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局長に聞く83 水道局長2015年10月20日号

 
シンプルだが奥深い水道事業

水道局長 醍醐 勇司氏氏

水道局長 醍醐 勇司氏

 東京都の各局が行っている事業について、局長自らが紹介する「局長に聞く」。83回目の今回は水道局長の醍醐勇司氏。震災への備え、安心でおいしい東京水の周知などでお話を伺った。

(聞き手/平田 邦彦)

管路の耐震継手化を推進

—水道局ははじめてとのことですが、着任後の印象は。

 都民生活と首都東京の都市活動を支える重要なライフラインである水道、また人の命に直結する水道事業に、局長という立場で携わることとなりました。いい意味での緊張感を持っています。

 「事業としては非常にシンプルだけれど奥が深い」というのが率直な感想です。着任直後から事業の説明を受けましたが、「現場を見なければ知識を体得できたとは言えない」との思いから、多くの現場を見て回りました。

 印象深かったのは水源林を視察したときですね。水道局が水源林の管理のため、多くの林業職の職員を配置し治山や林道の整備まで行っていると聞きました。水道局の職域の広さに驚かされましたね。

—先日、都内で震度5弱の地震がありました。震災への備えは。

 ハード面では、村山上貯水池の堤体強化、浄水場や給水所の耐震化を進めています。水道施設の耐震化の推進ですね。また管路の耐震継手化も進めています。現在、10年間で約5000キロメートルを目標に管の取替を行っており、これにより耐震継手率を平成25年度の35%から、平成36年度までに59%とすることとしています。その中でも首都中枢機能や避難所等へのルートを優先的に整備しています。

 ソフト面では、様々な想定下における訓練を実施しています。訓練の結果は局の震災応急対策計画の改訂にフィードバックしています。また、他都市との連携も強めています。茨城県企業局と中継事業体の覚書を交わしましたし、日水協(日本水道協会)関東地方支部での初めての合同防災訓練も実施しました。

—施設等の老朽化対策も重要な課題です。

 高度経済成長期に集中して建設された大規模な浄水場は平成30年代から一斉に更新時期を迎えるのですが、これをどう更新するかがポイントですね。昨年4月にまとめた「東京水道施設整備マスタープラン」で、その考え方を整理しています。更新工事の間も施設能力の低下は許されませんから、まず、代替の浄水施設を予め整備し、その上で更新することになります。

 水道局の全浄水場の更新は60年もの時間がかかる大事業です。更新に合わせて現時点で考えられる課題を解決することも必要になります。例えば、先日の都議会で検討方針を明らかにしたところですが、経験したことのない自然災害やテロなどに備えるため、これまでのろ過池に加え沈殿池等を含めた覆蓋化を行っていきます。

 

東京水の良さを広く周知し成果

—水道局は昨年6月から「タップウォータープロジェクト」を開始しています。水道水の良さを実感してもらう取組ですが、お客様の理解についての感想は。

 先人たちの努力によって東京水道では安定給水が確立されました。しかしその反面、お客様は「水はあって当たり前」「空気と水はタダ」という感覚があるように思えます。

 安定給水の裏には局の大変な努力があること、世界的に見ても安全な水が安定供給されていることがどれだけ重要かということをお客様に理解頂きたいです。供給側と需要側が共通の理解を持ち、水道事業を進めたいと考えています。

 具体的には、まずは高度浄水処理などによって安全でおいしい高品質の水を「作り届ける」こと。また、東京水の良さを「伝える」取組のひとつである、水道水の水質をお客様自身が簡易測定する「水道水質モニター」には、平成26年度に1377件のモニターに参加して頂きました。モニター実施前には30%のお客様が水道水の安全性に不安を感じていましたが、検査体験後には4%にまで激減しています。

—その他の取組は。

 今年度の後半から、都内約750万件全てのお客様を対象に各戸訪問を行う「東京水道あんしん診断」を開始する予定です。お客様の目の前で水質調査や漏水調査を実施するとともに、大規模なアンケート調査も行います。これにより、高品質の水道を実感していただくとともに、お客様とのコミュニケーションを深め、その声を局事業に反映したいです。

—水道局は3ヵ年の経営プランを策定して事業を進めています。次のプランの柱は。

 まずは何と言っても、「安全でおいしい高品質の水の安定供給」です。これは水道事業の原点です。次に危機管理。震災対策のみならず、テロ対策なども含めた総合的な観点から対策を講じることで、「安全でおいしい高品質の水の安定供給」を支え、基幹的ライフラインとしての使命を果たす考えです。

 それを実施するには、計画的な財政運営による経営基盤の強化、人材の確保と育成、監理団体とのグループ経営におけるガバナンスの強化が欠かせません。こうしたことを行った上で、国際展開のさらなる推進や環境対策などの各方面への貢献も行っていきたいです。

—最後に、水道局長として大切にしていることがあれば。

 水道を心から好きになれないのであればトップになる資格はないと考えています。着任してから3ヵ月、水道のことを知れば知るほど、面白く、奥が深いことを実感しています。実際好きになりました(笑)。愛すべき水道のために今後とも力を尽くしていきます。

 

 

 

 

タグ:東京都水道局 タップウォータープロジェクト 東京水道あんしん診断

 

 

 

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