HOME » トップインタビュー一覧 » トップインタビュー Vol.103 公益財団法人東京都道路整備保全公社 理事長 横溝良一さん

1 The Face トップインタビュー2016年07月20日号

 
公益財団法人 東京都道路整備保全公社
理事長 横溝良一さんさん
道路を整備保全することでまちを変えていくことができる

公益財団法人 東京都道路整備保全公社 理事長
 横溝良一さん

 東京都庁の職員として道路や河川などインフラ施設整備に携わってきた。「インフラの多機能利用」の必要性を説き、2020年東京オリンピック・パラリンピックの成功と、その後の東京の将来を見据えたグランドデザイン「東京都長期ビジョン」の策定にも関わった、公益財団法人東京都道路整備保全公社理事長の横溝良一さんにお話をうかがった。

(インタビュー/津久井 美智江)

東京2020オリパラに向け路上駐車対策は重要な課題

—道路整備保全公社は、道路の整備・保全を主体にした公益財団法人ということですが、具体的にはどのような仕事をされているのですか。

横溝 主な仕事は、路上駐車対策を目的とする駐車場整備とその運営、違法駐車をなくして円滑な交通を推進すること、特定整備路線等の用地取得、耐震化や無電柱化事業の実施、そして公益法人としてのまちづくり支援です。

 現在は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けて、東京都の進めるインフラ整備事業に邁進しているところです。

オートバイの駐車場と「s-park」のスマートフォン版の検索画面

オートバイの駐車場と「s-park」のスマートフォン版の検索画面

—道路を整備保全するには路上駐車や渋滞をなくすことも重要で、そのために駐車場の整備は重要ということなんですね。道路整備保全というと、へこんだところを直すというイメージがあったので、認識を新たにしました。

横溝 駐車場については、東京都八重洲駐車場や宝町駐車場等の都道下の駐車場を指定管理者として運営しているほか、道路の立体交差下の空間や、都有未利用地を活用し都内200箇所以上で運営しています。東京では自動車の渋滞対策が大きな課題で、特にオリパラに向けて路上駐車対策は重要な課題です。

 ただし、公社ですから利益を追求するだけではなく、造ったものを有効に活用しなければいけません。そこで、ここでの収益を活用してSパーク(s-park)というサイトを作り、民間と公共を合わせ都内2万1000箇所の駐車場の場所と7300箇所の空き情報を提供しています。これはカーナビにも入っていますから、駐車場検索をするとその地域の空き情報が出てきます。都内時間貸駐車場のほぼ100%をカバーしており、民間だけでは決してできない取組みの一つだと思います。実際、年間835万件ものアクセスがあるんですよ。

 それから、最近は自転車の駐輪場のことが話題になっていますが、現実にはオートバイ対策も大きな問題なんです。公社ではオートバイ駐車場を整備する民間事業者に対して助成を行っていますが、オートバイの駐車場は採算性が低いので、民間では整備が難しいんですね。ですから、公社がそれを造る、あるいは空いている自動車駐車場を有効活用してオートバイの駐車場にするということをしています。約60箇所で年間約19万台のオートバイが利用しています。

—それもSパークに出てくるんですか?

横溝 Sパーク・フォー・ライダーズというのがあって、そちらに出てきます。カーナビも含め、検索したら駐車場という項目がパッと画面にくるような工夫もしなければと思っています。多くの方に知っていただき、ご活用いただくために、広報活動を展開しているところです。

 

民間にも行政にもできない公益財団法人としての特色ある取組み

—近年は中国等からの観光客が大幅に増えて、大型バスの違法駐車が問題となっていますね。

横溝 そうですね。路上で乗り降りしていて危険だとか、すごく混んで大変だとか、安全性、混雑性に問題があるという話をよく聞きます。バスの待ち場所というのは目の前でなくてもいいわけですから、ちょっと離れたところでも空き地があれば活用できます。公社はそういったノウハウを持っていますから、警視庁や地元区役所等と緊密な連携を図りながら大型バスの駐車場整備を検討しています。

 また、自動車駐車場の一部で30分未満無料の荷捌き駐車場を設け、路上駐車できない宅配便等のトラックや軽トラックの駐車対策を実施しています。それから、新設の駐車場には積極的に電気自動車用の充電設備を設置し、環境に配慮した都市づくりの誘導も進めています。

—民間にも行政にもできない公社の特色ある取組みは、他にどんなものがありますか。

横溝 オリンピックに向けて特定整備路線、いわゆる木造密集地域における延焼防止のための道路整備が挙げられます。阪神淡路大震災では幅員12mの道路を超えて燃え移ることがありませんでした。このことを踏まえ、東京都が策定した木密地域不燃化10年プロジェクトの一部を公社が受託事業として実施することにしました。

高架下に設置された防災ステーション

高架下に設置された防災ステーション

 また、震災時に道路に電柱が倒れると緊急車両が通れません。特に環七については新しい事業計画の中で全て無電柱化することになりましたが、そういった事業も含め、現在、8区市等から委託を受け、無電柱化整備を進めています。特に区市には人材も少なく、無電柱化を進めることが難しいため、公社がノウハウを活かして事業を行っているところもあります。例えば、昨年整備が完了した墨田区のタワービュー通りは、スカイツリーを臨む絶好の位置にあり、今後墨田区の新たなまちづくりの起爆剤になると考えています。

