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NEXT東京街づくり 第4回 練馬区2016年05月20日号

NEXT東京街づくり
 
練馬区

昨年8月に行われた、区民約1,000人が参加したCMの様子(提供:練馬区)

区民が主役で多様な魅力を発信 広報キャンペーン『よりどりみどり練馬』

練馬区

 1年前から始まった練馬区の広報戦略が、注目を集めている。そのテーマカラーは「緑」。理由は、23区内一の「緑被率」(平成27年練馬区調べ)にあるのだが、従来の枠にとらわれない大規模かつ大胆な手法が、区外からの練馬イメージを大きく変えるだけでなく、区民自身、さらには区役所職員の意識をも変革しつつあるという。

(取材/種藤 潤)

 

1000人の区民で人文字
グリーンアートのCMを制作

 「まさか、1000人もの人が参加してくれるとは、思ってもいませんでした」

 昨年9月に実施された、同区の広報キャンペーン『よりどりみどり練馬』の一環として行われたテレビCM撮影を振り返り、同キャンペーンを手がける区長室副参事・広報戦略担当の市橋歩さんは、顔をほころばせた。

町田式新農法」の礎を作った、まちだシルク農園の林大輔代表取締役(中央右)と、その授業を共に発展させてきた町田商工会議所のメンバーたち

中央は区長室副参事(広報戦略担当)の市橋歩さん。左は区長室広聴広報課広報戦略係の岡野勇太さん、右は同じく佐藤力さん

 撮影の内容は、「みどり」をテーマとした人文字グリーンアートを、区民自身が参加し、表現するというもの。当初は定員600人を想定していたが、募集後5日で300人以上の応募があり、急遽募集人数を増やし、1000人規模の内容に変更した。9月のまだ残暑厳しい中、3時間にも及ぶ撮影が行われたが、撮影を終えた区民は楽しそうで、そして誇らしげな表情をしていたという。

 「ご参加いただいた方々は、練馬区に対して強く誇りと愛着を持っていて、そういう区民の方々と接することで、運営支援に来ていた職員も刺激され、モチベーションが上がったようです」

 練馬区民が作り出した新たな「みどり」は、区のイメージだけでなく、区役所内の意識をも「塗り替え」つつあるようだ。

 

練馬区の「もったいない」を23区内一の「みどり」を軸にPR

「まちだシルクメロン」の収穫祭の風景。

昨年のCM撮影時に作られたみどりのアートは、ポスターとして駅にも張り出された。よく見ると一人一人の顔も識別できる(提供:練馬区)

 プロジェクトは昨年3月からスタート。それ以前から広報PRの専門家として練馬区に関わっていた市橋さんだが、区役所に勤めて改めて感じた「もったいない」を新たな切り口でPRできないかとの思いが、プロジェクト発足へとつながった。

 「私自身、練馬区に20年以上住んでいましたが、区内に素晴らしい魅力がたくさんあることを知る機会はあまりなく、せっかく自分が関わったのだから、そういうことをより多くの人に知ってもらいたいと思いました」

 例えば、農業。練馬区は23区内一の緑被率を誇るだけでなく、農業も盛んだ。「練馬方式」という独自の都市型農業のスタイルも構築、利用者には好評だという。ただ、区外で知る人はほんのわずか。他にも交通の利便性やアニメの街であることなど、多様な魅力があるにもかかわらず、認知されることはあまりなかった。

 そこで市橋さんを中心に、広聴広報課が外部のクリエイティブチームと共同で、区内にある魅力の多様性を「よりどり」、緑被率23区一を「みどり」という言葉に込め、同プロジェクトを提案。そして新たに着任した前川燿男(あきお)区長も、その戦略に賛同した。

 区民参加型という【企画性】のもと、まず「みどり」をテーマにした写真を募集し、それらを元にシンボルアートを制作、写真展を開催した。そして、その作品群から緑を抽出し、5色のオリジナル「ねりまグリーン」を制作。さらに、「ねりまグリーン」をテーマカラーに冒頭のCMを行う……など、【ストーリー性】あるPR戦略を展開した。また、CMなどメディア露出を行うことで【話題性】を持たせ、区内外に広がりのあるブランディングを行っていった。

 

やりすぎるぐらいが、新たな価値創造には必要

 結果、冒頭の1000人のCM撮影参加だけでなく、写真も2ヶ月で2300点という多数の応募に至った。その評価は、区内外に行ったアンケート調査でも明らかだ。特に区内は顕著で、キャンペーンを認知した人の5割以上が区への愛着が向上し、誇りを持てるようになったと回答。区外ではCMを見た3割以上が「練馬区のイメージが良くなった」と回答している。何より、CMへの参加希望がアンケートでは8割、実際に参加した人は100%が、また参加したい意思を表示しているという。

Grow Big! Nerima!

今年度行われている『Grow Big! Nerima!』と題したキャンペーン周知ポスター。区民の「願い」とともに、CM撮影参加者も募集

 「区民参加はこのキャンペーンの中核であり、これだけ参加の意思をいただいたことは本当に嬉しいことです。ただ、従来の練馬区のイメージとは全く異なる広報戦略でしたから、初めは区民の皆様が理解してくれるか不安でした。でも、“やりすぎるぐらい”やったからこそ、区民の皆様も注目し、我々の覚悟を感じていただけたのかもしれません」(市橋さん)

 こうした結果を踏まえ、同キャンペーンは2016年も継続。今年は『Grow Big! Nerima!〜あなたの願いで、練馬は育つ。〜』と題し、「未来の練馬区への願い」を区民から募集。それを木の葉に記し、花吹雪のように舞い上がらせることで「願いの木」を表現するCM制作を行うという。もちろん、今年もCMの主役は区民だ。

 撮影は6月4日、放送開始は7月20日から約1ヶ月間を予定。テレビ以外にもSNS、駅構内のデジタルサイネージでも見られるという。今年はどんな練馬の「よりどりみどり」になるのか、注目したい。

 

 

 

 

タグ:練馬区, よりどりみどり練馬, Grow Big! Nerima!, Yori Dori Midori Nerima

 

 

 

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