オゾンの特性を生かした除菌・消臭機器の販売等

Safer-U(セイファーユー)株式会社/株式会社ジェネシス

  • 取材:種藤 潤

 日本にある世界トップクラスの技術・技能—。それを生み出すまでには、果たしてどんな苦心があったのだろうか。

 日本にある世界トップクラスの技術・技能−。それを生み出すまでには、果たしてどんな苦心があったのだろうか。  新型コロナウイルスの世界的な蔓延により、日本国内でもかつてないほど「除菌」に対する意識が高まっている。本紙ではこれまでも「除菌」に関する商品を取り上げてきたが、今号では「オゾン」の特性を生かした機器にスポットを当てる。

オゾン発生器

左上:東京消防庁や警視庁の車両内の除菌に使用されているオゾン発生機『バクテクター03(BT-03)車両除菌システム』 中央:東京消防庁や自衛隊の除染活動で使用されるオゾン給水装置『L くりん DX(BT-07)』 右:小型化したハイブリッド空気清浄機『Lyon3.0』(提供:Safer-U株式会社)

 言葉自体は聞いたことがあっても、「オゾン」が「除菌」に活用されていることは、一般にはあまり知られていない。しかし意外にも身近なところで取り入れられ、私たちの生活を快適かつ安全にしてくれているのだ。

 東京都の事例としては、東京消防庁をはじめとする救急車両や救命救急現場での導入が挙げられる。緊急搬送が行われる車両内は、インフルエンザやMERS(中東呼吸器感染症)、SARS(重症急性呼吸器症候群)などのウイルス感染症リスクが非常に高い。その予防対策として、車両内にはオゾンガスを発生させる装置『バクテクター03(BT-03)車両除菌システム』を設置し、約1時間で9割以上のウイルス除菌を達成している。さらに病院等に到着後は、そこに用意されたオゾン水を生成する装置『L くりん DX(BT-07)』で除染を行い、ウイルスを限りなくゼロに近い状態にする。

 ちなみに『BT-07』は陸海空自衛隊の基地や駐屯地でも導入され、ウイルスや細菌、化学物質災害などの除染作業にも使用されている。

高い酸化力で除菌
消臭、漂白、鮮度維持も

 オゾンはO2(酸素分子)とO(酸素原子)が結合してできる気体で、「O3」と表記する。O2が安定した状態であるのに対し、O3は非常に不安定なため、菌などがあると反応して酸素に戻ろうとする。その際に発生する酸素が高い酸化力を持つのだ。一般的に除菌力が高いとされる塩素の約6〜7倍の効果があるとされ、消臭、漂白、さらには食物の鮮度保持、害虫除去の効果もあるという。

 一方で、高い効力を持ちながら、酸化による分解後は酸素に戻るため、残留性がなく、安全性が高いのも特徴だ。そのため、食品加工や厨房などでの導入事例も多く、オゾンガスによる無人の厨房等の空間内の除菌や、オゾン水による野菜や果物などの食物洗浄でも活用されている。

Safer-U株式会社代表取締役の佐伯勇氏

オゾンを活用した除菌消臭システムの可能性に着目し販売を行う、Safer-U(セイファーユー)株式会社代表取締役の佐伯勇氏

電源があれば原料ゼロ
低コストで使用できる

 さらにオゾンによる除菌の特徴は、電源さえあれば、原料がなくても生成できることだ。つまり、原料コストがかからないので、ランニングコストを低く抑えられるというわけだ。さらに、原料を備蓄するスペースや運搬も不要。この点は特に救急、災害現場で重宝されるポイントといえる。

 ただ、課題がないわけではない。オゾンは高い除菌力があるために、低濃度に維持して使用する必要がある。また、装置自体のサイズの大きさ、金額の高さもネックと言われてきた。

 そうした課題をクリアしたのが、株式会社タムラテコが生み出した、前出の『BT-03』『BT-07』などのオゾン発生装置だ。そして今回取材したSafer-U(セイファーユー)株式会社と、共同事業者の株式会社ジェネシスは、その技術力に着目し、装置を世に広める活動を行っている。

バクテクター03

東京消防庁の車両内でオゾン発生機が使用されている様子(提供:Safer-U株式会社)

コロナ等のリスク全体をオゾンにより除菌する

 「タムラテコ社は、オゾンを人体に影響のない0.1ppm(parts per million=100分の1)に維持して生成できる独自の技術を確立し、その技術を用いた機器を、これまで主に救急現場や食品工場、飲食店などを中心に提供してきました。それでもまだ、農業、畜産、介護、学校、さらには一般家庭と、応用できる場面は限りなくあります。実際に機器を使用されたほとんどの方が満足されています。その満足を少しでも増やしていくことが、我々の役割です」(セイファーユー株式会社代表取締役の佐伯勇氏)  タムラテコ社の機器の小型化、低コスト化はさらに進んでいる。オゾンと紫外線のハイブリッド空気清浄機『Lyon3.0』は、18cm ×10cmとコンパクトサイズで、価格も6万円前後と一般家庭での導入が十分可能になった。また、ハンディタイプのオゾンガス発生機『ハンディくりん』は持ち運びに便利なサイズで、宿泊施設のベッドメイキングや介護施設の清掃などにも応用できるという。

 新型コロナウイルスの影響で、現在、あらゆる場面で「除菌」が求められている。オゾンは、現時点でまだ同ウイルスの直接的な効果が実証されているわけではないが、佐伯氏は「インフルエンザウイルスなどと基本的構造は同じなので、効果は期待できる」とした上で、次のように語った。

 「これまで除菌の主流だったアルコールや次亜塩素酸ナトリウムに比べ、オゾンは様々なウイルスや細菌に対して、均一的に高い効果を発揮できることが実証されています。除菌意識が高まっている今こそ、除菌の全体レベルを上げる選択肢として、オゾンを活用したシステムをぜひ一度試していただきたいと思います」

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