デジタルギフトを「妊婦のための支援給付」に活用
市民の満足度向上と稲城市の業務効率化に貢献
株式会社ギフティ

  • 取材:種藤 潤

近年、ギフト市場で存在感を示す「デジタルギフト」。株式会社ギフティはそのパイオニア的存在であり、近年は企業のキャンペーンや福利厚生、自治体が実施する事業での活用事例も目立ち、累計導入件数は61,000件を超えた。中でも注目すべきは、今年度からはじまったこども家庭庁の子育て支援施策「妊婦のための支援給付」での活用だ。いち早く同社のサービスを導入した東京都稲城市の担当者とギフティの同サービス担当者へ導入の経緯や稲城市民の利用状況など、実際の反応を聞いた。

「giftee Box(R)」を稲城市オリジナル仕様にカスタマイズしたカード型の「妊婦ギフト」(左)と「産後ギフト」(右)

5万円分のギフトカードの給付を通し デジタルで幅広い商品から選択できる

 稲城市は今年度から、市内在住の妊婦に対して、株式会社ギフティが提供する選択型デジタルギフトボックス「giftee Box(R)」を稲城市仕様にカスタマイズし、紙のカードに印刷した「妊婦ギフト」「産後ギフト」を「稲城市ギフトカード」として配布を開始した。妊娠または出産が確認できた市民は、「妊婦ギフト」「産後ギフト」ともに5万円分のデジタルギフトを紙のカードとして受け取れる。カードに記載された二次元コードを読み込みサイトに遷移すると、稲城市仕様の「giftee Box(R)」に300種類以上のギフトがラインナップされており、市民が自由に選択できる仕組みだ。

 ギフトは、子供向け衣類やおもちゃ、産前産後ケア、家事代行サービス、飲食店などの店舗や、ECで利用できる商品や各種キャッシュレス決済と交換できる商品、また最短即日現金受取ができるセブン銀行ATMなど、バラエティ豊かだ。

 しかも、5万円分は複数の商品を組み合わせて受け取ることも可能。例えば、2万円分は現金で受け取り、残りの3万円分は店舗やECで利用できる商品を選ぶこともできる。さらにこのカード以外にも、都専用サイトでギフトを選択できる方法や、現金振込を選ぶことも可能だ。

 この制度は、こども家庭庁が今年度から施行開始した「妊婦のための支援給付・妊婦等包括相談支援事業」の一環として、妊婦給付認定後に5万円分、こどもの人数の届出後に5万円×人数分の給付を自治体を通して行うものだ。稲城市はその事業に、ギフティが提供するデジタルギフトを活用した法人・自治体向けサービス「giftee for Business」を採用し実施した。

「稲城市ギフトカード」の二次元コードからサイトに遷移すると、豊富なラインナップの中から好きな商品を組み合わせて受け取れる。カード画像の裏面(右)には稲城市からのメッセージも(提供:稲城市/株式会社ギフティ)

カード型で配布するという確実性と キャッシュレス時代の利便性が融合

 「稲城市ギフトカード」を配布する、稲城市役所子ども福祉部おやこ包括支援センター課に話を聞くと、市民はもちろん、行政担当現場にも極めて好評のようだ。

 「今回の『妊婦のための支援給付』では、現金給付が必須であるなか、給付方法として指定口座への現金振込に加え、デジタルギフト・現金受取・キャッシュレス決済など受け取られた方が商品を選択できカード型でお渡しできるデジタルギフトボックスを採用しました。結果、市民の多様な受給ニーズに応えられるとともに、我々の業務を大幅に効率化、迅速化することができました。現金給付の形では、申請者の口座情報の取得や振込にかかる事務手続き等、どうしても給付までに時間を要してしまうという課題がありました。しかし、カード型のデジタルギフトであれば、面談時に手渡しでき、受け取る市民の皆さんをお待たせすることもないため、双方ストレスがありません。

 そして、現時点では100%『稲城市ギフトカード』が選ばれています。これは、今の妊婦さん世代がキャッシュレスやデジタルギフトを使い慣れていることの影響が大きいのかもしれませんね」(同課渡邉格(ただし)係長)

 「本制度開始から約3ヶ月が過ぎましたが、ご意見やクレームはありません。ただ、今後はデジタルギフトの使用方法や、受取を忘れていた方へのフォローなどが発生する可能性がありますが、その窓口業務もギフティさんにお任せしています。現状は我々の事務負担は現金振込に比べると少なく、非常にスムーズにスタートを切れたと思います。

 事務負担が軽減できた分、妊婦さん達からの相談対応やサポートなど、本来我々が行うべきサービスに注力できています」(蒔田恵子課長)

株式会社ギフティのロゴマーク。右上の小さな星(アスタリスク)には、受け取り手の日常がキラッと輝く星のような瞬間を作り出したいという思いが込められている (提供:株式会社ギフティ)

商品数、デザイン力、迅速対応 稲城市らしいカスタマイズも視野に

 同ギフトの提供および運営を担うギフティだが、東京都の自治体が実施する「妊婦のための支援給付」に関しては、稲城市が初の採用だという。しかし、「東京都出産・子育て応援事業」における「バースデーサポート事業」など各事業を含めると、文京区、目黒区、葛飾区、三鷹市など17自治体で、今年度すでにサービスが採択されているという。

 「実は同事業の公布は今年3月で、極めて短期間での準備でしたが、稲城市の子ども福祉部おやこ包括支援センター課のみなさまのご協力のおかげで、稲城市さまらしいギフトの形にすることができました。ギフティではデジタルギフトだけでなく、ギフトを配布するためのソリューションや現金振込に付随する各種業務、事務局対応なども一気通貫で提供が可能です。自治体のニーズに合わせてメニューを組み合わせられるため、その自治体らしいギフトや運用をご提供できることも特徴です。市民のみなさま、稲城市さま双方に満足いただけているようで、我々としても大きな手応えを感じています」(ギフティ)

 様々な企業がデジタルギフトのサービスを展開しているなか、稲城市はなぜ同社サービスを選んだのだろうか。

 「ひとつはデジタルギフトの商品数、ブランド数の幅広さ。現金受取やポイントとの交換など幅広い選択肢の中から、妊婦支援に特化した商品を選べたことで、妊娠・出産された方にとって利便性の高いギフトを豊富かつ適切に提供することができたと思います。もうひとつは、手渡しするカードのデザイン力。妊娠・出産の喜びと温かみを感じられる一方、この制度は死産・流産した方も対象となるため、いずれの方も受け取りやすいカードデザインにする必要がありました。その点をクリアいただいたのは大きいです。最後に、短い期間で準備いただいた対応力。他にもさまざま要因はありますが、ギフティさまでよかったと改めて感じています」(同課有尾勇輝(ありおゆうき)副係長)

 ギフティは、今後は稲城市以外でも「妊婦のための支援給付」での活用を広めていく一方、その地域ならではのギフト開発も進めていきたいと語る。

 「稲城市であれば、市内の子ども関連施設のチケットなど、地域ならではのギフトがあることで、より市民の方の満足度や愛着が増し、その地域に暮らし、子育てしたいという方が増えるのではないかと思います」

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