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小池知事初の予算案2017年02月20日号

 

 小池知事の就任後、初の編成となる平成29年度予算が1月25日まとまった。「東京大改革」を前面に押し出し、昨年末に策定した「2020年実行プラン」に盛り込んだ「ダイバーシティ」「スマートシティ」「セーフシティ」の実現に向けた施策に重点的に予算を配分、「小池色」を色濃く打ち出した内容となっている。

 とくに投資的経費を13年ぶりに減とする一方、待機児童解消など「福祉と保健」分野の支出を増額、過去最高とするなど、「ソフト重視」の印象が強い予算となっているのが特徴だ。来年度予算は22日から始まる都議会第1回定例会で審議される。

一般会計も5年ぶりの減に
福祉と保健分野に手厚く配分

 一般会計の予算規模は、企業収益の減少による都税収入の減を受け、5年ぶりに減少、6兆9540億円(前年度比0・8%の減)となった。

 歳入のうち都税は、5兆911億円で、前年度比で1172億円(2・3%)の減となった。そのため、基金を積極的に活用し、繰入金は前年度に比べ1511億円(65・8%)の大幅増となった。一方で、社会資本の維持更新など将来負担に備えるため、都債の発行を抑制、前年度比で551億円(15・6%)の減となっている。

 一般歳出のうち給与関係費は、2020年大会の準備などで職員定数が増える一方で、退職手当の減などで、前年度比で94億円の減となった。また、このところ、増加を続けてきた投資的経費は、インフラ整備で効果の高い事業に重点化することで経費を圧縮、13年ぶりに前年比でマイナス(2・1%)となっている。

 目的別の内訳でみると、限られた財源を重点的・効率的に配分することで「福祉・保健」分野が3・0%増、一般歳出に占める割合は過去最高の23・7%となるなど、都民生活の質の向上に力を入れている。 

 来年度予算案の発表を受け、都議会各会派は談話を発表した。

 公明は高校授業料の実質無料化が盛り込まれたことについて「わが党の主張を反映したものであり高く評価する」と述べるなど、「わが党の政策提言が随所に反映されている」と知事との連携姿勢を強調した。

 民進も「ムダの排除による財源確保、行財政改革の断行、保育サービス確保など、私たちの主張に沿うもの」と評価した。

 共産は「不要不急の大型開発が推進される一方、福祉・教育などでわが党が求めていた施策をはじめ、都民要求を反映した施策の前進があったことは重要」と一定評価する姿勢を示した。

 一方、自民は、2020年大会の準備や災害に強い都市づくりなど、予算全般について「これまでのわが党の提言をふまえたもの」とした上で、「予算案をしっかり検証し、第1回定例会で必要な提言・質疑を行っていく」として、是々非々の姿勢を強調した。

 

公約で掲げた施策に重点配分

 来年度予算に盛り込まれた主要施策をみると、知事選で訴えた公約実現に向けた意欲がみてとれる。

 「ダイバーシティ」で掲げた待機児童解消では、今年度の978億円から1381億円と予算を大幅に増額、新規事業として保育所整備に対する賃借料補助、企業主導型の保育施設促進事業、保育所のICT化、認可外保育施設利用支援事業などを開始、平成31年度末までに7万人分の保育を確保する。

 このほか、高齢者、障害者、外国人旅行者に配慮したトイレの洋式化やバリアフリーの推進、動物の殺処分ゼロに向けた取り組みなどを進める。

 「スマートシティ」の実現では、中小企業の成長分野への参入促進、MICEの誘致など国際観光都市に向けた受け入れ環境の充実、鉄道の連続立体交差化の推進、自転車利用の拡大など交通・物流ネットワークの推進のほか、LED照明の導入を促進するため、LED電球への無償交換を開始する。

 さらに持続可能な資源利用を促進するため「食品ロス」に向けたキャンペーンの実施など、「もったいない」意識の定着を目指す。

 「セーフシティ」の分野では、無電柱化の推進、木密地域の不燃・耐震化の促進、豪雨対策や津波・高潮対策など水害に強いまちづくり、世界一安全な都市の実現に向けたテロ・サイバーセキュリティ対策、防犯カメラの整備補助などにも力を入れる。

 また、空き店舗を利用したにぎわいの創出や商店街の活性化、空き家の利活用支援など、地域コミュニティや良好な住環境の形成にこれまで以上の予算を配分した。

 

 

 

 

タグ:東京都 平成29年度予算案 6兆9540億円 ダイバーシティ セーフシティ スマートシティ 

 

 

 

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