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NIPPON★世界一 The78th2015年09月20日号

 

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東京仕様の防災ブックの作成

  日本にある世界トップクラスの技術・技能—。それを生み出すまでには、果たしてどんな苦心があったのだろうか。都が「防災の日」にあたる9月1日から配布をスタートした、東京仕様の防災ガイドブック『東京防災』が話題になっている。デザインはもちろん、内容もこれまでの行政の刊行物にはない「伝える」ための様々な工夫が成され、受け取った都民からも高い評価を得ているという。その制作を担った総合防災部の担当者に話を聞いた。

(取材/種藤 潤)

 

 9月12日早朝、東京・調布で震度5弱を記録する地震が発生した。久々の大きな揺れに、頭が真っ白になった読者もいたのではないか。

『東京防災』の制作を担当した、総務局総合防災部 防災管理課長の船川勝義さん

 「そういう状態にならないために『東京防災』を制作しました」

 制作を担当した総合防災部の船川勝義さんは、『東京防災』を普段から手にすることで、今回のような大きな地震はもちろん、関東・東北の豪雨のような水害や、阿蘇山の噴火などの災害が身近に起こっても、冷静な状態でいられるはず、と語る。

 「東日本大震災の時も、混乱して何をしたらいいかわからない人が多くいたと思います。大震災直後に起こりうる状況やその後にすべき対処法などを、その時に知っていれば、冷静に状況が判断できていたはずです。また、備蓄があったり、家族や近所の人、会社などで災害時の対応を確認していれば、より冷静な状態でいられたでしょう。先日の地震のように、大震災はいつ起こるかわかりません。そのためにも今すぐに“知る”こと、そして“行動”することで、都民のみなさんには災害に備えてほしい。そのために我々は『東京防災』を制作したのです」

 

今日から災害を“知り”“行動”してもらうために

 『東京防災』の構成は、6つのカテゴリに分かれており、最初から通して読むことはもちろん、興味のあるカテゴリから読むこともできる。

 300ページを超えるボリュームながら、各ページはイラストを中心に構成、文字量もコンパクトにわかりやすくまとめられており、老若男女、誰でもすぐに理解できるようになっている。もちろん、情報の充実度は高い。特に(4)もしもマニュアル、(5)知っておきたい災害知識、などの後半部は、応急処置や用語解説、過去の災害事例など、かなり専門的なデータまで収録されている。

 「冒頭に大震災を持ってきたのは、30年以内に70%の確率で起こると予測されている首都直下地震を無視できなかったからです。その危機感を持っていただきながら、すぐにでも防災の備えをしていただき、その上で地震以外の災害の知識も学んでもらう。そういう流れを意識して構成を考えました」(船川さん)

 (6)の漫画も、大震災への危機感を強める目的で、あえて巻末に持ってきたという。その効果は確実に出ているようだ。

 「あるご家庭では、お子さんが何気なく漫画を見たところ、他のページも全て読んだそうです。特に、防災に関心が薄いとされる若い世代も意識して制作したので、この事例を聞いた時は嬉しかったですね」(船川さん)

 

あらゆる状況に対応するのが東京で求められる防災 

『東京防災』ボックスの中身。上は「東京防災オリジナル防災MAP」、下は左から『東京防災』本誌、ブックカバー、「東京都からのメッセージ」。下は「防災アクションステッカー」。「東京防災オリジナル防災MAP」の裏面にも防災の情報がコンパクトにまとめられている

 東京仕様、と聞くと都市部の防災と思われがちだが、『東京防災』では、様々な自然を想定した防災も記載。改めて東京には多様な自然環境が存在していると気づかされる。同時に、多様な生活スタイルとそれに応じた防災の必要性も『東京防災』では紹介している。そこで、それぞれの条件によって防災を検索できるよう、「場所別インデックス」「世帯別インデックス」を掲載している。

 「東京には海、山、川はもちろん、島まであります。一方でオフィス街や歓楽街など都市機能も集中している。そうした様々な環境に対応できる防災力を、都民の一人ひとりが高めていくことが東京では求められます。そのことも『東京防災』を通じて伝えていきたいです」(船川さん)

 

防災をムーブメントにし都民の防災力を上げる

 こうした細やかな構成や、黄色を基調にした斬新なデザインは、従来の行政が刊行する冊子では見られない工夫と言える。それらはすべて、あらゆる都民に手に取って、行動してもらうためだ。約1年をかけて専門家や都民から意見を聞き、検討を重ね、検証し、制作した結果、対応し切れないほど多くの反響が寄せられているという。

 「まだ手元に届いていない都民の方もいると思いますが、届いた方からはおおむねよい評価をいただいています。多くのメディアでも取り上げてもらい、他の行政機関からも問い合わせをいただいています」

 まずは東京発の“防災ムーブメント”を起こすことに成功したと言えるが、一方で『東京防災』を浸透させるための取り組みも開始した。監修にも関わった東京消防庁と連携し、各消防署で「東京防災セミナー」を開催。また、学校では子ども用に編集した冊子を用い、防災教育に活用しはじめているという。

 「“知る”“行動する”に加え、実際に防災を“体感する”機会も増やしたいですね。そうすることでより防災意識が日常化し、都民のみなさんの防災力がより向上すると思います」(船川さん)

 『東京防災』の取り組みは、これからが本番のようだ。

 

  
 

 

 

タグ:東京都総務局総合防災部 東京防災 

 

 

 

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