第69回 美味しく食べて健康的な野菜トピナンブール

  • 記事:加藤 麗

初霜が降りる頃が旬のトピナンブール。冬の寒い日には温かいスープがぴったり

 先月に引き続き、イタリアでもなじみのある冬の野菜のひとつ、トピナンブール(菊芋)の話題です。ヨーロッパでは、アーティチョーク(地中海沿岸が原産の朝鮮アザミの若いつぼみ)に似た味と表現され、生はもちろん、焼いたり煮たり揚げたりと、さまざまな調理法で食卓にのぼります。

 ジャガイモの様に、地中に続く茎にできる、塊茎(かいけい)であるにもかかわらず、でんぷん質をほぼ持たないトピナンブールは、「天然のインシュリン」と呼ばれ、健康意識が高い人たちが積極的に摂取する野菜のひとつでもあります。ジャガイモなどに含まれる、でんぷんとは異なり、トピナンブールの炭水化物は、多糖類を多く含む水溶性食物繊維のイヌリンと呼ばれる成分。人の消化器官では消化されず、善玉菌のエサとなり腸内細菌によってのみ消化されて、腸内環境を整えることにより、血糖値の改善が期待できるのだそう。また塩分などのナトリウムの排泄を助ける豊富なカリウムが、血圧の上昇も抑えるため、糖尿病やメタボの対策に効果的とされているのが、健康意識の高い人たちから愛され続けている理由です。

 さて、そんな健康食材のトピナンブールですが、イタリアでの食べ方は乳製品との組み合わせが多く、トルタ・サラータと呼ばれるバターをたっぷり練り込んだ、塩味のタルトの具材に用いたり、クリームを利かせたポタージュスープに仕上げたり、チーズと一緒に料理したり……。どの組み合わせも、乳脂肪分とトピナンブールの風味が相まってとても美味しいのですが、ただ、ふと思ったことがひとつ。「健康に良い食材だからといって、ヘルシー(低カロリー)に調理する訳ではないのね」。

 そんな疑問を投げかけたところ、「昔からトピナンブールはカルシウムの吸収を促進する効果があるとされてきたから、ヨーロッパではこのように乳製品と組み合わせた料理が多いのだ」と。

 聞いて納得。美味しく食べて、健康的に。まさに理想の料理のように思いました。

加藤 麗 かとう・うらら(旧姓 大庭)

加藤麗東京都生まれ。2001年渡伊。I.C.I.F(外国人の料理人のためのイタリア料理研修機関)にてディプロマ取得。イタリア北部、南部のミシュラン1つ星リストランテ、イタリア中部のミシュラン2つ星リストランテにて修業。05年帰国。06年より吉祥寺にて『イル・クッキアイオ イタリア料理教室』を主宰。イタリア伝統料理を中心に、イタリアらしい現地の味を忠実に再現した料理を提案し、好評を博している。

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