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伸ばせ!健康寿命 第4回2016年04月20日号
突然止まれますか?
ウォーキングは、たくさんの人が行っているエクササイズで、さまざまなメディアで歩き方や効果などが紹介されています。でも歩き方には触れるのに、止まり方の説明はほとんど目にしません。
モデルウォーキングに関しては、止まった時にポーズを美しく決めるため、速度を徐々に落として止まるよう指導されるようです。安全に止まるにもこの方法は適しているので、マイペースで歩ける時はこのように止まることをお勧めしますし、多くの方は自然にこうしています。
でも、街中ではたくさんの人が速さも方向もさまざまに歩きます。なかには、急に止まったり方向を変えたりする人もいます。また最近は、歩きスマホに代表されるように、前をよく見ずに歩く人もいます。
さらに歩行者だけでなく、自転車やバイクが見通しの悪い所から急に出てくることもあります。だから街中を安全に歩くには、いつでも止まれる能力が重要なのです。
歩いている途中で急停止するためには、歩き続けるよりも強い筋力が必要です。また急停止の際には、バランスを崩しやすくなるために、それを維持する能力も大切です。そこで日頃から急停止するトレーニングをしておけば、ウォーキングしながら筋力やバランス能力を鍛えることができ、いざという時のためにも役立ちます。
練習の時は、くれぐれも滑りにくい路面を選んでください。また他人にぶつからないよう周囲の状況もよく確認してから始めましょう。初めは普通の速さで歩き、5歩や7歩など奇数の歩数ずつ止まる練習をします。安定して止まれるなら、徐々にスピードを上げて行いましょう。
誰かと歩く機会があれば、急停止をゲーム的に楽しむこともできます。十分な距離を取って前後に並び、前の人にあわせて歩きます。そして前の人が止まったら後ろの人も止まります。これは、いろいろな速度やタイミングで止まる練習になります。
急停止は転倒予防にも効果が期待できるとの研究があります。いつでも手軽にできるので、ぜひ良い場所を見つけたら、急停止をして筋力やバランス能力の維持に努めてはいかがでしょうか。
後藤 真二(ごとう しんじ)
スポーツクラブNAS株式会社 スポーツ健康医科学研究室 室長
大学教員を経て2008年より現職。「ココロ、ウゴカセ」の経営理念に基づき、単なる運動の場ではない、子供から高齢者まで誰もが楽しんでいるうちに健康になれるクラブづくりを目指して、安全かつ効果的で楽しいプログラムづくり、および健康セミナーや情報誌等での情報発信を担当している。教育学博士、健康運動指導士、ホームヘルパー2級。
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