 さらに、所轄の警察署等とも連携しながら防犯対策も積極的にやっています。今年も東京都東銀座駐車場でテロを想定した訓練を実施しました。「駐車場に入ったら自己責任です」ではなく、私どもも責任を持って対応するような仕組み作り、あるいは何かあった時にさっと動けるような態勢も作っています。

 この他、地震で倒れた電柱などをどけるための重機や、砂や砂利、土嚢といった一時的な補強のための道具をおいておく防災ステーションを高架下に設置し、東京都建設局とタイアップしながら災害時の緊急対策を行えるような態勢を整えているところです。

 

道路の必要性や重要性を伝える「夢のみち」事業や道路見学ツアーを実施

—具体的にはどのようなことですか。

横溝 公益財団法人ですから、駐車場や新宿西口広場の運営によって得られた利益を、道づくり、まちづくりの啓発活動や賑わいづくりなど、皆さんに喜んでもらえるような事業に還元する取組みを行っています。

 具体的には、「夢のみち」事業や「道で咲かせよう東北の花」プロジェクト、道路見学ツアーや勝鬨橋橋脚内見学ツアーなど10以上の取組みを行っています。

 例えば「夢のみち」事業は、イベントを開催して子供たちに道に関する絵画や標語づくりを通して道に親しみを持ってもらったり、ボランティアの方々が行っている道路の清掃や花植えなどの活動に対して感謝を込めて表彰を行なっています。また、「道で咲かせよう東北の花」プロジェクトでは、親子で被災地域にて育てられた花を植えることを通して、東日本大震災を忘れないようにしながら、道路の必要性や重要性を学んでいただいています。

 また、道路の維持管理のボランティア活動に取り組んでいる団体には活動の支援を行い、皆さんに花を植えていただいたり、雑草を抜いていただいたり、木の剪定をしていただいたりと、地域のお年寄りからお子様までいろんな方々に楽しみながら活動に取り組んでいただいています。

 さらに、これからはオリパラに向けて、東京シャンゼリゼプロジェクト等の取組みを支援していく予定です。当面は、新虎通り、新宿副都心等をターゲットに地域と連携しながら、東京のまちを花で埋め尽くすことを目指しています。

勝鬨橋橋脚内見学ツアーの様子。勝鬨橋の橋脚内に入る時には、安全のために落下防止の安全装置を着け、ヘルメットをかぶる

—ホームページを拝見するといろんな見学ツアーが用意されていますね。どれも興味深くて、人気があるのではありませんか。

横溝 ものすごく人気があります。例えば、勝鬨橋橋脚内見学ツアーは、隅田川の真ん中まで入っていくのですが、そこには橋を引き上げるための分銅のような重しがあったり、とてつもなく大きな歯車があったりと、入った方はびっくりされます。地上に出ると「かちどき橋の資料館」がありますから、見学して楽しかったというだけでなく、世界遺産のような異次元空間があるということも含め、いろいろ知っていただけるんですね。

—先ほど木密地域の話が出ましたけれど、道路幅を12mに広げるための土地の買収はさぞかし大変だろうと思います。人材の確保はどうされているのですか。

横溝 とても大変な状況にあります。東京都の建設局では年間3000件用地取得しています。毎年3000件の用地取得の経験を積み、住民の方々の心や生活環境に寄り添う方法を身につけています。世の中のどこよりもノウハウを蓄積していると思うんですね。そこをお辞めになって60歳を超えた方々を、私どもでは採用させていただいています。お金というよりもとにかく仕事がしたい、世の中のためになりたいという人が多く、本当に一生懸命がんばってくれています。

 一方で、公社が行なう事業では多くの土木技術者等が必要なのですが、人材確保が難しい状況にあります。これは建設業界全体にいえることですが、長い間採用数が縮減されてきたため、OBを活用できても10年単位で考えると人材は枯渇してしまいます。

 公益事業を実施したくてもできない状況が生まれてくることが想定されますので、新卒の採用など新たな人材確保策を進めていかなければならないと思っています。

—道路整備保全公社の仕事の醍醐味はどんなところでしょう。

横溝 道路を造ることによって、あるいは整備保全、管理の仕方を変えることによって、まちを変えていくことができることでしょうか。大きな開発は大きなところでないとできないかもしれませんが、小さなところからおもしろいまちに変えていくアイディアとかノウハウを私ども公社は持っています。そういうところで力を発揮することで、社会に大きく貢献できると思っています。

 

公益財団法人 東京都道路整備保全公社
理事長 横溝良一さんさん

撮影/木村 佳代子

<プロフィール>
よこみぞ りょういち
1955年生まれ、東京都出身。78年東京教育大学(現筑波大学)農学部卒業後、1980年6月東京都入庁。2002年建設局多摩ニュータウン事業部計画担当課長、03年同建設事業課長、04年都市整備局市街地整備部技術担当課長、下水道局参事((財)東京都新都市建設公社下水道部長)、06年再開発事務所長、07年第二区画整理事務所長、08年都市整備局企画担当部長、10年建設局河川部長を歴任。11年建設局道路監、13年建設局長を経て、14年東京都技監(建設局長兼務)に就任。15年7月より現職。首都大学東京客員教授

 

  
 

 

 

タグ:公益財団法人東京都道路整備保全公社 夢のみち 「道で咲かせよう東北の花」 無電柱化整備事業 用地取得 耐震化 Sパーク 木密地域不燃化10年プロジェクト

 

 

 

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