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1 The Face トップインタビュー2015年04月20日号

 
有限会社リーファース 代表取締役 水野葉子さんさん
Think Globally, Act Locally. 地球的視野で考えながら、地元で頑張る。

有限会社リーファース 代表取締役
 水野 葉子さん

 大学卒業後、アメリカのミネソタ州立大学院に留学。日本語講師の傍ら通訳を引き受けたことで、様々な著名人と出会う。そんな出会いの一つがオーガニックの世界へとつながっていった。1995年、日本人として初めて米国のIOIA(国際オーガニック検査員協会)のオーガニック検査員資格を取得。以来、オーガニックの普及に努める。生産者にとってはチアリーダーであり、消費者にとってはメッセンジャーでありたいという有限会社リーファース代表取締役 水野葉子さんにお話をうかがった。

(インタビュー/津久井 美智江)

食べ物が体をつくっている
食べ物は重要だと20代後半で体感。

—オーガニックに関心を持たれたきっかけは?

水野 日本の大学を卒業後、アメリカのミネソタ州立大学院にて修士号を取った後はそこで日本語講師をしていたんです。有名な方が来るとボランティア通訳を頼まれるんですね。そこで、いろんな出会いがありました。ある時、うちで食事をしていると、皆さんおいしいと食べてくださっているのに、ある方が「身土不二(しんどふじ)」とか「この食事は陰陽のバランスが悪い」とかおっしゃる。その時は何だろうと思っていました。私はアメリカでTボーンステーキとかアイスクリームとかを楽しんでいて、特に病気にもなっていなかったので。

 しばらくすると、その方が『マクロビオティック』という本を送ってくださったんです。その本を読んで身土不二のこと、季節のもの、土地のものを食べることがいいこと、一物全体丸ごと食べられるものがいいこと、人間の歯のバランスに合った食べ物を摂るといいことなどを知り、納得がいったのでそういうふうに食べるようにしたんです。すると、肩こりも冷え性もなくなって、劇的に体調がよくなった。食べ物がこんなに体を変えるんだ、食べ物が体をつくっているんだ、食べ物はすごく重要なんだということを20代後半に体感しました。

—アメリカンな食生活をされていたから、より劇的に変わられたのでしょうね。

畑は1枚1枚チェック。検査は体力勝負だという。

畑は1枚1枚チェック。検査は体力勝負だという。

水野 そうでしょうね。食後にフルーツを食べて、すごくヘルシーだと思っていました。それもパパイヤとかマンゴーといった南国のフルーツを寒い時期にも沢山食べていて、身体が冷えないはずがないですよね。頭で考えて食べるようになると、味がもっとわかるようになり、体も敏感になってきて、腎臓が弱っている時には、例えば小豆やかぼちゃ、なまこ、さざえなどが食べたくなる。それらは腎臓にいいものなんですね、ちゃんと体が訴えてくれているんですよ。

 それで食にはまって、私は好奇心のかたまりなものですから、断食道場に行ったり、鍼を習ったり、顔で健康を診る方法を学んだりして、行き着いたのが、素材が良ければシンプルな味付けだけでもおいしく食べられるオーガニック食材。そして、オーガニックの生産者に会ってみたら、環境のことを考えて行動していてその生き方にも共感して、なるべくそういうもので体をつくりたいと思ったのがきっかけです。

—一時は乳製品も摂らない究極のベジタリアンだったとか。

水野 子どもを出産して、子どもたちもオーガニックの野菜や穀物中心で育てようと思っていたんです。ところが、玄米おにぎりなどでピクニックをしていた時、娘が隣の人のフライドチキンをガブッと食べて離さなかったんです。もうショックで……。そのことをマクロビオティックの 大先生に話したら、「子どもはビタミンB12が必要だから本能で食べたんでしょう。鶏肉や魚も必要」と先生に言われて、考えが変わりました。また、その後、食はすごく重要だけれども、食以外の生き方も重要なんだと気付くようになりました。今では何でもありがたくいただいています。

 

1995年、日本人で初めて米国のIOIAオーガニック検査員資格を取得。

—今でこそオーガニックという言葉は一般的ですが、日本にオーガニック認証を導入しようと思われたのはなぜですか?

水野 アメリカではオーガニックのものを食べていたんですけれども、日本に帰ってきた1992年には、まだ有機(オーガニック)JAS制度はなくて、有機質の肥料を与えただけで有機とうたっていたり、無農薬とあっても化学肥料がかかっているものがあったりとか、どれを信じて買えばよいのかわからない状況でした。

 不安に思いながら高い野菜を買うのはどうなのかなと思った時に、ふとアメリカではオーガニック認証された日本の食材を食べていたことを思い出したんですね。検査員になればわかると思い、アメリカに行き、検査員の資格を取りました。

 日本人で初めて合格したということで話題になって、海外からの検査仕事の依頼が殺到し、また同時期に日本にオーガニックブームが到来して、検査員を急遽養成せねばならず、1997年に日本オーガニック検査員協会(JOIA)を立ち上げました。その後、IOIAと姉妹提携を結んで、今では3000人以上の検査員の卒業生を出しています。

オーガニック普及のために全国各地で講演する

オーガニック普及のために全国各地で講演する

—具体的にはどんな検査を行うのですか。

水野 まず、JASマークには一般JASの他に、生産情報公表JAS、熟成ハムや手延べそうめん・地鶏の特定JAS、有機JASの3つがあります。検査の内容はマークによって異なっていて、生産情報公表JASは、すべて記録があってそれをトレースでき、いつでも公表できる状態にあるということです。例えば牛に関しては、生まれてから死ぬまでに与えたエサ、薬剤、それらを1頭ずつちゃんと開示できる。

