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大庭麗のイタリア食材紀行 第36回2017年05月20日号

 
大庭麗のイタリア食材紀行

 

第36回 美容、健康志向の高いイタリアで流行のクコの実

 ここ数年、イタリアでは、ゴジ(Goji)またはゴジベリーという名でクコの実が栽培され、収穫量が急激に増えて話題となっています。

 原産国の中国では約3千年の歴史があるこのゴジには、βカロチンやビタミン、ミネラルをはじめ100種類近くの栄養素が含まれ、ポリフェノールなどの抗酸化作用に優れています。コラーゲン生成促進効果のあるアミノ酸の一種ヒドロキシプロリンを含有し、楊貴妃が好んで食べていた美容食としても知られています。また、不老長寿、延命効果を持つ薬用果実として、料理や生薬にも古くから親しまれてきました。

ゴジ(Goji)

フレッシュのまま出荷され、ジャムやシロップ漬け、ジュースなどの加工品となるほか、サプリメントなどにも用いられる

 形状も風味もまるで果実のようですが、実はトマトなどと同じナス科の植物。そのため、イタリアの気候は生育環境に大変適しており、昨今ではイタリア全土で栽培されています。特にその先駆けとも言える生産地域に、トスカーナ州のヴァル・ディ・キアーナという地域があります。高級赤ワインの名醸造地域としても知られるこの一帯は、偶然にも世界一のクコの実の生産地域である中国の西部、新疆(しんきょう)ウイグル自治区の土壌や気候と酷似しているのです。

 この地域は、沖積層(ちゅうせきそう)に石灰岩が混ざり、ミネラルを多く含んだ土壌が特徴。徹底した有機農法で栽培されたゴジは、他の産地と比べて、抗酸化作用のある成分が約2割も多く含まれていると、フィレンツェ大学の研究により発表され、関心が高まっています。

 ゴジの栽培は、結実までに数年かかることから、生産量の増加にはある程度の時間を要し、初期投資が大きいものの、市場では100g約6ユーロ(約750円)と高値で取り引きされています。その価格は、高級赤ワイン、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノを生産する葡萄畑の葡萄とほぼ同じ価値です。そのため、消費者のみならず、農家や生産者たちからも大変注目されているのです。

 


大庭麗

<大庭 麗(おおば うらら)プロフィール>

 東京都生まれ。2001年渡伊。I.C.I.F(外国人の料理人のためのイタリア料理研修機関)にてディプロマ取得。イタリア北部、南部のミシュラン1つ星リストランテ、イタリア中部のミシュラン2つ星リストランテにて修業。05年帰国。06年より吉祥寺にて『イル・クッキアイオ イタリア料理教室』を主宰。イタリア伝統料理を中心に、イタリアらしい現地の味を忠実に再現した料理を提案し、好評を博している。

 

 

 

 

タグ:大庭麗 ゴジ(Goji) ゴジベリー クコの実

 

 

 

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