交通ルールの徹底を

  • 記事:平田 邦彦

※写真はイメージです。記事と直接関係はございません。

オリンピック・パラリンピックを前に

 東京の街でクラクションを聞くことは少なくなった。開発途上国に行ってみると、街にあふれるクラクションの騒音に遭遇して、およそ半世紀前には東京でも見られた光景だったことを思い出す。

 法制化で飲酒運転は減少しているし、総じておとなしい運転が当たり前になって来ていることは喜びたい。

 なれば東京の交通マナーが向上して、それが事故の減少につながったかと言えば、相変わらず交通事故は少なくない。依然として痛ましい事故は発生しているし、注意を喚起したくてクラクションを鳴らすと、逆ギレされて、文句を言われることもある。

 平素から車を使うことが多い我が身として特に気になるのは、減ってきたとはいってもタクシードライバーのルール違反と、自転車の交通ルール違反だ。

 路上に待っているお客を見つけて、中央の車線から無理やり左に寄せてくるタクシーを避けて、急ブレーキを踏まされるケースは多い。

 もともと空車なら初めから左車線を走ればと思うが、なぜか中央車線を走る空車のタクシーは多い。

 これなどいっそのこと空車なら左の車線を走ることを義務付けて欲しい。

 自転車の横暴は目に余るものがあって、平気で逆走はするし、無灯火だったり、両耳にイヤホンを入れているのは普通に見られる。中には片手でスマホを持っての「ながら運転」もある。

 信号無視も取り締まられないのをいいことにして、平気で赤信号でも飛び出してくる。自転車に乗ったまま歩行者を蹴散らすように歩道を走る輩もいる。

 緊急車両への対応も指摘したい。サイレンを聞いたら何をおいても通行の邪魔にならないようにするべきは誰もが知っている交通ルールのはずだが、実際に救急車に乗る機会を得て体験してみると、まだるっこしいほどに走れない。

 日本は世界一安全だし、清潔、そして行き届いたおもてなしと、持ち上げていただけるのはうれしい限りだが、交通ルールに関する限りは、未だしの感を拭えない。

 本来は自浄作用が働いて、規制がなくとも守られるべきだが、残念ながら誇りに思えるほどのレベルには達していない。年々増加する外国からの観光客のマナーの悪さを訴える声は多いが、それ以前に彼らが恥ずかしくなるようなマナーを身に着けることが先だろう。

 来年に迫ったオリンピック・パラリンピックでは、多くの外国人客を迎えることとなるが、ごみ一つないところにごみは捨てられないのと同様に、行き届いたマナーに無作法は生まれない。

 そんな小さなことから東京の印象が良くなり、人々の感動を呼び、リピーターを増やすだろう。

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