総務局長 遠藤 雅彦氏

  • 聞き手:平田 邦彦

 東京都の各局が行う事業を局長自らが紹介する「局長に聞く」。今回は総務局長の遠藤雅彦氏。多摩地域や島しょ地域の振興、防災対策をはじめ、人権施策や都庁の働き方改革なども推進している。

都庁を支える縁の下の力持ち

災害対策の12分野を事業化へ

—総務局長に就任して約4か月。現在の心境は。

 総務局へは約13年ぶりの復帰となりますが、都の内部管理及び事務の統一的処理に関する業務などを所管し、まさに全庁を支える「縁の下の力持ち」としての役割が期待されていると感じています。

 一方、事業内容は防災対策や多摩島しょ振興、ICT施策の推進など多岐にわたり、事業局としてのウェイトも増しています。

 7月の局長着任以降は西日本での豪雨や相次ぐ台風の襲来等、甚大な被害をもたらす災害が日本各地で発生しましたが、各局等と連携し、都内の防災対策はもちろん、被災地への物的・人的支援も含めた対応を行ってきたところです。

 総務局の官房局としての面と事業局としての面をうまく融合させ、都庁全体の総合力を上げていきたいと思っています。

—お話のとおり、今年は災害が多発しています。都の防災対策についてうかがえますか。

 9月には都の防災対策について万全を期すために、ソフト・ハードの両面から緊急総点検を実施したところです。

 総点検は、今年3月に公表した「セーフ シティ東京防災プラン」に位置づけられた事業など約200項目を対象としました。

 今年の災害で顕在化した課題も踏まえ、「ブロック塀の安全対策」、「災害発生時における停電対策」といった12の分野について、年度内の実施や、来年度予算編成に向けた事業化を図っていきます。

 また、風水害発生時に住民一人ひとりが適切な避難を実施するためのマイタイムライン(時系列防災行動計画)の作成支援や防災情報のワンストップ化、東京都防災アプリ等を活用した外国人への情報発信強化などについて順次取組を進めていきます。

 このほか、区市町村の非常用電源の確保に向けた支援の実施や帰宅困難者対策の推進なども喫緊の課題です。都民の安全・安心を守るため、「セーフ シティ」実現に向けた取組を推進できるようしっかりと対策を進め、関係各局とともに東京の災害対策を質・量ともに更に充実させていきます。

—先ほどお話に出た、多摩島しょ振興やICT施策の推進など、他の課題はいかがですか。

 多摩島しょ地域は、東京の人口の3分の1、面積では3分の2を占めており、その振興は東京都の更なる発展に必要不可欠です。

 昨年度策定した「多摩の振興プラン」の着実な遂行や、東京の島の魅力を発信する戦略的なプロモーションの実施など、今後も各団体と連携しつつ、様々な取組を進めていきます。

 ICTの利活用促進については、都の各施策におけるIoT、AIの活用についての具体的な検討とともに、関係各局や民間企業と共同で熱中症予測や大規模イベントでの都市動態シミュレーションの実証実験を進めています。

 2020東京大会をひとつのメルクマークとして「スマート シティ」化を進め、東京が最先端ICTのショーケースとなる事業を展開、発展させていきたいと思います。

 また、今年の都議会第3回定例会において「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」が成立しました。

 本条例の制定を契機として、様々な人権課題に対して総合的に施策を推進することで「ダイバーシティ」を実現していくことも非常に重要な課題であると認識しています。

都庁の働き方改革を推進

—都庁の働き方改革推進も課題ですね。

 総務局は、都庁の働き方改革の旗振り役でもあります。これまで、「残業ゼロ」に向けた取組のみならず、テレワークの推進など、制度面や環境面の整備を進めてきました。

 しかしながら、これらの取組のみならず、職員自身の意識的な取組も必要です。とりわけ、仕事を見直し、合理化していくことで、本当にやるべき仕事を考えることが大切です。

 職員の皆さんには、仕事の合理化によりできた時間を活用して私生活の充実にもつなげ、広い視野を養い、それを大いに仕事に活かしてもらいたいですね。

 机上の仕事だけに留まらず、日常生活における気づきを大切にすることで、真に都民の求めるものが何か。今、都政にはどのような施策が求められているのかを考える機会にもつながっていくのではないでしょうか。

—最後に、職員へのメッセージや今後の意気込みをお願します。

 言うまでもなく、組織にとって最大の財産は「人」であり、都というチームの力を高めるカギを握るのは職員です。都民の負託に応える都政であり続けるためには、「人材のレガシー」継承が欠かせません。そして職員一人ひとりが能力伸長を図り、持てる能力をいかんなく発揮するためには、都政というフィールドにおいて生きがいや誇りを見出しながら働けることが重要です。

 職場が生き生きと過ごせる場となるよう、職員の皆さんとのコミュニケーションを大切にしながら、楽しく元気に仕事をしたいと思っているので、一緒に頑張っていきましょう。

    

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