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第28回 奥多摩やまめ2013年08月20日号
取材/細川奈津美
取材協力/江戸東京・伝統野菜研究会代表 大竹道茂
大竹道茂の江戸東京野菜通信 http://edoyasai.sblo.jp/
年間を通じて旬が味わえる 奥多摩やまめ
その美しさから、渓流の女王と称される「山女魚(ヤマメ)」。通常、2年で産卵して死んでしまい、食材としては塩焼きの利用がほとんどだった。
そこで、都奥多摩さかな養殖センター(旧都水産試験場奥多摩分場)では、平成10年に成熟を抑制(産卵させない)することで2年目以降も生き残り、大型に成長する「奥多摩やまめ」を開発。体長が40~50㎝にもなる奥多摩やまめは、通常のヤマメの2倍ほどもある。
奥多摩町・海沢(うなざわ)で養魚場を経営する牧野博行さん(65)は、平成17年から、この奥多摩やまめを養殖している。もともと、ニジマスを養殖していたが、牧野さん宅に隣接する都奥多摩さかな養殖センターから奥多摩やまめの養殖を依頼されたのがきっかけで、今では約2000匹を飼育。近場のキャンプ場や旅館などに出荷している。
「産卵しないため身痩せがなく、脂がのった肉厚な身を通年提供できるのが大きな特長です」と牧野さん。実際にどんな味なのか尋ねると、わざわざご自宅用の奥多摩やまめを刺身と焼き魚にして振る舞ってくれた。鮮やかなピンク色の、きめ細やかなしっとりとした身は、脂がのっていながらもしつこさはない。臭みもなく、川魚だと言われなければわからないほど、海水魚に近い感覚だ。
「奥多摩やまめは大きくなればなるほど味が良くなると言われています。出荷先でも大きい方が刺身はもちろん、寿司やムニエルなど、利用の幅が広がり喜ばれるので、いかに大きくて良い魚に育てるかが苦労するところです」
牧野さん宅は活魚での出荷が主だが、三枚におろした切り身の冷凍品や1匹まるごとの薫製なども商品化している。奥多摩やまめを美味しい、美味しいと連呼しながらいただいていると「そうやって言ってくれるのが一番うれしい。養殖している励みになりますよ」と笑顔で応えてくれた。
●牧野養魚場
西多摩郡奥多摩町海沢59 TEL0428・83・3200
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