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NIPPON★世界一 The90th2017年08月20日号

 

●株式会社エコ・24
●港区新橋 ●設立:2003年

CAS工法によるアスベストの無害化

  日本にある世界トップクラスの技術・技能—。それを生み出すまでには、果たしてどんな苦心があったのだろうか。
 特殊な溶液「エコベスト」を噴霧してアスベスト(石綿)を包み込み、その機能性を生かしつつ無害化する、夢のような技術を取り上げてから3年弱が経った。

 その間、建築関係者へのアスベスト対策は一層求められるようになり、同社技術の導入も全国に広まった。その技術力と実績を改めて見返してみると、東京は今こそこの技術を理解し、活用する時を迎えているように思える。

(取材/種藤 潤)

 

 3年という歳月を経て、アスベスト(石綿)対策を取り巻く環境は大きく変わった。2014年6月に、改正「石綿障害予防規則」が施行。アスベスト対策の届出義務者が工事施工者から、発注者または自主施工者へと変更になった。

 それに伴い、アスベストに関わる重大訴訟判決が急増。同年10月の大阪・泉南地域のアスベスト紡績工場の元従業員と遺族による訴訟では、国の賠償責任を認める判決が出た。翌月には、九州の建設現場でも国への賠償命令が出され、続く翌年2月には機器メーカー、2016年1月には建材メーカーに対して賠償責任を認める判決が……。さらには昨年12月、大阪府堺市が発注したアスベストを含む建物の解体工事をめぐり、事前連絡を怠ったとして、同市職員らが書類送検される事態に。組織や団体のみならず、個人にまで責任が及ぶようになったのだ。法改正によって、発注者への訴訟・責任追及が現実のものとなったと言える。

 

繊維状のアスベストを「包み込む」ことで安全に

 こうした状況を受けて、同社にも全国各地の自治体から『CAS工法』によるアスベスト対策の依頼が増加しているという。その具体例を見る前に、アスベストによる健康被害について簡単におさらいしておこう。

左は対策前のアスベストの顕微鏡検査画像。右はCAS工法による対策後の画像

左はCAS工法対策前のアスベストの顕微鏡検査画像。右は対策後の画像

 アスベストは高度成長期の1960年代以降、安価かつ加工しやすい耐火材として重宝され、天井や壁、屋根や煙突、床など、鉄骨建造物を中心としたあらゆる建物に使用された。が、1970年代以降にその粉じんに高い発がん性があると指摘され始め、2006年には建物へのアスベストの製造・使用が全面禁止された。一方ですでに使用している建物への対策も求められるようになった。冒頭の法改正は、その責任がさらに明確化、厳格化されたと捉えていいだろう。

 では、『CAS工法』とはどういう技術なのか。「CAS」とは「Ceramic Asbestos Solidification」の頭文字で、アスベスト対処工法の一つで、無機系素材「ストレートシリコーン」を主成分とした含浸固化材『エコベスト』を使用した唯一の工法だ。低圧で噴霧して、アスベストの奥深くまで浸透させ、体内に入ると肺などに突き刺さる危険性のあるアスベストを「包み込む」ことで、無害な状態にすることができるのだ。

 また、従来の方法では処理しにくい場所でも使用できることも『CAS工法』の特徴と言える。

 

近年は公共施設の「煙突」対策が急増

 さて、アスベスト問題への関心の高まりとともに、『CAS工法』の需要が増えているわけだが、なかでも増加しているのが、自治体等の公共施設の「煙突」対策だという。昨年より札幌市、青森市、さいたま市などの学校を中心とした公共施設、および都内某メディカルセンターの「煙突」に『CAS工法』によるアスベスト対策を行ったという。

近年、特に都市部では「煙突」は建物の中にビルトインされて、外からはわかりにくい

近年、特に都市部では「煙突」は建物の中にビルトインされて、外からはわかりにくい

 実は昨年、札幌市では市内の給食施設でアスベストを含む断熱材が落下したことで、同市教育委員会が市内施設の点検を怠っていたことが判明。職員8人の処分、市長の減給処分にまで発展した。

 エコ・24代表取締役の波間俊一社長は「この事件後に問い合わせが急増した」と振り返るが、これはあくまで氷山の一角だと指摘する。

 「煙突はおよそ10〜15年が劣化の目安と言われ、そのメンテナンスに対応している自治体は極めて少ないと考えられます。問題になる前に、ぜひ事前対策をして欲しいです。ただ、公共施設ですから、メンテナンスのために施設の運用を止めるわけにはいかない、という理由もわかります。我々の『CAS工法』は運用も止めず、最短なら1日で作業が完了します。実施した自治体からも高い評価をいただいています」

 

2020年に安全安心のまちを実現するために

株式会社エコ・24代表取締役の波間俊一社長

株式会社エコ・24代表取締役の波間俊一社長。「アスベストは無害化すれば優れた機能性を持つ建材」と語る

 波間社長は今後、日本にとどまらず世界の安全・安心なまちづくりにアスベスト対策は必須だと、熱く語る。

 「近年発展著しいアジア地域では、アスベストを用いて建てた建物も多く、そこでの対処対策は重要です。もちろん『CAS工法』を積極的に提案していくつもりです」

 一方で国内に関しては、増加する地震や大雨などの自然災害被害の観点から、アスベスト対策は急務だという。

 「阪神淡路大震災では建物が崩壊し大量のアスベストが飛散したと言われています。東日本大震災も先日の熊本地震も、実際に解明されていませんが、地震によるアスベスト飛散の可能性は高いと考えています。特に大地震や大災害のリスクの高い東京も、対策を急いで欲しいと思います」

 2020年に東京五輪を控え、世界中の人々が集まる東京都。その際に安全・安心なまちを世界中にPRするためにも、アスベスト対策の選択肢の一つとして『CAS工法』の導入を強く提案をしていきたいと、波間社長は意欲を燃やす。

 「築地市場の建物も含め、2020年に向けて東京は大量の建築、増改築が進むでしょう。その流れを止めず、短期かつ安全にアスベスト対策ができるのは『CAS工法』だと確信しています。縁の下の力持ちとして、2020年に向けた東京のまちづくりの一役を担えれば幸いです」

 

  
 

 

 

タグ:エコ・24 アスベスト対策 CAS工法

 

 

 

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