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大庭麗のイタリア食材紀行 第45回2018年02月20日号

 
大庭麗のイタリア食材紀行

 

ルネッサンス期から伝わるイタリア産のキャビア

 先日、イタリア産のキャビアを味わう機会がありました。キャビアと言うと、一番にロシアやイランといった国が思い浮かび、イタリア産のキャビア?と不思議に思われる方も多いのではないでしょうか。しかし、イタリアは欧州地域において、キャビアの生産で最も古い歴史を持つ国なのです。

 既に2億年以上前の三畳紀には存在した、古代魚の一種のチョウザメ。北イタリアを流れ、アドリア海に注ぐポー川、アディジェ川、ピアーヴェ川をはじめとした河川には、イタリア種・アドリアチョウザメAcipenser nacc ariiと呼ばれる土着品種のチョウザメが存在してきました。60年代に深刻化した河川の水質汚染の影響で、一時期姿を消していたものの、水質の改善により、天然のチョウザメが数十年ぶりにポー川に戻ってきた事が、近年話題になりました。

イタリアのキャビアの年間生産量は約27・5t。世界シェアの10%にあたります

 現状ではイタリアもまた、天然のチョウザメの捕獲は禁止されており、現在のキャビアはすべて養殖されたチョウザメの卵です。古くは多くのチョウザメが澄んだ川に自生しており、脂がのり、引き締まった食感の白身魚として、当時の人々に好まれていました。またチョウザメの浮き袋を、膠やゼラチンの原料として用いていたなど、キャビアとしての卵以外の部位もまた、人々に親しまれていました。

 そして、かのレオナルド・ダ・ヴィンチにも、キャビアを好んだエピソードがあります。1491年、イタリア・ルネッサンス期を代表する女性としても知られた、ベアトリーチェ・デステ(Beatrice d'Este)が、当時ミラノを統治していたスフォルツァ家の当主と結婚する際のこと。ダヴィンチは、北イタリアのティチーノ川を優雅に泳ぐ、チョウザメを眺めた事から、贈り物にキャビアを思いついたと言われています。高価な宝石箱に、宝石と共に散りばめたキャビアを黒い小粒な真珠に見立てて、彼女の結婚の宴に贈ったのは有名な話です。

 


大庭麗

<大庭 麗(おおば うらら)プロフィール>

 東京都生まれ。2001年渡伊。I.C.I.F(外国人の料理人のためのイタリア料理研修機関)にてディプロマ取得。イタリア北部、南部のミシュラン1つ星リストランテ、イタリア中部のミシュラン2つ星リストランテにて修業。05年帰国。06年より吉祥寺にて『イル・クッキアイオ イタリア料理教室』を主宰。イタリア伝統料理を中心に、イタリアらしい現地の味を忠実に再現した料理を提案し、好評を博している。

 

 

 

 

タグ:大庭麗 キャビア レオナルド・ダ・ヴィンチ ベアトリーチェ・デステ 

 

 

 

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