 有機JASは特に厳しくて、与えるエサにも基準があり、基準に合ったエサを必要な量与えているか、本当に購入しているかを購入伝票を見てチェックしたり、実際に在庫のエサも確認します。

 野菜に関しても同じです。田んぼや畑を1枚ずつ調べて、隣から農薬が飛散する可能性はないかとか確認します。1人の生産者が35枚持っていたら、35枚全部見ないといけないので、私たち検査員も体力勝負。だけどそれ以上に農家さんは大変なわけですから、検査員はハートがあって、がんばっている生産者をサポートしたいという気持ちがないと続きませんね。

—日本のオーガニックは世界的に見て進んでいるほうですか?

水野 オーガニック商品に関しては、やはりEUとアメリカが進んでいます。面積でいうと畜産動物の放牧地の多いオーストラリアも。

 日本は伸び率は先進国の中でいちばん下のほうだと思います。でも、日本の野菜は農薬取締法もあって、もともと全般的に海外と比べてレベルが高いので、あえてオーガニックのものを買わなくても安全だと多くの人が思っているからという説もあります。

 

生産者にとってはチアリーダー、消費者にとってはメッセンジャーとして。

—御社で認証しているリーファース認証とエコ・リーファース認証とはどういうものですか。

水野 JOIAの卒業生たちは複数の有機JASの認定機関に雇われているので、そこと競合関係になりたくなくて、あえて有機JASの認定機関にはなっていません。

これらのマークが安心安全の目印

これらのマークが安心安全の目印

 私はもともと語学講師で、日本では英検2級を取らせるのが抜群にうまかったんです。有機が英検1級だとしたら、ステップアップするために英検2級レベルの認証も必要だと思い、トレーサビリティの検査をする認証機関を立ち上げました。それが、最終製品から原料まで、その履歴がさかのぼれるような記録システムを持っているかどうかを判定するリーファース認証(トレーサビリティ認証)で、それに加えて生産工程、または原料や添加物において何らかの形で環境に配慮して作られている商品にはエコ・リーファース認証マークが付けられます。

—生産者の皆さんには励みになるでしょうね。

水野 そうであってほしいですね。オーガニックなどの認証を取ったところで高く売れるわけでもたくさん売れるわけでもないということもあり、認証を取っても無駄じゃないかという感覚の人もいらっしゃいます。しかし、認証を受けて自分たちのためになりました、体制がよくなりましたというところは結果的に伸びていますね。

 今年は検査員になって20年目なんです。3000件以上検査させていただいて、生産者、加工業者さんにたくさんのことを学びました。オーガニックに限らず、まじめに地道にやっている方たちがいかに多いか。そのことを消費者は知るべきだし、そういう商品を買ってサポートするという気持ちを真剣に持ってもらいたいなと思います。

 オーガニックを始めた頃、18歳のティムという青年に出会いました。彼は貧しくて、自分でバイトをしながら学費を出していたんです。それなのにオーガニック食材でサンドウィッチを作って食べていた。「高いのに大丈夫なの? 体どこか悪いの?」って聞いたら、「食べることでオーガニックの生産者をサポートしたいんだ」って。素晴らしいですよね。

—確かに、私たち消費者は、買うことでしかサポートできませんものね。

水野 私は自分の体が良くなったことを機にオーガニックに目覚め、そこから地球環境のことを本当に心から考えるようになりました。そして、すべてのものがオーガニックにならないということもわかりました。でも、その中で頑張っている生産者を応援したいとこういう認証をし、サポートしたいと思っています。それと同時に消費者の人たちには、生産者の人たちはこうやって頑張っているんだということを伝達していきたい。

 生産者にとってはチアリーダーとして、消費者にとってはメッセンジャーとして今後も仕事をしていきたいと思っています。

—趣味とか楽しみとかは?

水野 いっぱいあります。食べること、料理すること、旅行すること……。仕事でも食に関われていて、日本全国あちこち行けて、素敵な方々にお会いできて、本当に楽しい。決して裕福ではないですけれど、心はとってもリッチ。素晴らしいスタッフと検査員、人に恵まれているのは本当にありがたいことです。

 Think Globally, Act Locally. ―地球的視野で考えながら、地元で頑張る―。今後も日本の生産者を応援しながら、地球環境をよくするために、自分のできるところで貢献していきたいと思います。

 

有限会社リーファース 代表取締役 水野葉子さんさん

撮影/木村 佳代子

<プロフィール>
みずの ようこ
1958年千葉県出身。立教大学文学部卒業。米国ミネソタ州立大学院にて修士号取得。元ミネソタ州立大学日本語講師。95年米国のIOIA(国際オーガニック検査員協会)にて日本人初の公認オーガニック検査員及びオーガニック検査員トレーニング・コーディネーターとなる。97年8月日本オーガニック検査員協会を設立。2002年10月には食品認証会社である有限会社リーファース(農林水産省登録認定機関)を設立。生産情報公表JAS認証、トレーサビリティ認証、国産安心きのこ認証、オーガニックレストラン認証、量販店等の基準認証も実施。翻訳書に「オーガニック検査マニュアル」、著書に「水野葉子のオーガニックノート」、「オーガニックのはなし」など。

 

  
 

 

 

タグ:有限会社リーファース オーガニック

 

 

 

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