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【特集】長期ビジョンに見るインフラ整備2015年01月20日号

 
都市基盤整備で東京を「世界一の都市に」に

 舛添都政がスタートして1年。10年先の東京の将来を見据えたグランドデザインとなる、「東京都長期ビジョン」が発表された。東京都がこのような本格的な長期計画を策定するのは久しぶりのこと。基本目標として「史上最高のオリンピック・パラリンピックの実現」「課題を解決し、将来にわたる東京の持続的発展の実現」の2本を掲げ、約360の政策目標について、それぞれ3年後の到達目標と実施計画が示されている。スタートとなる2015年度から2017年度の3年間の計画事業費は3兆7400億円に及ぶ。2020年オリンピック・パラリンピックに向け、大きく変貌しようとしている東京都だが、長期ビジョンの中から、都市基盤整備の基本方針についてみてみた。

広域的な交通体系の整備

 依然として続く交通渋滞、増加するコンテナ貨物、近い将来満杯が予想される空港容量など、首都圏の交通体系は「陸・海・空」ともに、さらなる改善・強化が必要な状況だ。

首都圏の広域交通ネットワーク

首都圏の広域交通ネットワーク

 このうち、道路交通については、2020年までに三環状道路の約9割が開通する見込みだ。中央環状線が2014年度に全線開通するほか、外環道は関越道~東名高速間が2020年早期に開通する予定。また、2020年五輪の競技場が集中する臨海部への交通アクセスの整備は喫緊の課題であり、環状2号線や首都高晴海線(豊洲~晴海間)、臨港道路南北線、東京港トンネルなどの整備を急ぐ。

 東京港の機能強化では、新たに大型貨物船に対応したコンテナふ頭を中央防波堤外側に整備する。さらに、大井・青海・品川の既存のふ頭を再編・強化するほか、コンテナ車両の待機場など、バックヤードの整備を進め、港湾物流の効率化を図っていく。

 羽田と成田を合わせた発着回数は2014年度末で75万回まで増えているが、2020年代前半には満杯になる見込み。このため、羽田空港の年間発着枠と国際線発着枠のさらなる拡大に向け、都心上空を飛行経路とする案について検討を進める。一方、横田基地の軍民共用化についてもその実現に向け取り組む方針だ。

 

高度な防災都市の実現

 災害への備えにより、被害を最小化する高度な防災都市の実現が首都東京の震災対策だ。長期ビジョンでは、10年後までに、耐震化や不燃化による「倒れない」「燃え広がらない」街の実現を目指すとしている。

 しかし、住宅等の耐震化は合意形成に時間がかかるなどの課題があり、なかなか進んでいないのが現状だ。都は「木密地域不燃化10年プロジェクト」を策定、集中的、重点的に改善を図る地区を「不燃化特区」に指定、不燃化を進めているが、さらなる加速が必要との認識だ。

緊急輸送道路等の橋梁の耐震化

緊急輸送道路等の橋梁の耐震化

 主な政策目標では、防災上重要な公共建築物の耐震化を2015年度まで、特定整備路線28区間(約26㎞)の整備を2020年度まで、緊急輸送道路等の橋梁の耐震化を2017年度までに、それぞれ完了させる計画だ。さらに、狭い幅員を改善するため、第一次緊急輸送道路の無電柱化を2024年度までに50%完了させる。

 一方、多発する局地的な集中豪雨対策では、調節池等の整備により、都内全域の貯留量を2025年度までに2013年度比で約1・7倍に拡大し、浸水被害の軽減を図るとしている。そのため、環状七号線地下の広域調節池等13施設の整備を2013年度までに完了させる。

 土砂災害対策では、都内全域で約1万5千ヵ所の土砂災害区域等の指定を2019年度までに前倒しして完了させる。同時にハード対策として、土石流やがけ崩れの危険性の高い箇所等において、砂防ダムなどの整備を進める。

 

再開発による機能強化

竹芝地区完成イメージ

竹芝地区完成イメージ

 都心では現在、多くの拠点駅で、機能の充実・強化が進められており、それに伴う駅周辺の都市再生プロジェクトも目白押しだ。

 このうち、品川駅では、羽田に近接し、リニア中央新幹線の始発駅という立地特性を生かし、国際交流拠点としての整備が計画されている。品川~田町駅間の新駅も2020年度には暫定開業予定だ。

 一方、2020年大会の主要舞台となる臨海部は、ビジネスやMICE・国際観光拠点としても大きな期待を集めている。

 臨海副都心では、大型クルーズ客船ふ頭の整備が進められるほか、BRT(専用走行空間による新たなバスシステム)を2019年度中に導入する。豊洲地区は来年11月の開場が決まった豊洲新市場を中心に食の魅力を発信する新たな観光拠点を目指していく。

 このほか、竹芝地区では、都有地を活用した「都市再生ステップアップ・プロジェクト」によるコンテンツ産業のビジネス拠点、渋谷地区ではファッション産業の発信拠点の整備が進められる計画だ。

 

スマートエネルギー都市の創造

 舛添知事の掲げる「都市のスマートエネルギー化」では、エネルギー消費量を2000年比で、2020年までに20%、2030年までに30%削減するのが目標だ。

 同時に再生可能エネルギーの拡大については、利用割合を2024年までに2割引き上げを目指す。

 都内の省エネルギー化に向けては、大規模事業所に対するキャップ&トレード制度を着実に推進すると共に、再生可能エネルギー利用を評価する仕組みを新たに導入し、エネルギー供給事業者の低炭素化、高効率化を促進する。

 都有施設についても、都立学校や都営住宅の屋上などへの太陽光発電設備の設置、豊洲新市場や下水道施設の上部空間を活用したメガソーラーの設置を促進、2020年までに約2万2千キロワットへ増加させる。

 知事の肝いりでスタートした「水素社会の実現」では、燃料電池車の導入を支援し、都内の法人や個人の需要を喚起することで、都内の普及台数を2020年末までに6千台まで増やす。水素ステーションについては、整備費や運営費を支援することで、同じく2020年末までに都内に35ヵ所を整備する。

 

都市インフラのリニューアル

橋梁の長寿化対策(白鬚橋)

橋梁の長寿化対策(白鬚橋)

 都内にある橋梁や上下水道施設などは、戦前や戦後にかけて整備され、耐用年数を超えているものも多く、大量更新時代を迎えている。そのため、少子高齢化を背景に行政需要の増大が見込まれる中、都市インフラのライフサイクルコストの低減と更新時期の平準化が求められている。

 まず、橋梁については100年以上延命する長寿命化対策を、2024年度までに累計で約160橋着手する。このうち隅田川に架かる著名橋では、建設後70年を超える勝どき橋など11橋についてすべて完了させる計画だ。

 下水道管は計画的な補修などにより、30年程度延命化させるとともに、更生工法の活用を拡大し、都心4処理区の再構築を2029年度までに完了させる。

 このほか、都営地下鉄では、新たな検査手法を取り入れ、整備後約50年を経過する浅草線や三田線について、コンクリート片のはく落の原因となっている漏水対策に取り組む。

 一方、先端技術を活用した予防保全型管理を充実させ、維持管理の効率化・高度化も進めていく方針だ。

 

 

 

 

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