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第31回 芽カブ2013年11月20日号
取材/細川奈津美
取材協力/江戸東京・伝統野菜研究会代表 大竹道茂
大竹道茂の江戸東京野菜通信 http://edoyasai.sblo.jp/
繊細な作業が伴うツマモノ 芽カブ
「メカブ」と言われて真っ先に思い浮かぶのは、ネバネバした海藻類のメカブではないだろうか。
今回取材したのは、そのメカブではなく、小さくてかわいらしい、椀物の具材や飾り用としても使用される野菜のカブ(蕪)の「芽カブ」だ。
足立区を横断する日暮里・舎人ライナー線の沿線は、以前にも本紙で紹介したが、ムラメ、アサツキ、鮎タデなど、ツマモノ栽培が盛んな地域。今回伺った横山修平さん(57)宅も同線の舎人駅から徒歩10分のところにある。
「芽カブを栽培し始めたのは、20年ほど前から。同じ地区の農家仲間が芽カブをやっているのを見て、これはおもしろそうだな、と」
この地で代々農家を営む横山さんは12代目。およそ700坪の農地で、芽カブのほかにワケギ、菜花などのツマモノを栽培している。ワケギは通年栽培だが、芽カブは9月下旬頃から種を蒔き、10月の中・下旬頃から翌3月の彼岸頃まで、ほとんど毎日収穫していく。取材時はちょうど芽カブの出荷作業に追われていた。
「一つひとつが小さいので、洗う際に水の圧力を調整したり、細かいヒゲや葉っぱを取り除く作業など手間がかかります。収穫のタイミングも大事で、少しでも大きいと市場からクレームが来るんですよ(笑)」と横山さん。
球形が直径1センチほどの芽カブ8個を見栄えがいいように小さいものから順に並べて一束に。圧力調整された散布機で洗った後も取り切れていない汚れは、スポンジでていねいに落とすという入念な作業が続いていく。
「シーズン中はほとんど毎日200束ほど作ります。家内、息子と3人でやっても一日がかりです」
興味本位から始まった芽カブ栽培も20余年。今では東京都農業祭の江戸東京野菜展示用に出品するほどの熟手となっている。
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