産業労働局長 村松 明典氏

  • 聞き手:平田 邦彦

 東京都の各局が行う事業を局長自らが紹介する「局長に聞く」。今回は産業労働局長の村松明典氏。東京の稼ぐ力を高める産業施策などに加え、企業の働き方改革の推進に取り組んでいる産業労働局の現状について伺った。

「想像力」と「創造力」で事業を推進

都内産業の「稼ぐ力」の強化

—就任して約5ヵ月経過しましたが、感想と抱負を伺えますか。

 3年ぶりの配属ですが、産業労働局は中小企業振興、金融支援、観光対策、農林水産業振興、そして雇用就業の対応など、守備範囲が広いと改めて感じています。

 東京都の大きな方針のひとつが「東京の稼ぐ力」の向上です。局内各部署で様々な視点や切り口で事業を実施しており、全ての部の取組が「東京の稼ぐ力」を高めることに繋がる、そういった認識で進めていこうと思います。

—グローバル化やICT技術の広がり、少子高齢化が進展する中で、都内産業の活性化に向けた取組は。

 社会経済環境の変化が激しい中で、都内産業を活性化し、「稼ぐ力」を高めていくためには、イノベーションの創出が重要です。イノベーションを生み出しやすい仕掛けをつくるのが行政の役割です。

 そのひとつが多様な連携の促進です。中小企業と大企業、ものづくりとAIなど、異なる企業や産業分野が結びつくことで、イノベーションが生まれます。 新たな発想や優れた技術力を持つ中小企業やベンチャー企業は多く、こうした中小企業と大企業とを連携させて大規模な開発プロジェクトを支援するなど、オープンイノベーションを促進します。

 また、スタートアップの活性化も重要です。経済の中心的な担い手となるようなベンチャー企業等を数多く輩出していきたいですね。

 都は現在、創業希望者の掘り起こしや育成の場として「TOKYO創業ステーション」を丸の内で運営しています。来年度には、新たに多摩地域にも開設予定です。

 また、創業の機運醸成に向けて、意欲ある若者の優れたアイデアを表彰し、起業に結び付ける取組のほか、世界を舞台に存在感を発揮し活躍する「ネクストユニコーン」の輩出や、女性起業家の活躍の後押しなども行っています。チャレンジングな人や企業が活躍できる環境をつくることで東京の稼ぐ力につなげていきたいです。

—東京オリンピック・パラリンピックがいよいよ来年開催されます。観光面での取組は。

 東京2020大会は、国内外からアスリート、観戦者、メディア関係者など多くの大会関係者や旅行者が訪都するなど、世界中から東京に注目が集まる絶好の機会です。

 東京を訪れる方々に東京を楽しみ満足していただけるよう、大会に向けて東京の魅力を積極的に発信するとともに、多くの旅行者をお迎えする環境を確実に整え、万全を期していきます。そして、大会に向けた取組をレガシーとして、大会後の持続的な観光産業の発展の礎としたいですね。

 具体的には、戦略的な観光プロモーションにより東京ブランドを浸透させていくことで、レジャー・ビジネスの両面から東京の魅力を印象付け、旅行者誘致に結びつけていきます。

 また、ナイトライフ観光や地域の観光資源の開発を促進することで、地域が自律的・自主的に観光振興を行い、都内各地域で恒常的ににぎわいが生み出される体制を構築します。

 さらに、無料Wi—Fi等の観光案内インフラや多言語対応の強化、宿泊施設のバリアフリー化など受入環境の整備を推進することで、外国人旅行者のみならず、高齢者・障害者などを含め持続的な旅行者の受入につなげていきます。

テレワークの普及を促進

—少子高齢化が進み労働力人口の減少が見込まれる中、企業の働き方の見直しも課題です。

 労働力人口の減少が見込まれる中においても、東京が成長し続けるためには、女性や高齢者、障害者など、誰もがいきいきと働き続けられる社会の実現が不可欠です。

 そのために重要となるのが働き方改革です。とりわけ時間と場所に囚われずに柔軟に働くことができるテレワークは働き方改革の鍵であり、企業の人材確保や生産性向上、従業員のライフ・ワーク・バランス充実を図る上でも有効なツールです。

 今年度、都が従業員30人以上の企業に対して行った調査では、テレワークを導入している企業は25・1%でした。大会前にはこれを35%にすることを目指します。このため今年度は、希望する企業に業務改善やICTに精通した専門家を派遣し、コンサルティングを行うとともに、トライアルに必要なハード、ソフトの費用を助成することで、企業への導入を強力に推進していきます。2020年大会を契機に、テレワークが「当たり前」の社会となるよう、取組を加速します。

—最後に職員へのメッセージを。

 現在、外部環境の変化がものすごいスピードで進んでいます。我々職員は、先々の事を色々と「想像」しながらどんな事が将来起こりうるだろうと、「想像力」を働かせていかなければなりません。その上で、今年、来年、10年後はどういう対策が有効になるのか、新たなアイデアをどんどん出して、創意工夫の取組を進めるといった「創造力」を発揮することも大切です。

 「想像力」と「創造力」の2つをそれぞれ養ってほしいです。私自身も、職員と一緒になって議論をしながら、2つの「想像(創造)力」を磨いていきます。

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