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第33回 品川かぶ2014年01月20日号

取材/細川奈津美
取材協力/江戸東京・伝統野菜研究会代表 大竹道茂
大竹道茂の江戸東京野菜通信 http://edoyasai.sblo.jp/
緑の地で品評会が開催された 品川かぶ

「畑のない区に畑を作る」をモットーに品川かぶの普及に努める大塚さん
京浜急行線新馬場駅前にある品川神社は、徳川家康が関ヶ原へ出陣の際にここで戦勝を祈願し、その後、祈願成就の御礼として御輿と仮面を奉納したという由緒ある社。富岡八幡宮、山王日枝神社などと並ぶ東京十社の一社にも指定されている。
かつて品川宿一帯では、漬物用に作られていた長かぶ「品川かぶ」があった。長さ20センチほどの細長い根と、その2~3倍ほどある大きな葉が特長のこのかぶについての由来が、神社の境内に立つ案内版に書かれてある。昨年12月23日、この神社において品川かぶの品評会が行われた。

金賞を受賞した品川学園の皆さん。お祝いを兼ねてまだ畑に残っている品川かぶを品川汁にしようと計画中
主催したのは、6年ほど前から品川かぶを使った商品開発や販売でまちおこしを行っている地元の市民グループ「東海道品川宿なすびの花」。代表の大塚好雄さん(65)は青果店も経営している。

品川区内外の小学校、保育園など12団体が参加、審査員が葉の大きさや全体のバランスを評価した
「以前に香取神社(江東区亀戸)で亀戸大根を奉納するのを見たことがあって、“品川かぶもできる”と思い、昨年から品評会を始めました。今年は区外からも参加していただき、とてもうれしい」と大塚さん。大塚さんらメンバーは、主に区内の学校や保育園、福祉施設などに出向いて品川かぶの種を配布し、栽培方法や収穫などを手伝っており、品評会にはその中から12団体が参加した。
本連載に協力していただいている大竹道茂さんを含めた審査員10名が、見た目や生育の状態、かぶ全体のバランスなど5項目を10点満点で評価。金賞には品川区立小中一貫校品川学園が選ばれた。
授賞式後、大塚さんの周りには、お礼を述べたり栽培の苦労を話したりする大勢の子どもたちで人だかり。大塚さんは「これがうれしくて、やめられない。この活動を続け、畑のない品川区にいつか畑を作っていきたい」と話していた。

当日は参加者に品川かぶと豆乳を使った品川汁や千住ねぎを使った串かつなどが振舞われた
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