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鉄道ネットワーク計画まとまる2015年07月20日号

 
運政審答申への反映ねらう

 東京都は10日、国の運輸政策審議会の次期答申に向けた、今後の東京都における鉄道ネットワークの計画をまとめた。国際競争力の強化、高齢化への対応、防災などの観点から、整備について優先的に検討すべき路線5路線、整備について検討すべき路線14路線を選定している。特に今回、都心部・臨海地域地下鉄構想、都心部・品川地下鉄構想の2路線が14路線に組み込まれたことが大きな特色になっている。

 東京圏における都市交通のあり方について国は、平成42年頃を目標にした運輸政策審議会の次期答申に向けた議論を進めている。東京都もそれに合わせ、外部の専門家の意見を聞きながら検討を進めてきた。

 今回の「広域交通ネットワーク」は、今後、人口減少社会を迎える中においても東京が持続的に発展していくため、都市活力の維持向上や安全・快適に移動できる都市の実現などの視点から、路線整備の効果をまとめた。

大江戸線の延伸等を優先

 「整備について優先的に検討すべき路線」にあげられたのは、①東京8号線の豊洲から住吉までの延伸②東京12号線(大江戸線)の光が丘から大泉学園町までの延伸③多摩都市モノレールの箱根ヶ崎方面への延伸④多摩都市モノレールの町田方面への延伸⑤JR東日本羽田アクセス線―の5路線。

 東京8号線の豊洲から住吉までの延伸については、この計画に盛り込まれたJR東日本羽田アクセス線や都心部・臨海地域地下鉄構想と需要が競合しないことから、収支採算性に問題はなく、整備効果は高いとの結果となった。

 JR東日本羽田アクセス線は、国際競争力の向上に不可欠な羽田空港のアクセス強化となる路線で、東京駅と羽田を17分間で結ぶこととなる。しかし事業スキーム等がまだ定まっていないことから関係機関による十分な調整が今後求められる。

 多摩地域を南北に結ぶ鉄道の多摩都市モノレールは、開業当初からさらなる延伸を望む声が多かった。今回、箱根ヶ崎、町田両方向への延伸が盛り込まれた。両方向への延伸で多摩地域の活力や魅力の向上につながることが期待される。

 一方、今後の課題として箱根ヶ崎方面の場合、財源の確保、費用負担のあり方を含めた事業スキームの検討があげられている。町田方面の場合は、導入空間となる道路が未整備の区間などがあることから、道路整備計画などの検討が求められた。

 東京12号線、いわゆる大江戸線の光が丘から大泉学園町までの延伸も、地元からの強い要望が出されていた。延伸により、都心部の中核拠点や都心周辺部とのネットワークが強化されることとなる。路線の実現に向け、既存の補助制度以上の資金確保の必要性が課題としてあげられている。

地下鉄2路線を盛り込み

 「整備について検討すべき路線」にあげられたのは、新空港線「蒲蒲線」、つくばエクスプレス延伸、八王子方面への多摩都市モノレール延伸、東京11号線の押上から松戸までの延伸など14路線。

 新空港線「蒲蒲線」は、京急蒲田駅と東急蒲田駅を結び、羽田空港と渋谷方面を直結するもの。地元では早期整備を望む声が強かった。

 計画では、「整備により区部西部と神奈川県方面で時間短縮の効果が見込まれる」としつつも、事業主体や事業スキームについて検討が必要であること、京急空港線への乗り入れに関する技術的な課題があることが指摘されている。

 今回の計画で特徴的なのが、「都心部・臨海地域地下鉄構想」「都心部・品川地下鉄構想」の2路線。

 「都心部・臨海地域地下鉄構想」は臨海地域での人口増加、さらには2020年のオリンピック・パラリンピック大会などを踏まえ交通需要が増加すると見込まれることから盛り込まれた。

 既存の地下鉄ネットワークと結節することで、その便益が都心部をはじめ広範囲に広がると期待される。

 「都心部・品川地下鉄構想」は、再開発が進む品川駅周辺と都心部とを地下鉄で結ぶ構想。舛添知事は10日の会見で「都市機能の集積が進む品川と、都心部は、実を言うとあまり便利がよくない。それを結ぶ路線を今後検討すべき路線として抽出した」と説明している。

 

 

 

 

タグ:運輸政策審議会次期答申 鉄道ネットワーク

 

 

 

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