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局長に聞く94 人事委員会事務局長2016年09月20日号

 
人事行政について意見

人事委員会事務局長 松山英幸氏氏

人事委員会事務局長 松山英幸氏

  東京都の各局が行う事業を局長自ら紹介する「局長に聞く」。94回目の今回は人事委員会事務局長の松山英幸氏。少子高齢化を控え、東京都でも優秀な人材の確保は待ったなしの課題だ。人材確保に向けた取り組み、障害者雇用、女性職員の活躍に向けた支援などについてお話を伺った。

(聞き手/平田 邦彦)

都政を支える人材を採用・育成

—人事委員会の役割について教えてください。

 人事委員会の役割は大きく二つあります。ひとつは、公務員の労働基本権が制約されていることの代償措置で、給与実態調査に基づく人事委員会勧告、勤務条件に関する措置要求の審査などを行います。

 もうひとつは人事行政の専門的機関としての役割で、中立・公正な立場から人事行政のあるべき姿について、知事など任命権者に意見を述べます。そのことにより、(1)都が有為な人材を採用し、(2)育て、(3)力を発揮しやすい環境を整えることをサポートしていきます。今日は、こちらを中心にお話しさせていただければと思います。

—売り手市場の中、人材確保のための方策は。

 昨今、民間の採用意欲が旺盛で、今年は院卒・大卒程度の採用試験の受験申込者数が昨年度比で13%(1739人)減少しました。特に理系学生については民間や国、他団体との奪い合いとなっており、技術職の確保が困難な状況です。

 このような状況において都では近年、採用PRに力を入れており、人事委員会と任命権者(総務局人事部)とで分担しながら、採用イベント等に取り組んでいます。特に理系学生向けに技術職員採用フォーラム、技術職研究セミナーを開催している他、平成26年度から遠隔地の受験希望者も参加できるWebセミナー、平成27年度から本庁職場見学会を実施するなど、技術職の確保に努めています。

—障害者に関する法整備が進んでいます。採用面での取り組みは。

 都人事委員会では、従前から身体障害者手帳等を有する受験者からの申出により、試験問題、解答用紙の文字の拡大、解答時間の延長、補聴器、ルーペ等の補助器具の使用、面接時における筆談対応及び手話通訳者の配置、点字による出題、点字タイプライター等の使用、上肢に障害がある方で筆記が困難な場合のパソコン又はワープロの使用等の配慮を行ってきました。

 今般の改正障害者雇用促進法の施行に伴い、Ⅰ類B(新方式)を除くすべての試験・選考において、点字による出題、パソコン・ワープロの使用を可能にしました。この他、身体障害者を対象とするⅢ類採用選考において、介助者なしに職務遂行可能なことという要件を廃止し、障害者の雇用機会拡充のため、受験上限年齢を27歳から39歳に引き上げるなどの改善を行いました。

—都の職員は優秀です。人材育成の心配は少ないのでは?

 人事政策において最も重要なのは人材育成です。というのは、社会情勢の変化のスピードが速いからです。その変化に対応するためには、不断の自己啓発が必要になります。

 一方、自己啓発といっても範囲が多岐にわたり迷ってしまいます。そこに人事委員会の役割があり、各段階の昇任選考に向けて、しっかりと準備していけば、様々な職場で求められる基礎的な能力は培われるようになっています。これは求められるミニマムです。

 「忙しくて勉強しているヒマがない」などと言わず、しっかり準備してほしいと思います。

 

職員の力を引き出す勤務環境の整備

—昇任選考の実施に伴う課題はありますか?

 都の昇任システムは、学歴や性別に全く左右されず、極めて公平です。この文化は後世に残していかなければなりません。一方、業務の多忙化に伴い、忙しい部署の職員の受験率、合格率が低下し、モラール・ダウンにつながるという話はよく聞きます。これについては選考にあたり業績も反映されますので、あきらめずチャレンジしてほしいと思います。

 また、近年、主任選考(A)の受験者が増加傾向にあります。歓迎すべきことではありますが、あまり高倍率になると受験をあきらめる人も出てしまいます。将来を見据えて任命権者側と検討すべき課題と考えています。

—小池知事の就任により、女性職員の一層の活躍が期待されますね。

 行政系では、都の女性職員の割合は約4割です。管理職層における女性の割合も18・5%と、国と比べてもかなり高い比率です。しかし、職層が上がるにつれ率が下がる傾向が顕著であり、一層の環境整備が必要です。

—小池知事は「ライフ・ワーク・バランス」を提唱しています。職場環境の一層の整備に向けた取り組みは。

 長時間労働の問題と女性の活躍推進、これは表裏一体の問題です。長時間労働の職場が多くなると、子育て中や介護を抱える職員が安心して働ける職場が限定されてしまいます。現在、国でも検討が進められているように、働き方改革が必要です。

 長時間労働については、まず管理職が職場の勤務実態を把握することが重要です。そうすれば、時間外に不急な会議を招集したり、資料作成に無駄な時間を費やしたりすることは減るはずです。人事委員会は労働基準監督機関の役割を担っており、適正な執務環境が確保されるよう必要に応じて指導します。

 また、すでに様々な休暇制度が整っていますが、それらの使い勝手が良いかどうか検証していく必要があります。民間企業では様々な取り組みが進められていますので、それらも参考にしながら多様なニーズに応えられる制度を検討することが重要と考えています。

 

 

 

 

タグ:人事委員会 東京都職員

 

 

 

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