防災、就労支援条例他で論戦

  • 記事:遠藤 直彦

 今月3日に開会した都議会第4回定例会は18日、知事提出のすべての議案を可決し閉会した。定例会には、台風被害からの復興や来年の東京五輪大会への対応のために編成された補正予算などが提案されたが、突如示された、都立病院の地方独立行政法人化への検討でも論戦が交わされた。来年の第1回定例会でも議論の的となりそうだ。

第4回定例会 代表質問

 10日に行われた都議会各党の代表質問には、増子ひろき氏(都民ファーストの会)、高倉良生氏(公明)、小宮あんり氏(自民)、原田あきら氏(共産)、山口拓氏(民主)の5氏が登壇した。

【災害対策】

 今年、東京を襲った台風19号では多摩川が氾濫するなどの被害が生じ、被災住宅の再建、避難先の確保等が急務となった。

 都民ファーストの会は、都立高校などの都立施設の一時滞在施設の指定を進め、住民向けの避難先としても活用すべきと提案。小池知事は「浸水などのおそれがない場所に立地する都立一時滞在施設をあらかじめ避難先として位置づけ活用を図る」と答弁した。

 公明は、災害救助法の対象にならない住宅一部損壊への都独自の支援について、既に修理費用を支払った場合も対象にすべきと訴えた。小池知事は「国の支援対象とならない被災住宅について新たな補助制度を創設し、支払い済みのものも対象とした」と応じた。

 自民は、「立川地域防災センターの大規模改修の機会を捉え東京全体の災害対応力の向上を図るべき」と提案、遠藤総務局長は「同センターの機能強化に向けた必要な改修や、危機管理副監(仮称)の設置を含む体制整備に向けた検討を進め、多摩地域における防災対策を充実するとともに都の危機管理体制の強化に取組む」と応じた。

【就労支援条例】

 「都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例」は、就労を希望するすべての都民に対して施策を実施するもの。特に障害者など就労困難者と認められる者に対しては、配慮すべき実情などに応じて支援を実施する。

 民主は条例について「条文からは具体性が読み取れない」と指摘、どのような施策推進をするのか質した。小池知事は「就労に困難を抱える方の新たな活躍の場となるソーシャルファームを東京に根づかせるため、その創設と活動を促進するなどの実効性ある支援施策を強力に展開し一人一人が自信を持って輝く社会を実現する」と答弁、理解を求めた。

【都立病院の地方独立行政法人化】

 小池知事は3日の所信表明で、都立病院と東京都保健医療公社の計14病院について「都民の皆様の生命と健康を守る使命を着実に果たすため、一体的に地方独立行政法人へ移行すべく準備を開始する。医療課題に柔軟かつ効果的に対応することで将来に渡り誰もが安心して質の高い医療を受けられる東京を実現する」と表明した。

 都民ファーストの会は、「都立病院の独法化にあたっては、行政的医療の確保や現場の理解といった点に配慮しながら進めるべきだ」と知事の見解を質した。

 小池知事は「地方独立行政法人化にあたっては、職員の声を十分聞くとともに、都民や地域の医療機関、医師会といった方々への理解も得ながら着実に準備を進めていく」と説明、年末までに、新たな病院の改革のビジョンを示す考えを示した。

【長期戦略ビジョン】

 長期戦略ビジョンは、東京の将来像を示す内容で、年末を目途に策定が進められている。

 共産は、「国連が採択した持続可能な開発目標、SDGsは、2030年までにあらゆる形態の貧困に終止符を打つことを目標としている」として、長期戦略ビジョンに、国保料、国保税の負担軽減を位置づけるよう迫った。

 小池知事は「国民健康保険制度は設計者の国が必要な措置を講じるべきであり、都は国に持続可能な制度となるように要望している」とかわした。

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