監査事務局長 岡﨑 義隆 氏

  • 聞き手:平田 邦彦

 東京都の各局が行う事業を局長自らが紹介する「局長に聞く」。今回は監査事務局長の岡義隆氏。監査と聞くと難しそうなイメージがあるが、都民の都政に対する信頼を得るうえで欠かせない重要な業務を担っている。監査の役割と課題などについてお話を伺った。

都民の信頼と期待に応える都政に

今求められる監査の役割と課題

—監査事務局の業務はあまり知られていないようですが。

 私にとっても未知の仕事でしたが、職員に支えられ何とか務めてきました。都庁のみならず関係する多くの団体をも客観的に見つめている組織です。

 監査業務自体は世界のあらゆる企業や団体で行われ、考え方や手法も日々進化を遂げており、大変に奥深い仕事だと、やりがいを感じています。

—都の監査の役割は。

 都の行財政が公正かつ効率的に運用されるよう、各局の事務・事業を検証し、都政に対する都民の信頼を確保していくことです。

 現在、都議会議員2名、企業経営や公認会計士など識見を有する3名の計5名の監査委員が、知事から独立した公平な立場で、4つの観点(合規性、経済性、効率性、有効性)から、事務・事業を検証しています。

 定例監査、工事監査では、都政の状況や都民の関心を踏まえ、「重点監査事項」を設定し、メリハリのある監査を実施しています。

 監査委員の指揮監督の下、監査委員を補助する89人の職員が業務を実施しており昨年は全ての監査をあわせ、270件の指摘及び意見・要望を行い各局に是正・改善を求めました。

—現状の監査における課題は何でしょうか。

 過去5年間の指摘の傾向を分析したところ、契約の不適切事例など、「合規性」の観点からの指摘が主流であり、現状では事業の趣旨を踏まえた根本的な改善を促す監査にまでは至っておらず、こまかい事務のミスの指摘にとどまる傾向にあります。

 また、500人の都民に意見を聞いたところ、「監査の重点化や質の向上が必要」、「社会経済情勢や都民ニーズの把握が不十分」、「広報が不十分」との厳しい意見を頂きました。

 このことから、現状の監査には、「監査の内容」、「組織体制」、「都民への広報・庁内へのフィードバック」の3つの課題があることが見えてきます。

自治法改正を見据えた監査の充実

—課題の解決に向けた具体的な取組は。

 先程述べた課題を踏まえ、監査品質の向上を図るため「監査内容の深化」、「組織力の強化」、「情報発信の拡充」の3つを柱に取組を進めています。

 まず、第一の柱である「監査内容の深化」についてです。

 現状では「合規性」の監査が中心ですが、都民の声を受け、今後は経済性、効率性、有効性の観点、いわゆる「3(スリー)E」の監査を更に充実します。

 そのため若手の選抜メンバーによる「監査実務研究会」を局内に設け、任期付職員の公認会計士の指導の下、国や民間の優れた監査事例を研究させ、成果を局全体で活用します。

 また、法律や技術など高度な専門知識が必要な監査を行う場合に、「監査専門委員」を積極的に活用していきます。

 さらに、ICTを活用し、「大量データ分析型監査」を実施する予定です。

 すでに都の多くの業務がシステム化されているにもかかわらず、現在の監査では、監査対象局から、データの一部を紙で提出させ、これを分析・検証している状況です。電子データそのものを直接分析することができれば、漏れなく、短時間で監査の着眼点や抽出案件の端緒となる問題点を見つけ、内容の濃い監査を行うことに繋がるだけでなく各局の事務負担も大幅に軽減されると考えます。

 第二の柱は「組織力の強化」です。

 都政の動向を踏まえた課題に取り組むためには、事務局が一致団結し、職員の専門性向上などにより、組織力の強化を図ることが必要です。このため、各監査で得た情報の共有、相互活用等による各種監査の連携の推進を図ります。

 また、実地監査業務にモバイル・パソコンを導入し、現場で情報共有を行うことができる環境の整備などの取組を行っていきます。

 第三の柱は「情報発信の拡充」です。

 まず、当局のホームページに、各種監査の指摘や、各局が講じた改善状況をフリーワードで検索できる「監査指摘・改善措置等検索システム」を導入するなど、内容の充実を図りました。スマートフォンにも対応していますので、ぜひご覧ください。

 また、この度、監査委員の仕事紹介の動画を「東京動画」に公開しました。

 都職員に向けては、各局との意見交換や意思疎通の場である「監査情報連絡会」を設置し、さらに、メールマガジン「かんさにさんか」を創刊して、監査情報を効果的に発信していきます。

—地方自治法改正により、更なる監査の充実強化が求められています。これらの背景を踏まえた今後の取組は。

 来年4月施行の自治法改正に伴い、監査委員は、都の作成する「内部統制評価報告書」の審査を新たに行うことになりました。

 また、勧告制度が創設され監査委員の権限が強化されます。このことから、監査委員は、都の内部統制の強化に資する監査を行っていきます。

 今後も、ICTの積極的な活用や職員の監査技術を高め、監査品質を向上させるとともに、積極的に情報を発信し、監査に対する都民の信頼と期待に応えるよう日々努力していきます。

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