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局長に聞く77 労働委員会事務局長2015年04月20日号

 
労使の良好な関係を構築

労働委員会事務局長 櫻井 務氏氏

労働委員会事務局長 櫻井 務氏

 東京都の各局が行う事業のポイントを局長自らが説明する「局長に聞く」。77回目となる今回は労働委員会事務局長の櫻井務氏。労働委員会の役割と最近の労使紛争の傾向などについて伺った。

(聞き手/平田 邦彦)

新規審査案件は全国の36%

—事務局長は就任したばかりと聞いています。

 4月1日の人事異動で労働委員会事務局長を拝命しました。今は挨拶回りで忙しくしています。

 以前、産業労働局にいたとき、飯田橋のしごとセンターの中にある「東京都労働相談情報センター」の所長をしていましたが、そこではセクハラ被害や解雇といった個別の相談に対応していました。

 これに対し、都道府県の労働委員会は労働組合法に基づく機関であり、不当労働行為の審査、紛争解決に向けたあっせんといった、労働組合と使用者との集団的労使紛争を専門に扱う唯一の機関です。

 ある意味、裁判所に近い、準司法的な判断を行う行政委員会です。

 都の労働委員会は、使用者委員、労働者委員及び公益委員各13名、計39名で組織されています。

—労働委員会の特徴は。

 見識の高い39名の委員の知見を最大限に生かして事件を解決に導くことです。

 元々、労働者と使用者の間には情報量や折衝力には大きな隔たりがあり、対等な立場で交渉ができるよう憲法で団結権等が認められました。労働組合法ではその団結権等を保護するとともに、将来に向けた安定的な労使関係の構築を目的として、労働委員会を置いています。労働委員会の命令は裁判所の判決と異なり、将来の労使関係を考えた救済方法を選択できるなどの裁量の余地があり、労使関係の実情に合わせた適切な命令を出すことができるのです。

—労働組合の組織率が低下しています。持ち込まれる労使紛争の案件も減少しているのですか。

 確かに組合の組織率は下がっているのが現状で、平成26年の組織率を見ると全国では17・5%、都内では23・9%まで低下し、労働組合運動華やかなりし頃から比べると隔世の感がありますね。

 では持ち込まれる案件が減っているかと言うとそうでもないのです。都の労働委員会における平成26年の不当労働行為の新規審査事件数は132件で、昭和57年以降最多です。救済申し立ての新規審査事件数はここ数年で100件を超えて高止まりしており、全都道府県の労働委員会の新規審査総件数にしめる割合は36%という状況ですね。

—都の労働委員会で扱う事件の内容に変化はあるのでしょうか。

 派遣など非正規雇用を端緒とする事件が増加しています。

 都の労働委員会における非正規雇用に関する新規審査事件を見てみると、平成21年度には8件だったものが25年度には25件となっています。

 非正規雇用関連の新規審査事件が増加している背景ですが、雇用形態の変化により、労働者の3分の1以上が非正規雇用となっており、非正規労働者は有期の雇用・派遣契約等であることから、企業の合理化でリストラを実施する際、最初にその対象になりやすいことなどがあげられます。

 労働委員会が取り扱うのは集団的労使紛争です。最近はいわゆる合同労組への駆け込み訴えも増えています。合同労組というのは、従来型の企業内組合とは違い、企業の枠を超えて、一定の地域で個人加入を原則として組織される労働組合です。それまでの労使間の積み重ねがないケースがあり、使用者側も急に申し立てられて戸惑うこともあるようです。そのため事案が複雑化しやすい面もあります。

 

より多くの都民に周知を

—非常に専門的な業務ですが課題は。

 私の人事異動が発表された後、周りから「労働委員会って何?」と聞かれました。このように労働委員会の業務について一般の人の認知度は低いと感じています。そのため、まずは労働委員会を知ってもらい、困ったときに思い出してもらうことが重要です。

 併せて、労使関係の基礎的なルール、知識を使用者側にも持ってもらうことも重要です。これまで労使紛争に縁遠かった中小企業の使用者も、正当な団体交渉は拒否できないといった労使関係のルールを知って適切な対応をとることで、労使紛争の発生を予防することにつながります。これは労使双方にとってメリットがあることを理解して頂きたいですね。

 また、都の労働委員会を支える事務局の専門性を確保しなくてはなりません。

 委員については多様な労働問題にも対応できるよう、多岐にわたる分野から選任されています。委員を支える事務局職員においても、これまで数多くの事件を通じて培ったノウハウを組織に継承していく必要があります。

—今後の労働委員会の役割は。

 東京は労使紛争も多く、これまでなかった新しい形態の紛争が次々に現れてきます。そのため、都の労働委員会の判断が実定法上の隙間を埋めるとともに、全国におけるリーディングケースとなっているのです。

 労働委員会の場での和解や命令をきっかけに紛争が解決し、労使で労働協約などの締結に至れば、その効力は組合員だけでなく、従業員全体に広く影響することもあります。

 紛争の解決によって、労使の良好な関係を構築し、労使ともに安心して活動できる場を作り上げることで、東京の経済の発展を下支えしていきたいですね。

 

  
 

 

 

タグ:労働委員会

 

 

 

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