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局長に聞く80 環境局長2015年07月20日号

 
持続可能社会の実現に努力

環境局長 遠藤 雅彦氏氏

環境局長 遠藤 雅彦氏

 東京都の各局が行っている事業について局長自らが説明する「局長に聞く」。80回目の今回は環境局長の遠藤雅彦氏。2020年の五輪大会を視野に、水素社会の実現が都政の大きな目標となっている中、意気込みなどを伺った。

(聞き手/平田 邦彦)

2020年大会で水素社会を発信

—環境局は初めての職場とのことです。まずは着任から3ヶ月がたった現在の心境は。

 4月に着任して早々、様々な現場を見て回りましたが、「環境」と言っても、気候変動やエネルギーをはじめ、公害や廃棄物、さらには森林や動植物など、仕事の対象範囲が大変広く、そのどれもが都民生活や事業活動に密接に関連したものです。

 環境局は、平成12年の清掃事業の特別区移管を契機に、当時の環境保全局と清掃局が統合して発足した組織で、その歴史は比較的浅いのですが、担っている事業は他局に勝るとも劣らない奥深さがあると感じています。

—オリンピック・パラリンピック開催に向けて、水素社会の実現が大きなテーマです。

 史上最高のオリンピック・パラリンピックを実現するためには、大会を成功させることはもちろんのこと、どのようなレガシーを次世代に継承できるかが問われます。

 知事が常々言っているように、2020年はゴールではなく、あくまでひとつの通過点です。大会終了後も、東京が持続的な発展を遂げ、都民が豊かで快適に暮らすためには、将来にわたって、どのようにエネルギーを確保していくのかといった問題を避けて通ることはできません。

 水素は、利用時に排出されるのは水だけで、二酸化炭素は一切排出されず、また、様々な資源からつくることができるため、環境負荷や安定供給の面から、非常に有望な次世代エネルギーのひとつとされています。水素社会とは、このようなメリットをもつ水素が、暮らしの様々な場面で安全安心に活用される社会です。東京オリンピック・パラリンピックは、水素社会が実際どのようなものなのか、その一端を国内外の方々に発信できる絶好の機会だと思います。

—期待が大きいだけに、課題も多いのではないでしょうか。

 新しい技術の普及にはどうしても時間がかかります。まずは、燃料電池自動車の普及と水素燃料を供給する水素ステーションの整備が目下最大の課題であるといえます。

 また一般に、水素は爆発するといったマイナスのイメージがあるので、水素への正しい理解の普及啓発にも努めなければならないと考えています。

—具体的には、どのような取組でしょうか。

 燃料電池車購入や水素ステーション整備への補助を昨年度から開始しました。さらに、こうした支援を継続的に行うため今年度は400億円の基金を創設するなど、水素エネルギー普及のための初期需要の創出に積極的に取り組んでいます。

 また、普及啓発イベントなどを通じて、水素は特性を正しく理解し利用すれば、ガソリンなどの既存燃料と同様に安全な利用が可能であることを広く周知したいと思います。

 

引き続き政策で内外をリード

—地球温暖化という世界規模の課題について、待ったなしの対応が求められています。

 今年11月にパリで開かれるCOP21、国連気候変動枠組条約締約国会議で、2020年以降の温室効果ガス排出削減の新たな枠組みが合意される予定です。

 地球温暖化対策は、国が取り組むだけでなく、より住民生活に近い自治体レベルで積極的に取り組んでいく必要があります。

 この会議が開催される11月には、都として意欲的な温室効果ガスの削減目標を新たに打ち出していきたいと考えています。

—第一回定例会では、環境基本計画の見直しを表明されました。

 現行の環境基本計画は、策定から7年が経過し、この間、東日本大震災後のエネルギー需給を巡る問題や地球温暖化への対応など、国内外の社会情勢が大きく変化しています。

 さらに昨年策定した東京都長期ビジョンで掲げた目標や政策を具体化し、様々な環境政策を相互に関連付けて体系化していかなければなりません。

 これまでも都は、世界初の都市型キャップ・アンド・トレード制度の導入による都内大規模事業所の二酸化炭素排出量の削減や、ディーゼル車対策による大気環境の改善などの施策を積極的に展開して、国内外の環境政策をリードしてきました。

 今回の計画見直しにあたっては、こうした先進的な取組をベースとしながら、先ほどお話した気候変動やエネルギーのほかに、生物多様性に配慮した自然環境の保全、大気をはじめ水・土壌・化学物質など都民が安心して生活できる環境の確保も重要な課題として議論し、これからも環境政策で内外をリードしていきたいと考えています。

—資源の大量消費が気候変動や森林減少といった地球規模の問題となっています。

 従来、資源循環といった場合、最終処分される廃棄物の減量や再利用、再資源化といった、いわば出口対策が主でした。

 しかし、資源の消費量は世界規模で増加の一途をたどっており、これからは資源制約の時代になるといえます。

 そこで、これまでのリデュース、リユース、リサイクルといった廃棄物の3R施策から一歩踏み出して、これからは持続可能な資源利用といった視点からの施策展開を検討し、環境基本計画の改定と併せて廃棄物処理計画も改定したいと思います。

 

 

 

 

タグ:東京都環境局 水素社会 地球温暖化対策 温室効果ガスの削減目標 環境基本計画 東京都長期ビジョン キャップ・アンド・トレード制度

 

 

 

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