危機管理対策は万全か

  • 記事:平田 邦彦

余りにも意識が低すぎるのでは?

 年が明けて、いよいよラグビーワールドカップが迫って来た。そして翌年には東京オリンピック・パラリンピックと世界的なビッグイベントが続く。

 国は2020年に観光客4000万人を迎え入れるとし、すでに3000万人の実績を得ているから、それは実現されるだろうが、肝心の迎え入れる体制を見ると、まだまだやるべきことは多いと感じる。

 航空機や観光船については、厳しく手荷物検査等が実施され、事前の対策が取られているかに見えるが、競技場での安全対策はどのように考えられているのだろうか。4万も5万もの人が押し寄せる競技場での手荷物検査、身体検査はスムーズに行えるのか。それに、新幹線のような大量輸送を可能にする素晴らしいインフラを備えてはいるものの、ここでは全くのノーチェックである。

 性善説を前提に成立してきた我が国の安全対策は、4000万人もの外国人を迎えようとする中で、新たな対策が求められる時代に入ったと理解すべきではないだろうか。

 新幹線の改札で空港と同じような検査をすることはとても現実的とは思えないが、不特定多数を対象とするテロ行為は今後さらに増えてくると想定するべきなのだ。例えは不適切かもしれないが、航空機の乗客は多くても600人程度。新幹線となるとその倍以上の人間を運んでいる。万一テロが発生すればその被害は甚大なものとなる。

 あのX線検査をする人間は、育成するにも時間がかかり、急には増員が図れないとも聞く。交通整理をしているガードマンと同じような格好はしているものの、求められている役割を果たす為には、それなりのスキルを必要とする。もっとしっかりとした資格制度を設けて、それなりの手厚い処遇を考えて行くべきだろう。

 先進諸国にあっては、しっかりとした制度が設けられ、検査要員に国家資格を付している国もある。顔、光彩、指紋など認証に関わる技術は日々新たなものが登場して来ているが、それらを組み合わせ、より安全でスピーディなシステムの開発が求められているのではないだろうか。

 新幹線に乗ったり、競技場への入場に多くの時間をかけられないからと言って、無防備であって済む話ではない。

 何らかの方法を講ずることは、不便さが増すことになるにしても、安全対策に万全を期すことがいま求められていると心すべきである。

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