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社会に貢献するために 第13回 帝人フロンティア(株)2017年10月20日号

 
企業の壁を超え、防災製品を組み合わせ 室内の安全対策を「まるごと」パッケージ化
帝人フロンティア株式会社

『まるごと防災』のシンボルマーク

帝人フロンティア株式会社

 2015年、本紙「NIPPON世界一」で紹介した新防炎カーテン『プルシェルター』をはじめ、さまざまな防災製品を開発・販売してきた同社が、企業の枠組みを超え、室内空間の安全対策のパッケージ提案を開始した。一般家庭、病院、介護施設など、あらゆる室内空間に対応した防災製品の組み合わせを「まるごと」提供するという。

(取材/種藤 潤)

建物の法令が及ばない室内空間の安全に備える

 「東北地方太平洋沖地震」「熊本大地震」と、日本各地で大規模地震が起こったことにより、防災意識がいっそう高まり、さまざまな防災製品が発売されるようになった。帝人フロンティア株式会社も、防災製品を開発販売してきた企業のひとつだ。はずせるカーテンフック『プルック』(群馬県/インテリアおおた製)と組み合わせた新防炎カーテン『プルシェルター』(2015年11月号最終面で紹介)や、燃えにくい繊維『つきませんい』、担架にもなる防災毛布『もうたんか』など、繊維メーカーならではの技術力を生かした、独自性ある商品を世に送り出してきた。

 このように防災の一翼を担ってきた企業として、さらなる防災に強い環境づくりをめざし、2017年8月から『まるごと防災』という、室内被害軽減対策をパッケージ化したトータルソリューション事業をスタートした。

 「現状の法令では、建物そのものは耐震化・不燃化等の対策がとられていますが、室内空間に対しての防災対策については、入居者任せになっています。しかし、新防災カーテンや毛布など、二次災害を防ぐ用品を開発してきた立場として、室内空間の対策次第で、二次災害はかなり軽減させることができると考えています。法令が及ばないからこそ、防災に携わる企業として何かしなければと思い、『まるごと防災』をスタートさせました」(担当の新事業開発室 主管の岸本隆久さん)

 

防災製品をパッケージ化し室内ごとに適した対策を提案

 『まるごと防災』は、大地震発生後の揺れによる天井落下や家具転倒、火災への対策に加え、けが人が出た場合の緊急避難対策、避難場所の確保、安否確認などに必要な防災製品を選定し、一般家庭の居間や寝室、オフィス、病院、介護施設など、室内で想定される災害に合わせ、パッケージ化して提供するものだ。取り扱う商品群には、自社だけでなく他社製品も含まれる。

岸本隆久さん

これまでもさまざまな防災製品を開発販売してきた帝人フロンティア株式会社の岸本隆久さんが、『まるごと防災』の担当を務める。手に持つのは一般社団法人防災安全協会が認証する「防災製品等推奨マーク」。『まるごと防災』も「トータルソリューション」として認証を取得。10月11日発表の「防災製品大賞©2017」では「防災安全協会賞」を受賞

 「弊社も含め、これまで防災製品は商品ごと、企業ごとに啓発及び販促を行ってきました。そのため商品単体の機能は伝えられても、それが何故必要で、災害時にどう生かされるかまでは、なかなかイメージしていただけませんでした。そこで、地震発生時の状況とともに、それぞれのシーンで活用できる商品をパッケージ化することで、災害後のイメージを具現化し、商品の機能とその必要性を理解してもらえるようにしました。そしてパッケージ化するために、他社様の協力も得ることで、“まるごと”防災を提案することができるようになりました」

 これまで防災製品を開発販売してきた社内のノウハウ、さらには防災士である岸本さんの知識や経験も生かしながら、各場面で防災機能を有効に発揮する商品を選定した。具体的には、前出の『プルシェルター』『プルック』『もうたんか』や、安全性の高い天井『かるてん』、安全性を高めた防災垂れ壁『かるかべ』、大型エアテント『エアロシェルター』などの自社商品に加え、不二ラテックス製の家具転倒防止『不動王』、東海ドア製品の変形したドアでも脱出できる『デレマース』、BCP対策としてインフォコム社製の『エマージェンシーコール』『BCPortal』、三共毛織製の備蓄毛布、三嶋電子製の水電池照明器具などがある。今後も協力企業、商品ともに数を増やしていく予定だという。

『まるごと防災』の商品群。

『まるごと防災』の商品群。同社製品にとどまらず、他社製品も組み合わせることで、室内の防災をトータルパッケージで提供することができる(提供:帝人フロンティア株式会社)

 

2020年を視野に入れ企業や団体への提案を強化

 現在は、岸本さんを中心に室内の運営管理を担う企業や団体への提案に力を入れているという。

 「東日本大震災の際、安全対策の有無によって企業が訴訟される事例もありました。今日、安全配慮は企業や団体の義務であり、対策をとること自体が求められます」

 岸本さんは、2020年に向けたまちづくりを進める東京都にこそ、『まるごと防災』を広く取り入れてもらいたいと語る。

 「すでに建物の地震対策や備蓄品などは、2020年を見据えて準備が進んでいると思います。ただ、室内空間への準備がまだであれば、『まるごと防災』を活用していただき、より地震災害に強い施設にした上で、2020年に世界中の方を迎えてほしいです。また、今後東京では高齢化も進み、災害リスクの高い介護施設や病院も対策を急がなければならないと思います。『まるごと防災』が力を発揮する場面は、数多くあると考えています」

 すべては、地震災害リスクの低い室内環境を、少しでも増やすためだ。企業という枠組みを超え、今日も同社は『まるごと防災』を提案し続ける。

 

 

 

 

タグ:帝人フロンティア まるごと防災 

 

 

 

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