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NIPPON★世界一 The74th2015年02月20日号

 

同社が手がけるセキュリティカメラのラインアップ

●パナソニック株式会社/東京オリンピック・パラリンピック推進本部
●港区東新橋 ●設立:1935年

2020年に向けた都市整備とスマートセキュリティの構築

 日本にある世界トップクラスの技術・技能-。それを生み出すまでには、果たしてどんな苦心があったのだろうか。前号に引き続き、東京オリンピック・パラリンピックの公式パートナーであるパナソニックの、2020年を見据えた取り組みについて迫る。今号で取り上げるのは、監視・防犯システムで中核的役割を担うネットワークカメラについて。実は同社はその事業でも国内トップを走る。

(取材/種藤 潤)

 


 オリンピック・パラリンピックの開催は、世界基準のアスリートのパフォーマンスが間近で体感できるだけでなく、世界中から多くの観光客が集い、新たな経済効果を生み出すなど、開催国にとってのメリットの大きさは計り知れない。だがそれらも、安心・安全な環境が整って初めて実現できるのだ。

 多くの人が集合することで、それを標的としたテロ行為などが起こる危険性も生じるわけだが、当然ながらこれまでの大会運営においては、見えない部分でセキュリティ対応が万全になされたからこそ、滞りなく大会を進行することができたのである。

 2020年に開催予定の東京オリンピック・パラリンピックのワールドワイド公式パートナーであるパナソニックも、2020年に向けてセキュリティ事業への対応をスタートした。

 前号で紹介した通り、同社は昨年より社内に「東京オリンピック・パラリンピック推進本部」を設置し、国際的なイベントが開かれる東京という都市の課題を捉え、5つの「おもてなしソリューション」を提案。そのうちのひとつとして、【より安全で心地よさも担保したセキュリティ】を掲げている。

 

会場や駅などの情報を集約
統合的に監視可能な仕組みを構築

 映像音響機器・家電メーカーの印象が強い同社だが、ネットワークカメラ等を活用した監視・防犯システム事業にも長年にわたり取り組んできた。長い歴史の中で培ってきた技術と経験を生かし、東京オリンピック・パラリンピックの競技が行われる各競技場を中心に、空港~駅~街中まで大規模な監視に対応するセキュリティカメラを計画中であり、リアルタイムに集約した映像データから不審者を特定、動向をカメラ間で追跡することが可能な技術開発にも着手していると、セキュリティシステム事業部の関口昭義さんは語る。

 「セキュリティはアピールするものではありませんから、これまで表に出てきませんでしたが、2012年のロンドンオリンピックでもこうした仕組みは導入されていました。弊社もロンドンでは3000台以上のカメラを納入させていただきました」

 

国内トップの技術を活かした高性能セキュリティカメラを開発

東京オリンピック・パラリンピック推進本部のセキュリティ事業について取材に応じた、セキュ リティシステム事業部グローバルソリューショングループ・ソリューション統括の関口昭義さん (右)と、営業推進グループSEチームの嶋田雄一主事(左)

 同社が監視・防犯システムに着手しはじめたのは1960年代。映像と放送用カメラを開発してきた技術力を元に事業に乗り出した。そしてインターネットの普及にともない、2000年頃からネットワークカメラ事業にも参入。現在も国内のあらゆるところで同社のセキュリティカメラは取り入れられていると、営業推進グループSEチームの嶋田雄一主事は話す。

 「我々の強みは、テレビなど映像技術を活かした高画質の映像を活用できること、さらに長い間培ってきた、逆光や暗がりでもクリアに映像化できる技術があることです。そういった隠れた技術で、皆さんの生活を守っているのです」

 現在は2020年に向け、ハイビジョンのさらに上の「4K」の高解像度による映像収集の実証を重ねていると言う。また、映像の顔認証に活用される「顔切り出し技術」の精度向上にも取り組み、他社にはないカメラ内での処理能力をいっそう高めていくと、関口さんは意気込む。

 「弊社の描く『オリンピック・パラリンピックにおける安心・安全』を実現するためには、撮影や映像処理だけでなく、その映像を迅速に集計・処理することが求められます。また、映像の高解像度化が進むので、オリンピック・パラリンピックでは膨大なデータを処理する必要も出てきます。セキュリティカメラの処理能力の向上はもちろん、利便性、耐久性、運営コストも含め、更なる高品質、高性能を目指し製品開発を進めています」

 

災害時の避難誘導にも活用
開催後の街づくりにもつなげる

 

パナソニックの多様な画像解析技術も同社の強みだ

多様な画像解析技術も同社の強みだ

 現時点では詳細は語れないそうだが、処理スピードは従来を遥かにしのぐレベルに到達、安心・安全の提供はほぼ可能になっていると、関口さんは言う。

 「さらに精度を上げ、安全面を強化するのは当然ですが、例えば迷子のお子さんを捜すことなどにも活用できますし、会場周辺に来る人の安心面にも貢献できると思います」

 実はこのセキュリティカメラ、各エリアの混雑具合も把握できるので、地震や火災などが起こった際の円滑な避難誘導に活用することも想定していると言う。

 「イベント時のルートガイドや避難時の誘導における判断基準のひとつとしての活用も、検討していく予定です」(嶋田さん)

 前号で同推進本部の北尾一朗副本部長が「2020年をトリガーに、後世に残る東京の街づくりを支援」と語っているように、「オリンピック・パラリンピックにおける安心・安全」の取り組みもまた、その後の東京の街づくりにつながっているのだ。

 「地震、豪雨などの自然災害、そしてテロ……現在も東京は、さまざまな危険にさらされています。オリンピック・パラリンピック後も“安全の街・東京”と言われるよう、これを機に万全のシステム構築のお手伝いができればと思います」

 開催まであと5年-関口さんはその期間を「ほとんどない」と言い切り、身を引き締めていた。

 

 

 

 

タグ:パナソニック 2020年東京オリンピック・パラリンピック セキュリティカメラ 

 

 

 

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