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大庭麗のイタリア食材紀行 第28回2016年09月20日号

 
大庭麗のイタリア食材紀行

 

第28回 テヴェレ川沿いで楽しむローマスタイルのかき氷

 

 日本では季節を問わずに、かき氷を楽しむ人が増えてきているなどとも言われ、昨今話題のかき氷。さすがにイタリアには、かき氷はないでしょ? と、何度か訊かれたことがありますが、実はあるのです。

 ローマ市内を流れるテヴェレ川沿いで、100年以上も続く“グラッタ・ケッカ”と呼ばれるかき氷。まるで鉋(かんな)のような構造をした、手のひらサイズの金属製の道具を使って大きな氷を削るのがローマ流。

ククンマラッツォ

年々減少しているテヴェレ川沿いのグラッタ・ケッカの店。ローマを訪れる際にはぜひ味わいたい

 削った氷に、レモンやイチゴ、スイカ、アマレーナ(野生のチェリー)やミントなどのシロップと、メロンやパイナップル、マンゴー、ベリー類、カットしたフレッシュココナツなどの新鮮な果実を組み合わせて盛り付けます。

 グラッタ(削る)と、ケッカ(古くは食材などの保冷に用いられた氷柱)という言葉が由来の、その名の通りのかき氷は、夏場のローマでは有名ですが、イタリア全土では、どちらかというとシチリア島発祥の柔らかいシャーベットのような“グラニータ”の方がポピュラー。アラブからの影響でシチリアに根付いたグラニータは、その後グラニテとしてフランスにも伝わり、親しまれています。

 先日、偶然イタリアのラジオでグラッタ・ケッカとグラニータの違いの話をしていたのですが、果汁やシロップを凍らせたものを、半凍りの柔らかいシャーベット状にしたシチリアのグラニータは、夏の朝食にバールで楽しむのが主流。ブリオッシュのパンとグラニータの組み合わせこそが夏の定番です。

 一方、グラッタ・ケッカは、夏場にテヴェレ川沿いを散歩中に、かき氷専門の売店に立ち寄り、削った氷にお好みのシロップと果実をトッピングしてもらい、歩きながら食べるのがローマスタイルです。

 それぞれの地域に伝統的に根付いてきた両者。似ているようで異なる、イタリアの冷たい氷菓子の話題でした。

 


大庭麗

<大庭 麗(おおば うらら)プロフィール>

 東京都生まれ。2001年渡伊。I.C.I.F(外国人の料理人のためのイタリア料理研修機関)にてディプロマ取得。イタリア北部、南部のミシュラン1つ星リストランテ、イタリア中部のミシュラン2つ星リストランテにて修業。05年帰国。06年より吉祥寺にて『イル・クッキアイオ イタリア料理教室』を主宰。イタリア伝統料理を中心に、イタリアらしい現地の味を忠実に再現した料理を提案し、好評を博している。

 

 

 

 

タグ:大庭麗 グラッタ・ケッカ かき氷 グラニータ

 

 

 

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