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局長に聞く87 下水道局長2016年02月20日号

 
多様化する課題に対応

下水道局長 石原 清次氏氏

下水道局長 石原 清次氏

 東京都の各局が行っている事業について、局長自らが紹介する「局長に聞く」。87回目の今回は下水道局長の石原清次氏。東京の都市活動、都民生活をまさに縁の下で支える下水道だが、その役割は下水の処理以外にも、浸水対策、公共水質の改善、資源の有効活用など近年、ますます多様化している。待ったなしの老朽化対策など、事業の現状について聞いた。

(聞き手/平田 邦彦)

延命化・再構築をさらに加速

—3ヵ年の「経営計画2013」も最終段階となり、近々、次期経営計画が発表されると聞きますが、まず、喫緊の課題である老朽化対策について伺います。

 区部の下水道は平成6年度末にほぼ100%完成したのですが、下水道局では、その翌年度から老朽化対策、いわゆる再構築事業に取りかかりました。

 現経営計画では、総延長約1万6000㎞の下水道管のうち、法定耐用年数の50年を超えたものが約1500㎞に達しています。

 さらに今後20年間で約6500㎞増加するため、適切な維持管理により、30年程度延命化し、ライフサイクルコストが最少となる経済的耐用年数で再構築するアセットマネジメント手法により効率的に再構築します。

 再構築に当たっては、道路を掘削しない工法を用いるなど、「経営計画2013」の期間内での整備ペースを約2倍にスピードアップしており、平成41年度までに整備年代の古い都心部を完了させる計画です。

 また、水再生センターやポンプ所といった施設や設備についても、計画的な補修などにより延命化、再構築を実施していきます。

—震災対策についてはいかがですか。

 下水道管の耐震化は地震動に対して、マンホールと下水道管の接続部が弱いため、その部分の対策と、液状化が起きた際にマンホールが浮上する恐れがあるため、浮上抑制対策を行っています。

 マンホールと下水道管の接続部の耐震化は、2633ヵ所で完了し、さらに発災時に多くの人が集まるターミナル駅や災害復旧拠点となる官公庁など約1000ヵ所に対象を拡大しています。

 また、マンホールの浮上抑制対策については、緊急輸送道路など500㎞の対策を完了し、現在は、避難所などと緊急輸送道路を結ぶ道路700㎞を対象に対策を行っており、すでに500㎞の対策を完了させています。

 水再生センターやポンプ所については、想定される最大級の地震動や最大津波高に対しても、その機能が確保できるよう、施設の耐震化、耐水化を引き続き進めていきます。

—公共用水域の水質保全対策についてはいかがですか。

 区部の8割は汚水と雨水を同一の下水道管で流す「合流式下水道」を採用しており、衛生環境の改善と雨水排除の両方を同時に達成できる一方、大雨が降ると汚水の一部やゴミが川や海に放流されてしまいます。

 そのため、水が滞留しやすい中小河川に放流させずに、隅田川など大きな河川や海など水質の影響の少ない地点へ放流先を変更するほか、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備を進めています。これらの取組に加え、水再生センターにおいて施設の改造により早期に導入可能な高速ろ過を組み合わせることで、汚濁物質の抑制に努めています。

 さらに、東京湾の赤潮発生要因の一つであるちっ素、リンを削減するため、水再生センターではこれまでの高度処理の導入のほか、現在ではこれまでの処理法に比べ電力使用量を増やすことなく水質改善が図れる準高度処理の導入を進めているところです。

 

「東京下水道魂」で職員一丸

—下水道の持つ資源の有効活用についてお聞かせください。

 昨年5月に「品川シーズンテラス」がオープンしましたが、これは、芝浦水再生センターの雨天時貯留池の上部空間に地上32階建ての大型複合ビルを建設したもので、下水道施設としては全国初の立体都市計画制度を活用した上部利用事業です。

 トイレに下水の再生水を利用し、空調はすべて「夏は冷たく、冬は暖かい」下水熱を活用するなど、国内最高水準の環境性能を有するビルです。新たに約2・6haの人工地盤を整備し既存公園と合わせて3・5haの緑豊かなオープンスペースを創出し、温暖化やヒートアイランドに有効な「風の道」も確保しました。日中は親子連れのお母さん方が訪れるなど、賑わい、憩いの場としてもご好評をいただいています。今後も上部空間や下水の熱エネルギーなど下水道が持つポテンシャルを存分に活用していきたいと思っています。

—最後に今後の事業運営に向けた抱負を。

 今後は次期経営計画2016に基づき事業を推進していくことになります。下水道の持つ役割である「汚水の処理による生活環境の確保」「浸水の防除など安全安心の確保」「公共用水域の水質保全」は基本的に変わらないのですが、状況の変化に応じて対応すべき課題や手法は変わって来ており、それを敏感にキャッチして積極的に対応していくことが重要です。

 私が都庁に入った昭和58年は、区部の下水道普及率がまだ8割を超えたくらいで、100%普及を達成すれば、下水道事業は縮小してしまうのではないかとも思っていました。しかし、現在の下水道局には当時では考えられないほど多様で高度なニーズがあります。浸水対策、合流式下水道の改善、さらに高度処理や地球温暖化対策、エネルギー対策といった実に多様な課題を下水道事業は抱えています。

 東京の下水道の強みは、「現場力」「技術力」「組織力」の3つの力であるということを先輩から聞かされてきましたが、これらの強みも、都民生活を安全で快適なものにしていく、あるいは環境負荷を更に減らしていきたいという強い気持ち、気概がないと十分に発揮することはできません。

 私はこれを「東京下水道魂」と言っています。2020年オリンピック・パラリンピックは到達目標の一つですが、その後も都民生活や都市活動を支えていくため、「東京下水道魂」を発揮して、職員一丸となって進んでいく考えです。

 

  
 

 

 

タグ:東京都下水道局 経営計画2013 品川シーズンテラス 「現場力」「技術力」「組織力」 東京下水道魂

 

 

 

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