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第27回 ブルーベリー2013年07月20日号

 

取材/細川奈津美
取材協力/江戸東京・伝統野菜研究会代表 大竹道茂
大竹道茂の江戸東京野菜通信 http://edoyasai.sblo.jp/

 

日本で最初の栽培農園で本物の味を追求し続けるブルーベリー

まもなく収穫を迎えるブルーベリー

まもなく収穫を迎えるブルーベリー。食べごろは「触ってみて張りに柔らかさが加わる」という

 「あなたは店で買ったブルーベリーを美味しいと思ったことがありますか」―。

 小平市にある島村ブルーベリー園の園主・島村速雄さん(68)から開口一番、質問された。個人的にブルーベリーが大好物で、旬のこの時期、店頭に並ぶブルーベリーを買ってはみるものの、正直、“本当に美味しい”と思ったことはない。ブルーベリーってこんなものか、と妥協し ていた。

 「まさにそこが問題なんです」と島村さん。「どんなに良いものを作っても、収穫後の市場での品質管理が整っていないと、本物の味を届けられない。栽培を始めて40年以上経ちますが、いまだにそれができない」

小平市にある島村ブルーベリー園は樹齢30年を超えるものも多い

島村さん宅のブルーベリーは樹齢30年を超えるものも多い

 島村さんが庭先販売にこだわる理由の一つだ。

 国内のブルーベリーの栽培・普及に大きく貢献したのは島村さんの恩師でもある東京農工大学の故・岩垣駛夫(はやお)教授。昭和39年に教授就任以降、同大の果樹園で生産開発に関する研究を本格的に開始した。昭和43年、もともと花卉農家だった島村さんは、教授から「君の家 の畑で栽培してみてくれないか」と言われ、130本のブルーベリーを植えたのが民間初の栽培となった。当時、ブルーベリーは世間で全く認知されておらず、市場でも“なんでブドウを房から外して持ってくるんだ”と言われたという。

小平市にある島村ブルーベリー園の園主・島村速雄さん

「ただただ、恩師への想いで栽培を続けています」と島村さん

 「採れたてのブルーベリーを風呂敷に包み、教授と一緒に千疋屋や高野を回り、店頭に置いてもらうようにお願いしたこともありました」

 気候や土質の違い、消費者の個々の好みに合わせるには、今なお苦労が絶えない。それでも栽培を続ける理由を尋ねると「先生は研究者として素晴らしい方でしたが、人柄も立派でした。そんな先生への恩返しのためですね」と島村さん。

 ブルーベリーの食べ方の第一は、“木から採ったものを口にほおりこんでムシャムシャやる”―。岩垣教授の想いを引き継ぎ、島村さんの“本物の味”の追求は続く。

●島村ブルーベリー園

小平市花小金井南町1―10―13 TEL042・461・7824(摘み取りは要予約)

開園期間/8月下旬頃まで※なくなり次第終了

 

 

 

 

タグ:江戸東京野菜 ブルーベリー 島村ブルーベリー園 島村速雄

 

 

 

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