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大庭麗のイタリア食材紀行 第4回2014年09月19日号

 
大庭麗のイタリア食材紀行

 

 

第4回 イタリアで“ひまわり”が急増中の理由とは

 

 輝く太陽、広大なひまわり畑が広がる光景―。1970年代のソフィア・ローレン主演の映画のような、ひまわりのある景色こそが、多くの人がイタリアに抱くイメージのひとつではないでしょうか。夏の太陽をこよなく愛するイタリアでは、ひまわりはまさに、美しさ、魅力の象徴であり、イタリア語でひまわりを意味する「ジラソーレ」の名を取ったホテルやレストランが多く点在するのも印象的です。

イタリアをはじめ、ヨーロッパでは地球にやさしい生活のためにひまわりが活躍している

 南北に縦に長いイタリアでは、実際にひまわり畑が見られる地域は中部から南部の地方に多いようです。そのため、初めてのイタリア滞在を北イタリアからスタートした私が、実際にひまわり畑に出会ったのはその数年後だった記憶があります。こんな話をすると、イタリアでひまわり畑を見るのは難しそう……と思われてしまいそうですが、実はここ40年でイタリアでのひまわりの栽培敷地面積は約50倍(4000haから20万ha)に増加しているそうです。やはり世界中の観光客のイメージを崩さないための取り組みかしら―。と、それは大きな勘違いのようです。

 そもそもひまわりは、多くの蜂が飛来する花から蜂蜜が生産され、実った種は食用の種油をはじめ、工業用のオイル、マニキュアやペンキ、ニスなどの塗料、石鹸など、さまざまなものの原材料として用いられてきました。またその搾りかすは、粉末状にされ家畜の飼料となります。しかし、ひまわり畑の増加はこれらの製品の需要のためだけではありません。現代ならではの新たな用途、“biogas(ビオガス)”と呼ばれる自然エネルギーとして利用されるのです。

 ヨーロッパではイタリアのほか、フランス、スペインが主要な生産地となっており、イタリア国内ではトスカーナ、マルケ、ウンブリア、プーリア州が特にその生産に力を入れています。そのおかげで初夏から夏にかけて、真っ黄色に輝く光景を楽しめるチャンスが増えているというわけです。

 そしてこの時期、種の収穫まで畑で乾燥を待つひまわりのその姿もまた、夏の終わりを告げ、秋の訪れを知らせる風物詩のようで、風情のある光景のひとつです。

 


大庭麗

<大庭麗(おおばうらら)プロフィール>

 東京都生まれ。2001年渡伊。I.C.I.F(外国人の料理人のためのイタリア料理研修機関)にてディプロマ取得。イタリア北部、南部のミシュラン1つ星リストランテ、イタリア中部のミシュラン2つ星リストランテにて修業。05年帰国。06年より吉祥寺にて『イル・クッキアイオ イタリア料理教室』を主宰。イタリア伝統料理を中心に、イタリアらしい現地の味を忠実に再現した料理を提案し、好評を博している。

 

 

 

 

タグ:大庭麗 イタリア料理 ひまわり 自然エネルギー バイオガス 

 

 

 

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