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わが街の特職課 2017/8/20号2017年08月20日号

 
わが街の特職課

青梅市 青梅市梅の里再生計画

 平成21年3月、国内屈指の梅の名所「吉野梅郷」を有する青梅市で、ウメ輪紋ウイルス(プラムポックスウイルス)に感染したとみられる梅樹が見つかった。プラムポックスウイルスは、ウメやモモなどに感染するウイルスで、葉や果実に斑紋や輪紋が生じるほか、成熟前に落果するため収穫量が減るなど果樹生産に甚大な被害を与える。

 「市内の梅園で斑紋のある葉が見つかりました。東京都に報告し、東京大学植物病院で検査するとプラムポックスウイルスに感染しているとわかったのです」と話す青梅市まちづくり経済部梅の里再生担当主幹の野村正明さん。

青梅市梅の里再生計画

病気の蔓延を防ぐためには伐採は止むを得ないが…。梅の公園の伐採前(左)と伐採後(右)

 事態を受け農林水産省が緊急調査を実施。このウイルスによる病気の発生が確認された。その結果、青梅市全域が防除地域に指定されたのだ。「プラムポックスウイルスは主にアブラムシによって媒介されるため、徹底したアブラムシの防除や、ウイルスに感染した梅樹の伐採しか防除方法がないのです」と野村さん。

 伐採の基準は「感染樹が1割以上あればすべての梅樹を伐採」「感染樹が1割以下なら感染樹とそれに隣接する梅樹を伐採」というもの。従って、市内のすべての梅樹が伐採されたわけではないが、「約3万6000本の梅樹が青梅市からなくなってしまいました」

 なかでも吉野梅郷周辺は感染被害がより深刻で、観梅客で大いに賑わう「梅の公園」の1739本の梅樹も、平成26年にはすべて伐採された。そのため観光客は激減、商業分野への打撃も深刻だ。そこで市が主体となり、平成27年から地域全体でプラムポックスウイルスに対する強化対策に取り組んできたのだ。

 「平成28年、強化対策地区となっている市内の梅郷と和田町全域に、再植栽を認める判断がなされました」と話すのは梅の里再生担当主査の金子智さん。「年3回の感染状況調査の実施や、春・秋のアブラムシ防除と発生調査の結果など、再植栽の条件をクリアしました。強化対策の取組みや、その効果が評価されたのです」と続けた。

 とはいえ自由に植栽ができるわけでなく、再植栽された梅樹についても引き続き同様の強化対策が実施されるので気は抜けない。

 今年3年ぶりに「吉野梅郷梅まつり」が開催された。2万人以上の人が訪れたが、全盛期の来場者数には遠く及ばない。「平成32年度までに、梅の公園の梅樹を現在の600本から1200本に、来園者数を10万人以上に増やすことが目標です」と野村さん。

 市では梅樹購入や、植栽にかかる費用などに活用するため「ふるさと納税」などで寄附を募っている。現在までに1300万円ほどが集まった。また今年はこのプロジェクトが「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)」の対象事業に選ばれ、その第1号として西武信用金庫から100万円の寄付を受けた。ほかの企業からの問い合わせも来ているという。

 野村さんは「ご支援をありがたく思っています。今踏み出した梅の里再生への第1歩が、後戻りすることのない確実な歩みとなるよう努力していきます」と続けた。

 吉野梅郷が梅の香りに包まれる日が待ち遠しい。

●問合せ/青梅市まちづくり経済部梅の里再生担当 TEL 0428・22・1111

 

 

 

 

タグ:青梅市 吉野梅郷 ウメ輪紋ウイルス プラムポックスウイルス

 

 

 

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