α世代の遊び心と企業の化学反応がおもしろい
「みらいいパーク」「CPOプロジェクト」とは?
株式会社miraii
インタラクティブ教育プラットフォームの開発・運営などを行う株式会社イノビオットは、第二創業期と位置付けた2025年の3月、社名を株式会社miraii(みらいい)へ変更。また4月24日には、オンラインおしごと体験サービス「みらいいパーク」、子供と企業の共創「CPOプロジェクト」を始動させ、第二創業期の幕開けにふさわしいスタートを切った。

ひとつのサービス名として2019年に生まれた「みらいい」という言葉が、いつの間にか同社のアイデンティティそのものに成長
miraiiの新たなプロジェクト 発表イベントを開催
4月24日、本格始動した「みらいいパーク」&「CPOプロジェクト」の発表会が開催された。発表会には、miraii代表取締役の福田紘也さんはじめ、情報経営イノベーション専門職大学教授でテクノロジーとデザイン思考を研究する松村太郎さん、同プロジェクト参画企業であるパナソニック株式会社エレクトリックワークス社の植田真矢さん、CPOメンバーの小学生が参加し、トークセッションなども行われた。
「みらいいパーク」は、「なりたい自分に出会う」というコンセプトのもと、既存の職業から宇宙ツアーコンダクターのような未来の職業まで、約50種類の職業を無料で体験できるオンラインサービス。同社の原点にある「好きなことを仕事にするためにはいつから好きを見つければいいのだろう」という問いに向き合った結果誕生した。自宅にいながら、知らない職業に対する興味を広げるきっかけづくりができるため、自分に合った職業に出会えること、また社会とのつながりのヒントを得られることが期待できる。昨年4月にベータ版をリリースしており、利用者はすでに約1万7000人と好評を得ている。
さらに、同社独自の資格を持つコーチがマンツーマンで指導し、プログラミングスキルはもとより、自己肯定感やコミュニケーション力といった非認知能力を育む「みらいいアカデミア」も展開。
「この『みらいいパーク』『みらいいアカデミア』を受講する子供たちと企業が、本気でつながる場として生まれたのが『CPOプロジェクト』です」と福田さんは同プロジェクトについて説明した。

福田さんは、「子供たちの個性を、もっと未来につなげていきたい」という新社名に込められた願いも紹介
イノベーションを加速させる 大人にはない子供の遊び心
CPOとは、チーフ・プレイフル・オフィサー(最高遊び心責任者)の意。CPOプロジェクトは、CPOに就任したα世代(2010年以降生まれ)の子供たちが、企業の課題に対し意見を述べ実践していくもの。「みらいいパーク」で体験できるゲームの高レベル獲得者で、「みらいいアカデミア」の参加経験者であれば誰でもCPOになれる。
情報経営イノベーション専門職大学の松村教授は、「子供の遊び心が企業に吹き込まれると、従来では生まれにくかったイノベーションが起きます。子供たちにとっても、親や学校の先生以外の大人が話を聞いてくれる経験は満足感が大きく、自己肯定感を高めることにつながります。また、企業とα世代の相互理解にも大きく役立つでしょう」と、その必要性を話した。
CPOプロジェクトは、すでにアルミニウムメーカーのUACJや清水建設などと実験的な取組を行っている。音楽のように光りを楽しむ『光楽(こうがく)』という文化の創造を目指しているパナソニック エレクトリックワークス社との共創では、CPOたちがILLUMME(イリューム)を使った光の作品づくりのほか、大阪・関西万博のパナソニックグループパビリオン「ノモの国」の演出も行った。
同社の植田さんは、「近年『将来世代との対話』が注目されていますが、CPOとの活動がその具体的な事例として広く知られることを期待しています」と話した。
また、「みらいいアカデミア」を利用する小学生を対象とし、同社が実施した「光を楽しむ未来をつくる~α世代との共創プロジェクト」で、約4カ月の共創活動に取り組んだCPOのひとり入田優くんは、ILLUMMEを活用し、犬が夜に排便する際、オリジナルのシート上に10秒間居続けるとライトが光る仕組みを考えた。お母さんが日々大変に思っていることが「夜のペットのウンチの処理」と知り、それを楽しく解決できる作品をつくったのだとか。
大人たちとの話し合いについて聞かれると、「最初は、『こんなこと言ったら変に思われるかな?』と思ったこともあったけど、実際に提案したら『それ、おもしろいね!』と言われて驚きました。自分の言ったことが役に立ててよかった」と、うれしそうに話した。
「我が社が目指す『光楽』は、α世代のような若い人たちによってつくられていくと信じています」と植田さん。次代を担うα世代に期待を寄せた。

後列左から:miraii代表取締役・福田紘也さん、情報経営イノベーション専門職大学教授・松村太郎さん、パナソニック エレクトリックワークス社・植田真矢さん 前列左から:CPOメンバーの入田優くん、角景悟くん、髙宮光矩くん
子供たちといい未来をつくりたい 今その第一歩を踏み出した
子供一人ひとりが、可能性を切りひらける未来を目指すmiraii。そのためには、企業や社会がα世代の声にもっと耳を傾ける必要があるという福田さん。CPOプロジェクトは、まさにそのための第一歩だ。
「〝α世代の発想〟が、イノベーションのきっかけとなるのであれば、今後も多種多様な企業とCPOプロジェクトを進めていきたいですね。具体的には、文具や食品、ゲームの会社など、子供たちの身近にある商品やサービスなどを扱う会社がいいのではないかと思っています」
同プロジェクトは、オンラインだけでなく、実際に企業のショールームを訪れるなどのリアルイベントも行いながら進められるので、企業のみならず子供たちにとっても、さまざまに学べる貴重な機会だ。
子供に寄り添い、その可能性を信じるmiraiiだからこそのプロジェクト。固定観念を打ち破る、α世代の自由で柔軟な発想や新しい視点が企業に必要とされる時代が、とうとうやって来た。一方で、企業側の「常識」から抜け出す覚悟も必要となるだろう。期待をもって見守っていきたい。

「みらいいパーク」は、おしごと体験ができる「ゲーム」や、コーチのナビゲートでジョブ内容を深堀りする「ワークショップ」などが楽しめる

α世代の遊び心から生まれた「犬のウンチ拾いお助けピカピカセンサー」