水道局長 山口 真氏

  • 聞き手:平田 邦彦

東京都の各局が行っている事業を局長自らが紹介する「局長に聞く」、今回は水道局長の山口真氏。「東京水道経営プラン2021」の進捗状況、信頼される水道の取組などについてお話を伺った。

持続性ある水道事業を展開

水道局長 山口 真氏

水道基本料金を無償化

—水道局長に就任しての抱負は。

 水道局は初めての職場です。24時間365日、お客様へ安全でおいしい高品質な水を安定供給するという責務をひしひしと感じ、身の引き締まる思いです。

 職員はそれぞれ、所管する分野が違っても皆でその責務を共有し、組織一体となって取り組んでいます。一人ひとりの意識の高さや責任感の強さを日々実感し、大変心強く感じています。長い歴史の中で、世界有数の規模と高い技術水準を有している東京都水道事業の維持と向上を見据えて、しっかりとつないでいく、このことに尽きますね。

—水道基本料金無償特別措置の狙いは。将来の値上げを懸念する声もあります。

 物価高騰下における暑さ対策にも資する取組として、都民の光熱水費の負担軽減につながるよう、水道料金の基本料金を無償とする支援を、今夏に限った臨時的な特別措置として実施することにしました。

 今回の特別措置は、都の一般会計から補填を受けて実施しており、水道局の財政運営や、施設整備計画に影響を与えるものではありません。

 水道局では、不断の経営努力や企業債発行余力の活用を進め、料金水準をできる限り維持し、持続可能な財政運営を行うこととしています。

 引き続き、安定給水に必要な施設整備を着実に行うとともに、社会情勢の変化等にも的確に対応しつつ、業務の効率化などを徹底し、健全な財政運営に努めていきます。

—「東京水道経営プラン2021」の最終年度です。これまでの取組は。

 「東京水道経営プラン2021」は、長期戦略構想で掲げた目指すべき将来の姿を実現するための5年間の中期経営計画で、現在、各施策を実施しています。

 プランでは「強靭」「信頼」「基盤」を3つの柱としています。

 「強靭」は、主にハード面の取組で、浄水場をはじめとする施設整備の着実な推進などにより水道システムの強靭化を進めています。

 「信頼」は主にソフト面の取組で、お客さまとの双方向のコミュニケーションの充実やデジタル技術の導入などにより、お客さまサービスの向上と業務の効率化を推進しています。

 こうした事業運営の「基盤」としてグループ経営の推進や水道事業を支える人材育成を進めるとともに、不断の経営努力に努めています。

—強靭で持続可能な水道システムの構築はどうでしょうか。

 令和4年度に、避難所や主要な駅などの重要施設への供給ルートとなる配水管の耐震継手化が概成するとともに、多摩南北幹線の整備完成による多摩地域の広域的ネットワークが完成しました。

 令和5年度には村山上貯水池の堤体強化工事が完了しました。全ての貯水池の耐震性が確保されるとともに、都内最大の送水能力を有する第2朝霞上井草線の運用を開始するなど、耐震性とバックアップ機能の一層の向上を図りました。令和6年度は降灰対策として長沢浄水場沈殿池の覆蓋化を完了しました。

スマートメータの全戸導入へ

—スマートメータの導入にも意欲的ですね。

 令和4年度から令和6年度までの3か年で実施してきた「水道スマートメータ先行実装プロジェクト」では約13万個のスマートメータを先行導入し、調達方法、通信方法、お客さまサービス等の検証を進めてきました。

 令和7年3月に策定した「水道スマートメータ実装方針」は、2030年代の全戸導入に向けて、令和7年度から令和10年度までの設置方針や取組の方向性を整理しています。4年間で約100万個を新築住宅や公共施設等に導入する予定です。

—お客さまとつながり、信頼される水道の実現にも取り組んでいます。

 東京都水道局アプリは、令和7年3月末時点で約217万人にご利用いただいております。更なるお客さまの利便性やサービスの向上に取り組むとともに、利用者拡大に向けた取組を進めていきます。

 お客さまと当局職員が対話する双方向コミュニケーションを通じ、お客さまの意見を事業運営に反映させる水道サポーター制度について、令和6年度までに交流会を都内39区市町で実施しています。

—東京水道を支える基盤の強化も重要です。

 これまで、浄水場等の運転管理業務や、給水装置業務、営業所業務などを順次、政策連携団体である東京水道(株)に移転してきました。

 今年4月からは、 長沢 、砧、砧下(きぬたしも)の3浄水施設の業務と、あきる野地区における営業系・技術系業務の2つを対象として、性能発注方式による包括委託を導入しました。

 「東京水道経営プラン2021」では、営業系業務は10年、技術系業務は20年を目途に東京水道(株)に移転することとしており、今後も積極的に取組を推進していきます。

—この他、PRしたいことは。

 今年も暑い日が続いています。熱中症対策にはこまめな水分補給が大切です。都内の公共施設や駅など約900箇所 に、給水スポット「Tokyowater Drinking Station」がありますので、是非ご利用いただきたいですね。

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