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第32回 三河島菜2013年12月20日号
取材/細川奈津美
取材協力/江戸東京・伝統野菜研究会代表 大竹道茂
大竹道茂の江戸東京野菜通信 http://edoyasai.sblo.jp/
隣区との連携で地産地消をめざす 三河島菜
江戸時代、荒川区三河島付近で盛んに栽培されていた三河島菜。葉は黄緑色で幅が広く、白菜のように結球しない。長さが60センチもの大株になり、味のよい漬菜として賞味されていたものの、中国から伝わってきた白菜の人気が高まるにつれ衰退し、「幻の野菜」となっていた。
ところが、仙台藩の足軽が、種子を江戸から仙台に持ち帰り、「仙台芭蕉菜」として残っていたことが判明。数年前から小平市の農家で栽培されるようになり、江戸伝統野菜がまた一つ復活を遂げた。
荒川区観光振興課では、地域の貴重な資源の一つとして、現代の荒川の地に伝統野菜を復活、普及させようとさまざまな取り組みを行っている。だが、区内には農地がないのが現状。
「荒川区内で認知度を上げるためには、どういうものかをまず知ってもらうのが先決。でも現物がないことにはどうしようもなくて……。そこで、イベントで顔見知りだった隣の区(葛飾区)にある都立農産高校に三河島菜の栽培の協力をお願いしました」と谷井千絵荒川区観光振興課長。
同校で担当になったのが佐々木希彰教諭(49)。今年は1年生の「農業と環境」という授業の一環として三河島菜を栽培、800株ほどが順調に育っている。
「その地の名前がついた野菜がせっかく里帰りしたのだから、そのすぐ近くにある農地でできたものを、区民の方や区に訪れた方にこそ食べてもらいたい。それがまさに地産地消につながるのではないでしょうか」と佐々木教諭。今回収穫される三河島菜は、日暮里駅前のイベント広場で開催される「にっぽりマルシェ」で販売が予定されている(12/21・22)。
●荒川区観光振興課 TEL03・3802・3111
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