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第30回 東京産のブドウ2013年10月20日号
取材/細川奈津美
取材協力/江戸東京・伝統野菜研究会代表 大竹道茂
大竹道茂の江戸東京野菜通信 http://edoyasai.sblo.jp/
栽培方式にもこだわりのある東京産のブドウ
西武線東村山駅から徒歩15分の場所に150年続く農家・中村博さん(57)の果樹園「久安(きゅうあん)」がある。ここでは、シャインマスカット、ハイベリー、瀬戸ジャイアンツなど、都内では珍しい26種類ものブドウが栽培されている。
「もともとうちは梨農家。5年ほど前に息子の就農がきっかけでブドウの栽培を始めました」という中村さんのこだわりは「拡大型根域(こんいき)制限栽培広島方式」という栽培方法。幅50センチ、長さ2・7メートルほどのプランターで根の量を制限し、枝葉と根の部分とのバランスを強制的に保つという革新的な技術を導入している。
「土壌の水分をセンサーで感知して自動給水しています。ビニールハウスで栽培することで、風水害、病害が減り、毎年ほぼ同量の収穫ができるのは農家にとって重要なメリットです」
皮ごと食べられて爽快感があるヨーロッパ系品種が主力。特にシャインマスカットは年々人気が高まり、農家がこぞって栽培を始めているという。だからといって皆と同じものではなく、“ここでしか買えない”珍しい品種を栽培することで、差別化を図りたいという中村さんは、国内で20軒しか栽培されていない貴重なブドウ「アウローラ」も取り扱っている。
このほか、レインボーレッドと呼ばれる、果肉の一部が赤く、糖度も高いキウイフルーツも栽培。消費者と顔の見える関係でいたいと、梨、ブドウ含め、直売で販売しているが、ミクニマルノウチなどレストランからの注文も多いという。
「産地と同じものを作っても負けるのは当たり前。だったら独自のものを作っていかなければ」と常に前向きな中村さんの心中には、次なるプロジェクトが進行中なのかもしれない。
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