きを取り戻した。
最後に警察犬と救助犬が再捜索を行い、要救助者がいないことを確認して、12時に訓練は終了した。
訓練終了後、舛添要一都知事、田中良杉並区長、吉野利明都議会議長、斉藤常男杉並区議会議長がそれぞれ講評。舛添知事は「世界一災害に強い東京をつくる」と語った。
同時多発的に展開していく救出・救助などの様々な活動、参加している全員の真剣な姿に、しばし震災の現場にいるような錯覚に陥るほどだった。こうした実践に近い訓練の積み重ねが、いざという時の安心安全につながると確信した。
和田堀公園以外の会場の主な訓練実施内容
都立和田堀公園周辺会場 松ノ木運動場 |
○住民同士による救出救助・結索訓練や応急救護訓練、放水訓練など |
都立和田堀公園周辺会場 松ノ木小学校体育館 |
○災害時に区市町村が行う「住家被害認定調査」「り災証明書発行」「被災者生活再建支援」などの訓練を実施 |
都立和田堀公園周辺会場 第一駐車場 |
○陸上自衛隊、日本赤十字社等によるカレーライス、五目ご飯の炊き出し訓練 |
高円寺北地区 区立馬橋公園周辺 |
○木密地域での災害を想定した、住民避難及び避難所運営 ○地域住民と消防団の連携による初期消火及び救出救助、地元警察署や消防署による消火・救出など |
桃井原っぱ公園 | ○災害拠点病院、医療救護班、消防団、生徒等が連携した、緊急医療救護所における負傷者のトリアージ等の医療救護活動 |
区立永福体育館 | ○地域内輸送拠点における区職員やボランティアが連携した支援物資の受け入れ及び仕分け |
晴海地区 | ○ヘリコプターによる負傷者搬送、医療ユニットや船舶を活用した医療処置の実施など |
横田基地 | ○被災地への緊急支援物資の搬送訓練 ○自衛隊救援部隊が搭乗した固定翼機からヘリコプターへの中継訓練 |
タグ:総合防災訓練 東京都 杉並区 和田堀公園 晴海地区