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局長に聞く62 東京都総務局長2014年01月20日号

 
防災事業を精力的に推進
東京都総務局長 中西 充氏氏

東京都総務局長 中西 充氏

 東京都の各局が行っている事業のポイントを紹介してもらう「局長に聞く」。62回目の今回は総務局長の中西充氏。昨年10月、大島で発生した記録的な豪雨は甚大な被害を現地にもたらした。大島復興の進め方や災害に対する啓発活動についてお話を伺った。

(聞き手/平田 邦彦)

大島の観光業を最大限支援

—昨年10月、大きな被害を受けた大島の復興は東京都としても大きなテーマだと思います。

 台風26号による信じられないほどの豪雨で生じた土石流が、建物等への甚大な被害を与えただけでなく、多くの尊い人命をも奪いました。東日本大震災以後、「災害には『想定外』という言葉はない」ということが、マスコミ等でも度々報道されています。確かにそれは皆実感していたことですが、今回の台風被害についても、事前に想定するのは難しかったと思います。「何があってもおかしくない」と、気持ちを緩めてはならないことを痛感しました。

—今回の災害の特徴は。

 台風26号による被災後、続けて台風27号が来る状況だったということです。再び土石流が発生するのではないかということが最も懸念されました。

 そのため、二次災害に備え、速やかに建設局において大型土のうの設置等の対策を講じるとともに、避難所の運営支援を行うため、都職員を派遣しました。また、大島町からの要請を受け、高齢者や障害者などの災害時要援護者の方々を都内施設で受け入れました。

 発災直後は救出救助と台風27号への対応に最優先に取り組みましたが、台風27号が過ぎてからは、被災者の早期の生活再建に向け、都の職員や区市町村の職員が現地に赴き、罹災証明を発行するための建物被害認定調査や罹災証明発行業務への支援などを行いました。

 また、全庁を挙げて大島の復旧に取り組んでいくため、「大島応急復旧プロジェクトチーム」を設置し、検討を進めてきましたが、昨年末に取りまとめを行いました。今後、ハード面では、応急仮設住宅の建設や、今年の梅雨や台風シーズンに合わせた土砂災害対策等が進められることになります。

—観光業への取り組みは。

 観光業は大島の基本的な産業です。観光客が一定以上来ることを前提に、その他の産業が成立しています。大島が危険な島というイメージが先行して、観光客の足が遠のくことがないようにしないといけません。

 島では、1月下旬から3月にかけて、島内最大のイベントである「椿まつり」が開催される予定です。それに合わせ、産業労働局を中心に、観光キャンペーンとして様々なPR活動を展開するとともに、港湾局では、椿まつりの期間に大島に向かう船や航空機の運賃補助を実施するなど、 都としても最大限の支援を行っていきます。

 この他にも様々な取り組みを行い、オール都庁で大島の復興を進めます。

 

砂防ダムが土石流で効果発揮

—防災面から見た島の対策はどうでしょう。

 大島は島全体が大きな坂とも言える地形です。一端崩れると他のところは大丈夫なのかという心配はありますね。今回の土石流のメカニズムが解明され、どの程度の安全性が確保できるかは大きなポイントです。島には砂防ダムが至るところで整備されており、今回の豪雨で発生した土石流に対しても、ハード面での対策としてかなりの効果がありました。仮に砂防ダムがなければ島全体の被害はもっと甚大になっていただろうと思います。

 現在、建設局で専門家会議を設置して検討を行っていますが、今年の夏までに一定の対策を講じることになると思います。また、町の土地利用のあり方にも関わってくるので、町民の方々がどう考えるか、大島町がどう判断するかが、今後、大きなポイントになります。都は町がしっかりとした意思決定をできるように技術面も含めた支援を行います。

 加えて、避難体制の整備も重要です。今回、豪雨時に町が避難勧告を出さなかったことで批判を受けましたが、現地での判断は相当難しかったと思います。今回の教訓を踏まえ、台風接近時には早い段階から見通しを立てて避難勧告を出せるようにすることに加え、日頃から速やかに避難所を開設できるようにしたり、住民の誘導順序や災害時要援護者を島内で避難させる方法などを検討する必要があります。

—言うのは簡単ですが実際は大変ですね。

 台風26号の豪雨が大島を襲った日、天気予報では「10年に一度の強い台風」とは言っていましたが、「大島に集中的に降る」という予想はありませんでした。

 避難勧告については、「空振りを恐れずに出すべきだ」という意見もありますが、誰も避難しなかったら意味はありません。いかに実効性を持つことができるかが課題ですね。

—阪神淡路大震災以降東日本大震災に至るまで、災害に関する知識や意識が随分高まってきています。

 東日本大震災発生時、当時の石原知事は「自助・共助が大事だ」と述べていました。今から思えば非常に適切な発言だったと思います。大きな災害が発生したら、行政の力だけで住民の命を守ることは困難です。まずは、「自分の身は自分で守る」ということを一人でも多くの都民に理解し、実践していただくことが重要です。私も総務局長としてその言葉の重要性を感じています。東京都としては、引き続き自助・共助についての啓発活動を行うとともに、「防災隣組」といった取り組みも精力的に進めます。

 

 

 

 

タグ:東京都総務局 防災 災害対策 大島復興 

 

 

 

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